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登美の丘ワイナリー通信

ワインづくりの現場から

ぶどうづくり

メルロの棚仕立ての剪定(水平コルドン)

先日、リースリング・フォルテの棚仕立ての区画での剪定作業をご紹介しましたが、今回はメルロという欧州系ぶどうの棚仕立ての剪定作業についてレポートさせていただきます。
 

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樹勢(ぶどうの樹自体が枝を伸ばし大きくなろうとする力)の強いリースリング・フォルテと異なり、メルロはそれほどではないために、リースリング・フォルテの長梢剪定とは異なった短梢剪定を行なっています。短梢剪定とは、その年成長してきた枝の中から、翌年に萌芽してぶどうの実をつける枝をつける結果母枝(けっかぼし)を選んで残し、2芽だけ残して切ります。そのように結果母枝を短かく剪定する方法を「コルドン法」と言いますが、ヨーロッパでは垣根仕立ての栽培でいうワードなので、棚仕立てでやっている登美の丘ワイナリーでは「水平コルドン」と呼んでいます。
切る位置も3芽目に近いところを切ることにより切り口からの乾燥で萌芽するべき芽がダメージを受けないように距離をとるように気を遣ってあげます。また、結果母枝の位置も主幹からなるべく近いところにあるものを選ぶことでコンパクトな樹形になるようにしてあげます。

 

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リースリング・フォルテの剪定のときと同じく、1つのラインに1人の栽培スタッフが担当して、ぶどう畑の中を結果母枝を配置する主幹に沿って並行に動きながら剪定作業を進めていくことになります。

 

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時には、結果母枝を配する主幹となるべき枝が思わしくないと判断する時には、その主幹に見切りをつけて再構成を行ないます。隣の樹の見込みのいい枝を見つけたらあえて長く剪定して、主幹のラインが再構成できるのを考えてから、ふさわしくない主幹を切り落します。翌年にこの長く剪定した結果母枝から棚の斜面の上下に向かって交互に新芽が出てきますが、棚の傾斜の下方向に向かう芽を「芽かき」という作業で取り除いて、棚の傾斜の上方向に伸びる枝にぶどうを実らせます。そして、来年以降の剪定時には今回長く剪定した結果母枝を主幹として残して、ぶどうを生らせた新梢を翌年の結果母枝として短枝剪定していきます。そのようにぶどうの樹の再構成が必要な樹には思い切った対応が必要になりますが、翌年やその先のぶどう樹をイメージしながら、ぶどうの樹1本1本の状態を幹や枝の様子を見てあげながら対処してあげます。ただ、再構成しようとして樹形がいびつな偏ったものになりかねない時は、樹形のバランスを見てあげることも必要で、今回はちょっと様子を見て来年もう一度考えるということもあります。
「ない頭を絞りながらやってるよ」と栽培スタッフは笑いながら話してくれますが、よりよい品質のぶどうをつくるためにぶどう樹を最適な状態にしてあげたいという思いが伝わってきます。翌年の品質を規定する剪定作業は、翌年、翌々年のことをも考えながら取り組む非常に重要な作業です。

 

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さらに、主枝から結果母枝に至るまで、よけいな枝がないようにきれいに丁寧に切り除いていってあげます。これを「磨く」という表現をするスタッフもいますが、まさにぶどうの樹を丹精こめて磨いてあげているかのようです。
剪定の終わったメルロは、雨よけのためのトンネルの骨組みとなるワイヤーのドームの下に列をなして、短く刈りこまれた結果母枝が並んでいるのがお分かりいただけるかと思います。
1本1本のぶどう樹に向き合う剪定作業は、これからまだまだ続きます。

 

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メルロをアッサンブラージュ(=ブレンド)した登美の丘を代表する赤ワイン 

 

サントリー登美の丘ワイナリー 

登美の丘(赤)2012

サントリー登美の丘ワイナリー 

登美の丘(赤)2013

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