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サントリー地域文化賞

活動詳細

東北

岩手県 陸前高田市 2011年受賞

<特別賞>
全国太鼓フェスティバル
震災復興の起爆剤となる「太鼓の甲子園」

代表:及川 修一 氏

2011年10月更新

活動紹介動画(1分30秒)
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写真
全国トップレベルが競演する
「太鼓の甲子園」

 陸前高田市は、900年余りの歴史をもつと言われる「気仙町けんか七夕」をはじめ、「うごく七夕」、「三日市海上七夕」といった三大七夕があり、いずれも太鼓が重要な役割を果たしている。中でも、ぶつかり合う山車の上で激しく打ち鳴らされる「けんか七夕太鼓」は、国内外で広く公演を行い、太鼓の盛んなまちとして、陸前高田の名を高からしめてきた。この太鼓を活かして陸前高田の魅力を全国に発信したいと、1989年、第1回全国太鼓フェスティバルが開催された。

 実施にあたっては、毎年100名前後の市民による実行委員会が、民間ならではのアイデアを出し合い、手弁当で運営にあたり、これを市役所が強力にバックアップする。22年間にわたり、全国トップクラスの太鼓団体が競演してきたこのフェスティバルは、やがて太鼓関係者から「太鼓の甲子園」と呼ばれ、ここに出演することが太鼓打ちの名誉であり、憧れとなってきた。

 その陸前高田市に、2011年3月11日、巨大な津波が襲いかかった。市街地の大半が押し流され、市民のほぼ10人に一人が命を奪われた。このニュースが全国の太鼓打ちに伝わると、彼らにとって今や「聖地」とも感じられているまちの支援のため、多くの人々が動き始めた。各地で太鼓のチャリティコンサートが開かれ、そこで集められた義捐金が送られてくる。流された太鼓の代わりに新しい太鼓を届けたり、慰問公演に訪れる太鼓仲間が続々と続いた。実行委員会のメンバーは、いかに多くの太鼓仲間から、自分たちのまちが大切に思われていたのかを改めて知った。

 陸前高田で復旧が始まると、市民の中からも太鼓の練習を始める人が徐々に現れる。がれきの中から太鼓を拾い集め、大切に修理した。まちのあちこちで、様々な機会に太鼓の音が響き渡る。それがかつての陸前高田の日常であった。8月には小規模ながらも祭りが復活し、そこでも太鼓が打ち鳴らされた。長年、太鼓フェスティバル実行委員長を務めてきた及川修一氏は、地元の人たちも少しずつ元気を取り戻し、太鼓を打つその音は、「近づいてくる復興の足音のように聞こえる」と語った。

 さらに、様々な支援の動きの中から、今年10月1日に名古屋ドームで「陸前高田太鼓フェスティバル」を開催することが決定した。陸前高田の太鼓団体も出演する。例年会場として使っていた体育館は跡形もなくなり、今年はそれどころではないと、皆があきらめかけていた。しかし、やはり途絶えさせたくはなかった。そんななかで、フェスティバルの高い評価と窮状を知った名古屋青年会議所から支援の申し入れがあったのである。実行委員会では今回のフェスティバルを、陸前高田の惨状と復興への希望、そして支援をしてくれた多くの人々へのお礼を伝える場としても活かしたいと考えている。

 長年の間に築き上げられた評価とネットワークに支えられながら、太鼓を通じて、陸前高田の“今”が発信される。

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