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サントリー地域文化賞

活動詳細

四国

愛媛県 東温市 2000年受賞

高畠華宵大正ロマン館
高畠華宵と大正ロマンを研究し、独自の企画展で紹介する美術館

代表:高畠 澄江 氏

2000年5月更新

写真
高畠華宵・作「支那服」

 1990年秋、大正から昭和初期にかけて一世を風靡した挿絵画家高畠華宵の作品を展示する「高畠華宵大正ロマン館」が、松山市近郊にオープンした。

 高畠華宵の兄、亀太郎氏の孫嫁にあたる高畠澄江氏が、愛媛県宇和島にある華宵の実家の土蔵を整理し、未発表の肉筆作品や手紙・写真等の遺品を発見した。華宵は華麗で叙情性豊かな画風で竹久夢二と人気を二分したが、現在は夢二に比して認知度が低い。澄江氏はそのことを残念に思い、華宵の魅力を広く世に伝えたいと美術館設立を思い立った。JR松山駅より東に車で30分、温泉郡重信町にある観光・レジャー施設の一角に、私費を投じて「高畠華宵大正ロマン館」を建設し、自ら館長に就任する。

 同館の最大の特徴は、華宵の作品や遺品を常設展示するのではなく、開館当初から華宵の作品を中心とする年4回の“テーマ展”、他館の作品も加えた年2回の“特別企画展”を柱に、1998年からは“シリーズ1920年代展”を開催するなど、一貫して企画展示を手がけてきた点にある。館長を中心に、学芸員4名、デザイン担当者が、アイデアと資料をもちより企画はもとより、展示作業も自らこなしている。

 “テーマ展”では、例えば「ファンタスティック華宵」「冬・大正ロマンへの旅」「美少年の心とからだ」などこれまで28回。“特別企画展”では「アール・ヌーヴォーの世界」、「のらくろ四国上陸」、「土佐から来たぜよ。絵金」「中原淳一」などのテーマで12回。“シリーズ1920年代展”では「女性編」「愛〜華宵とその時代」など5回を開催してきた。また県内外のデパートや美術館でも、華宵を中心とした館外展を19回実施している。

 1992年、同館の支援組織として「華宵会」が発足。華宵ファン、地元企業、県内外の学者、研究者を中心に、100人余でスタートし、現在では272人に達している。「華宵会」は研究論文・寄稿を掲載する会報誌「大正ロマン」を年2回発行しており、講演会やシンポジウム開催など幅広い活動をしている。

 同館では日頃、華宵の作品と彼が生きた時代背景の研究をしており、また他の美術館や華宵と縁の深い講談社、偕成社、ツムラ等との密接な協力関係を維持し、資料の発掘・収集、情報交換に努めている。同館の調査依頼により1993年、講談社の収蔵庫から華宵の絵本原画(「怪盗ルパン」等)371点、同じく偕成社より原画61点(「小公女」等)が発見され、いずれも寄贈を受けている。設立当初は作品・遺品あわせて1200余点でスタートしたが、その後の収集努力と多くの寄贈寄託を受け、現在では作品4300点、遺品500点、関連資料3200点を収蔵するにいたっている。

 同館は今後の活動方針として、華宵が活躍した1920年代をより広く深く考察し、華宵芸術の魅力に迫ることを第一に掲げている。また将来の夢は松山市内に展示拠点を持ち、より多くの人々に華宵に親しんでもらい、地域の文化風土の醸成に寄与していくことである。

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