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サントリー地域文化賞

活動詳細

北海道

北海道 鹿追町 2021年受賞

しかりべつ湖コタン
凍った湖に雪と氷だけでつくる集落(コタン)で、冬の十勝の魅力を発信

代表:喜井 知己 氏

2021年9月更新

写真
イグルーが並ぶ「しかりべつ湖コタン」

 北海道十勝管内の鹿追町と上士幌町にまたがり、大雪山国立公園内にある唯一の自然湖である然別湖は、標高810mに位置し天空の湖とも呼ばれている。ここに毎年冬の間だけ、幻の村「しかりべつ湖コタン」が現れる。コタンとはアイヌ語で村または集落などを意味する。

 始まりは1980年。若者3人が冬の然別湖で楽しく遊ぶために、凍った湖の上にイグルー(カナダやアメリカに住むイヌイットが狩猟時に使う仮住まい)を作り始めた。1982年には、この動きを知った湖畔のホテル経営者や鹿追町も協力してイグルー3戸を作り上げ、第1回「しかりべつ湖コタン」が開村(同年実行委員会設立)。翌年その様子がテレビ放映されたことをきっかけに、地域の若者がこの「究極の冬遊び」に関わりたいと多数集まってきた。

 それ以来毎年、湖が全面凍結する12月下旬以降、研究を重ねたオリジナルの工法で、湖から切り出した氷や湖畔に積もる雪だけを使用して建造物が作られてきた。より良いイベントにするために試行錯誤を重ね、今では、氷のベッドやテーブルが置かれた「ホテル」、世界初の「氷上露天風呂」、手作りの氷グラスで飲み物を楽しめる「アイスバー」、コンサートや展覧会などが行われる「ホール」など、10以上の建造物が立ち並び、国内外から4万人以上の訪問客が訪れる。

 最大の特長は、ここに集う人々の「楽しみたい」という強い思い。「地元住民を中心とした沢山のスタッフが、一つの目的を達成するために一体となり、真剣に楽しく作業するからこそ、毎年異なる『しかりべつ湖コタン』が出来あがる。やらされ仕事では絶対にできない。」とある実行委員は言う。実行委員を筆頭に参加している人々がみな楽しそうにしているのを見て、さらに人が集まってくるのがこのイベントの良さである。

 2000年からは運営ボランティアを公募。毎年国内外から35名ほどが参加し、1週間~数カ月滞在して運営をサポートする。訪問客として訪れた人が翌年はボランティアとして参加するケースもあり、さらに、ボランティアを機に鹿追町に魅了されて移住した人もいる。また、「しかりべつ湖コタン」は地域住民が地元に住み続けたいと感じる理由にもなっている。

 雪と氷以外は一切使用していない「しかりべつ湖コタン」は、3月下旬に役目を終えた後はゆっくりと湖へ溶け帰っていくが、そこで体感した感動がいつまでも心に残るように、この「究極の冬遊び」も地域の文化として永く受け継がれるだろう。

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