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サントリー地域文化賞

活動詳細

関東

埼玉県 秩父市 2007年受賞

秩父歌舞伎正和会
手づくりの農村歌舞伎を継承し、他地域の地芝居も支援

受賞時代表:坂本 三男 氏

2007年8月更新

活動紹介動画(1:47)
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秩父夜祭での公演

 秩父地方には江戸時代から300年続く地芝居の伝統があり、庶民が歌舞伎に親しんでいた。この地域で太平洋戦争中「出征遺家族慰問の夕べ」という催しで歌舞伎を上演していた有志が中心となり、1947年に秩父歌舞伎正和会を結成。戦時中途絶えていた秩父夜祭での屋台芝居を復活させ、ここでの歌舞伎披露を軸として活動を行っていた。

 1970〜80年代には会員が4〜5人にまで減少し、会の存続が危ぶまれたこともあった。しかし秩父の住民によって「『秩父歌舞伎正和会』保存会」が結成され、地域ぐるみの後援が得られるようになって、危機を乗り越えた。以来、地域に根差した活動を心がけ、屋台芝居以外にも市民会館などで定期的に公演を行うようになり、秩父の人々に昔ながらの地芝居に触れる機会を提供している。

 また、茅葺の農村舞台である「萩平歌舞伎舞台」で60年ぶりに復活公演を行い、秩父地域の伝統文化の再興にも力を尽くしてしてきた。1999年からは市内3ケ所の小中学校の歌舞伎クラブに出かけ、歌舞伎の演技指導や子ども歌舞伎の公演も行っており、こうした積極的な取り組みが、地域づくりにも寄与している。

 正和会のメンバーは20名ほどで、秩父に暮らす20代から60代の歌舞伎の愛好者たちが、仕事を終えた平日の夜、週に2回の稽古に集まる。稽古にきちんと参加できることを条件として、会員数を大幅に増やすことはないので、公演の際は役者はもちろん、舞台設営から当日の裏方まで一人何役もこなすことになる。衣装や鬘、大道具等は全て手作りで、様々な演目に対応できるものを揃えている。豊富な持ち道具は正和会の財産であり、公演のたびに自分たちで手直しや新調を行う。

 また正和会では江戸時代に活躍した喜熨斗屋坂東彦五郎の名跡を継承していて、今年2月には12代目の襲名披露を行った。襲名はリーダー的な人物によって代々行われ、12代目を継承したのは30代の若手である。伝統芸能の団体としては大胆な若返りにも見えるが、稽古を重ねた実力が認められての襲名であり、後継者の育成に成功していることが正和会の大きな強みだと言える。

 さらに、関東各地に出かけて歌舞伎の演技指導を行うなど、地芝居の復興にも積極的に取り組んできた。埼玉県外からの公演の依頼も多く、定期的な公演とあわせると年10回以上もの公演数になる。稽古のほか、これらの準備なども含めるとほぼ毎日が活動日と言っても過言ではなく、その熱心な活動ぶりは他団体からも一目置かれている。

 秩父歌舞伎正和会は地域に密着した伝統芸能の姿を自ら体現すると同時に、次世代や他地域にまで目を配り、地芝居そのものの振興に大きく貢献してきた。今後もその着実な活動を通して、地芝居の手作りの味わいを多くの人々に伝える役割が期待される。

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