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サントリー地域文化賞

活動詳細

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福井県 坂井市 1999年受賞

日本一短い手紙「一筆啓上賞」 活動
テーマを限定した短文の手紙を公募、地域のイメージアップに貢献

代表:大廻 正成 氏

1999年6月更新

写真
「一筆啓上賞」授賞式

 「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」―丸岡城天守閣脇にあるこの書簡碑は、徳川家康の功臣、本多作佐衛門が、陣中から家族宛てに書き送った簡潔な手紙文として世に知られている。「お仙」とは後の丸岡城6代目の城主、本多成重の幼名である。全国的に話題を呼んだ町づくり事業「日本一短い手紙」は、この地元ゆかりの書簡をヒントに発想されたものである。

 本事業は1993年から開始された。毎年テーマが設定されるが、第1回「母への手紙」から第6回「ふるさとへの想い」までの6年で、全国各地から丸岡町に寄せられた応募数は36万通に達している。ちなみにこれまで最も応募が多かったのは「父への手紙」で7万通をこえた。99年は「友への手紙」がテーマである。

 応募者を府県別に見ると地元福井県が常にトップで、愛知、東京、兵庫、大阪が上位を占めている。

 多数の人々の参加意欲を掻きたてた最大の要因は、短文の手紙募集というアイデアではないだろうか。この事業の仕掛け人である丸岡町文化振興事業団事務局長大廻政成氏によれば「地元の特色をいかした事業を考えろといわれて、企画会議の前夜浮かんだのが一筆啓上の手紙。短い手紙なら文章の苦手な人も、小学生でもパッと書けると、35文字以内の手紙文にしたのが、ヒットの秘密でしょうね」

 手紙にこだわり、封書以外の応募は受け付けず、郵政省の協力を取り付けている点も流石であるが、選考委員に人を得たことも大きい。時実新子、俵万智、黒岩重吾、森浩一の4氏の熱心な選考によって、入選作品のレベルが維持され、賞に対する信頼も醸成されている。

 毎年、入選作品に英訳を付した冊子8万部を作成し、国内の中・高等学校や図書館、さらには外国にも配布するなど成果を広く発信している。

 海外でもこの企画が注目され、1995年より米国オレゴン州ポートランド市を拠点とする英語版の「A Brief Letter Contest」がスタートした。毎回のテーマは日本と同じで、25語以内で英文の手紙を公募している。選考は日本文学者で州立ポートランド大学教授のパトリシア・J・ウエッツエル氏他2名。これまで4回で20をこえる国々から1万6千通の応募があった。これを機縁にポートランド市長が丸岡町を訪れ「文化交流都市宣言」を行っている。

 丸岡町文化振興事業団では、次のステップとして、これまでの36万通の応募手紙をベースに、世界にも類がない「手紙博物館」の実現を構想している。その一環として、1999年度から「一筆啓上賞」募集と合わせて、人々が所有する思い出の手紙(恋文、絵手紙、古い手紙などあらゆるジャンルの手紙)を預かり、永久保存する活動を開始した。当面は日本を中心に、将来は世界に手を広げ、手紙文化を花ひらかせることを構想している。

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