サントリー文化財団

menu

サントリー文化財団トップ > サントリー地域文化賞 > 地域別受賞者一覧 > 山形県立置賜農業高等学校

サントリー地域文化賞

活動詳細

東北

山形県 川西町 2012年受賞

山形県立置賜農業高等学校
農と食に関連した多彩な活動で地域活性化に貢献

代表:岸 順一 氏

2012年10月更新

活動紹介動画(1分42秒)
動画を観る
写真

 創立117年を迎える山形県立置賜農業高等学校は、農業高校の特色を活かした「食・農・地域に拘り、活かす活動」により、地域の課題解決に様々な切り口から積極的に取り組み、農と食の文化の継承、発展に大きく貢献している。
 高校における地域活動は近年活発になり多くの高校で取り組んでいる。置賜農業高等学校の特徴は、学校全体のテーマとして取り組み、多くの成果が生まれている点、専攻分野に捉われず自由な発想で広げ、発展させている点にある。
 「MOTTAINAIプロジェクト」では、ワイン生産で出るぶどうの搾りかすを養鶏の餌として使用することで「食べて美味しいだけでなく、環境にも優しいやまがたエコ地鶏」のブランド化を実現、地元の飲食店だけでなく、関東・関西圏にも販路を広げた。さらに遊休地を利用した地鶏飼育の提案をするなど、地元業者と連携しながら加工や流通にもアイディアを盛り込むなど農業の付加価値を高め、六次産業化の普及啓発に努めている。 
 「えき・まち活性化プロジェクト」はJR米坂線の羽前小松駅の活性化に取り組み、町内の和菓子店と連携し、町の特産品を餡に使った三色の大福を土産物として開発、評判となっている。また町出身の作家故井上ひさしのゆかりの地を巡るツアー企画で観光甲子園のグランプリを受賞した。この企画の実現により地域の魅力再発見と活性化の大きな力となっている。
 「紅大豆本舗プロジェクト」は障がい者就労支援施設からの商品開発の依頼に応え、特産の紅大豆を使ったケーキを開発、人気商品となっている。町の喫緊の課題である一人暮らしのお年寄りを支えるための高齢単身者への紅大豆弁当の宅配、多くの高齢者を対象としたバイキング形式での試食会の実施など、食を通じて交流の輪を広げている。
 演劇部は「地域に飛び出せ」を合言葉に定期公演以外に、子どものための創作「食育ミュージカル」を5年間で95回上演し、子どもたちに楽しみながら食を考える機会を提供している。またお年寄りに楽しんでいただくために、演歌とコントと踊りをセットにした「演歌ショー夢芝居」を公演するなど、クラブ活動の枠を超えた外部公演を年間50回行い、地域の人たちに愛されている。
 熱心で優秀な指導者の元、素直な高校生の自由な発想力と粘り強い行動力が、農業の抱える問題の解決や、六次産業化、農を通じた地域の活性化、さらには食育への貢献、交流人口の拡大等、様々な分野に広がっている。地域活性化に果たす置賜農業高等学校の生徒の役割は大きく、地域住民に勇気を与える存在である。

サントリー文化財団