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サントリー地域文化賞

活動詳細

東北

岩手県 三陸沿岸部 2020年受賞

三陸国際芸術祭
三陸の郷土芸能団体と、アジア各地のアーティストが交流する芸術祭

代表:中村 一郎 氏

2021年1月更新

活動紹介動画(02:00)
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写真
末角神楽を習うジャティラン(インドネシア舞踊)グループのメンバー

 自然の造形美であるリアス式海岸を誇る三陸沿岸地域は、神楽や虎舞、鹿踊りなど数多くの郷土芸能の団体が存在する世界でも屈指の芸能の宝庫である。その魅力を世界に伝え、アジアを中心とする世界の芸能と交流し、その出会いから新たな可能性を創出する。2014年に大船渡市を中心に始まった三陸国際芸術祭は、今では岩手県と青森県にまたがる14市町村(青森県:八戸市、階上町、岩手県:洋野町、久慈市、普代村、田野畑村、岩泉町、宮古市、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市、住田町)が参加し、世界中の多様な文化と芸術が混ざり合い、創造的な時間を分かち合える場となっている。

 同芸術祭の発足は2011年に遡る。東日本大震災で甚大な被害を受けた三陸沿岸地域への震災復興支援として、NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)が避難所や仮設住宅を訪れた。当初「からだをほぐせば、こころもほぐれる」をキャッチフレーズに、マッサージやストレッチを行うことで被災地の方々を励まそうと訪れたダンサーたちは、三陸の郷土芸能の素晴らしさに驚いた。そこでダンサーたちがその郷土芸能を習いに行く「習いに行くぜ!東北へ!!」に変更。地域が一体となった取り組みに進化した結果、同芸術祭が誕生した。以来、様々なチャレンジを試みながら、2018年には、さらなる発展のために、地域内外の民間団体と関係自治体で構成する三陸国際芸術推進委員会が組織され、開催地域も拡大した。全長600kmにもおよぶ広大な三陸沿岸部の各地を舞台に、地域の芸能団体がアジアの芸能団体やダンスグループ、現代アーティストとコラボレーションを行うなど、スケールの大きな他に類を見ない芸術祭となっている。また、これまで同じ地域や町内でも共演することのなかった団体がひとつの舞台を創造するなど新たな交流が生まれている。

 プログラムは、鑑賞、体験、交流に大別されており、近年では、金津流獅子踊りの全団体による合同演舞をはじめ、37ものイベントが、12市町村の公民館、文化会館、小中学校、駅舎や公園など、地域住民に馴染みの舞台で催され、観光客やワークショップ参加者など約3200人が集った。地元郷土芸能団体、他の国内外の地域のアーティストなどの出演者は延べ1100人で、その8割以上が地元住民。さらに関係者以外のボランティア等のスタッフ約230人もほぼ全てが地元住民で構成されるなど、地元にとっては一大行事である。地域以外から来る観光客や芸術家、関係者をもてなし交流することは、地域住民の大きな喜びであり、生きがいともなっている。

 今後は、世界に向けた情報発信の強化と、アーチスト・イン・レジデンスによる国内外の交流を通じた地域の活性化やコミュニティの形成にもつなげていくとともに、世界に誇る日本の文化資産としての郷土芸能のさらなる発展に期待したい。

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