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サントリー地域文化賞

活動詳細

関東

群馬県 高崎市 2021年受賞

群馬交響楽団
文化による戦後復興を目指し誕生した地方オーケストラの草分け

代表:山本 一太 氏

2021年9月更新

写真
高崎芸術劇場での演奏会

 1945年11月、戦禍をくぐりぬけてきた若者たちが文化国家の建設を掲げ、高崎市にアマチュア楽団を創設。戦後の荒廃の中、地方都市から文化を通じた復興を目指す壮大な挑戦が始まった。1947年にプロとしての活動を開始、定期演奏会のほか「県内のすべての子供たちに生の音楽を届けたい」という思いで県内の学校を巡回する「移動音楽教室」など地道な活動をスタートさせた。前年度末までに延べ642万人を超える子供たちが観賞した。まさに日本におけるアウトリーチ活動の先駆といえよう。

 発足当初は存続の危機に陥るなど道のりは険しかったが、1955年に同楽団をモデルにした映画「ここに泉あり」で全国的に注目されるなど徐々に軌道に乗り始め、1961年には高崎市が建設した群馬音楽センターを本拠地として活動の幅が広がった。1981年からは県の支援を得てさらに活動が発展、1994年には欧州4か国を巡る海外公演を成功させ、2001年には日本の音楽業界を牽引しているとして文化庁の「芸術創造特別支援事業」支援団体にも指定された。2019年からは高崎芸術劇場に本拠地を移し、ますます充実した活動を行っている。

 現在、同楽団の稼働日数は年間200日を超える。「オーケストラをもっと身近に」「県民の心に潤いを」を合言葉に、定期公演以外に、地域に根ざした活動に注力。県内各地に音楽文化を広めるため各市町村のホールで演奏会を開催、地域の施設へのアンサンブルの派遣なども行っている。また、小・中・高等学校向けの移動音楽教室、幼児移動音楽教室、小中学生向けの楽器セミナーなど年に130回を超えるアウトリーチ活動も実施。その結果、県内の小中学生は3年に1回は必ずオーケストラを聴くという群馬県独自のシステムを定着させた。こうした長年にわたる地道な活動により、県民からは「群響」の名で親しまれており、有志によるファンクラブ「群響を応援する県民の会」や「群馬交響楽団合唱団」が結成されるなど、地域住民の生活に溶け込み、地域と一体となった活動を続けている。

 昨年はコロナ禍で演奏会はおろか集合練習さえままならない状況に陥った。しかし、そんな時だからこそ音楽で世の中を元気にしたいと、演奏動画のインターネット配信「おうちで群響」に挑戦。毎日欠かさず更新し群響ファンを励まし続けた。楽団員49名による「八木節」や県民等とコラボした「ラデツキー行進曲」などのリモート演奏は好評を博し、再生回数は12万回を超えた。さらにDVD教材の制作にも初挑戦し、県内の小中学校で教材として活用されている。

 今後は、これまでの歴史や伝統を守るに留まらず、コロナ禍での経験を活かして、新しい試みにも積極的に挑戦し、活動をさらに飛躍・発展させてもらいたい。

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