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サントリー地域文化賞

活動詳細

九州・沖縄

大分県 佐伯市 1998年受賞

県南落語組合
大分県の全市町村で出張寄席を実施、地域を笑いにより活性化

代表:泥谷 玄生 氏

1999年11月更新

写真
出張寄席の風景

 「自分が楽しくなくて、長続きがするはずがない」

 県南落語組合十訓の中の一節である。出張寄席を15年の長きにわたり通算1300回以上も続けてきた彼らの活動の基本姿勢ともいえるだろう。

 大分県内の各市町村や施設などから要請を受け、笑いを振りまきに自ら出向いていく彼らは全員がアマチュア。それぞれ仕事の合間を縫って練習に励む。週に2〜3回ある出張要請には、組合員がローテーションを組んでこれにあたっている。会場までの交通費はおろか弁当・衣装など全てが自前で、出演料はとらない。報酬といえば聴衆の明るい笑い声のみ。これが誰かに命令されて行う活動であったなら、絶対に続かなかっただろうと組合の発起人でもある矢野大和氏は語る。だが、多忙な活動をこなし続ける組合員の表情に悲壮感はない。「好きなことをやらせてもらっている」「自分たちの芸を喜んでくれる人達がいる」ことが活力の源となっているのであろう。

 演目は、メンバー各自が選んで独習するのだが、古典落語から地元の方言による漫談や手品、特産品を紹介する大喜利までとバラエティーに富んでいる。

 県南とは大分県の中でJR大分駅以南を指し、国東半島のある県北に対して使われる呼び名である。空港や観光地を擁し、先端産業などで栄える県北と比して、林業・農業などを主たる産業とした県南は過疎と高齢化に悩む市町村を多く抱え、明るい話題が多くなかった。そんな沈滞感を笑いで吹き飛ばそうと、1984年、同好の士3名が集まり企画したのがプロの噺家(春風亭小朝)の独演会であった。利益を度外視して実施した独演会は大成功の内に終わる。「プロだからこれだけのお客様が入ったのだろうけれども、素人でも無料なら聴きに来てくれるのではないか」、そう思い立ったのが現在の県南落語組合の活動の始まりであった。

 方々の市町村へ出向くうちに口コミで評判が広がり、地域のイベントや祭などの年中行事への参加も増えていった。呼ばれればどこへでも行くという精神で、その会場も公民館・集会所からお寺の本堂までと会場を選ばず精力的に活動を続けている。1994年には大分県58市町村全てへの訪問を達成。同年、小中学生を対象とした「落語少年団」を結成。若い世代へ落語の楽しみを伝える活動も活発だ。

 98年10月に大分県で実施された国民文化祭の落語競演会では、全国各地から応募した220人の中から15人だけ選ばれる出場者のうち、九州代表として県南落語組合員が出場、ほかにも副会長や、「落語少年団」の団員も出場するなど大活躍し、盛んな拍手をおくられた。

 物質的な豊かさの追求に追われがちな現代社会において、人々が心から笑いあうことの効用を、活動をもって示している彼らの活動の意義は大きい。

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