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サントリー地域文化賞

活動詳細

中国

山口県 宇部市 1987年受賞

宇部市ガーデンシティ緑化運動推進委員会(「受賞時は宇部市緑化運動推進委員会」)
緑と花と彫刻のある美しい町づくりを市民の手で実現

代表:藤田 忠夫 氏

1999年11月更新

写真
緑濃い宇部市街

 宇部市は山口県の南西部で瀬戸内海に面した石炭とセメント、ソーダなどの工業で発展してきた町であるが、戦争で都市部の大半を焼失した。1945年11月には戦災復興計画が策定され、工鉱業生産が回復するにともない、計画も逐次実現を見てきた。しかし一方では人心が荒廃し治安が脅かされ、また煤煙による公害が著しくなってきた。市ではこのため「産・官・学・民」の四者の協力による、いわゆる「宇部方式」といわれる独自の公害対策を実施し、その一環として緑化事業を開始した。

 市街地は干拓やボタの埋立てで造成された土地で、樹を育て得る土質でなく、また食うに事欠く荒んだ時代の中で緑化事業は困難を極めたが、これを克服しようとする当事者の努力が市民の共感を呼び、町ぐるみの運動が育ってきた。1955年「宇部を花で埋める会」が、つづいて58年に「市内公園を花で埋める会」が発足。同年第1回花壇コンクールが始まったほか、「市民の森造成運動」「香りの森市民運動」「花いっぱい一鉢運動」などの市民運動が誘発され、66年には「宇部市緑化運動推進委員会」に組織化され、「緑と花の町づくり」が今日まで営々とつづけられている。

 現在街路樹は38路線に約8万7千本。市民2人に1本の割合でしっかり根づき、また都市公園面積は224.81ヘクタール、市民一人当り12.84平方メートルとなっている。

 緑化事業は着実に根づいてきていたが、石炭産業の斜陽にともない、町には不安感がただよっていた。こうした雰囲気の中で、市民有志から自然と人間の接点として「宇部を彫刻で飾る運動」が提唱され、1961年7月の「第1回宇部市野外彫刻展」の開催となった。当時の日本の彫刻界を代表する中堅・新進作家17人の作品61点が白鳥の群れ遊ぶ百ヘクタールの常盤湖をバックにした高台に展示された。この事業は単に「宇部を彫刻で飾る」ことにとどまらず、「芸術と自然」「芸術と都市空間」とのかかわりを探求する試みとして、日本の近代美術史に重要な一頁を加えることとなった。爾来今日まで隔年に開催されて彫刻界の登竜門となっており、その後全国各地で催されてきた同種企画の嚆矢として、指導的な地位を確保してきている。

 宇部市ではこの彫刻展の優秀作品や、市民団体から寄贈された日本近代彫刻の秀作80余点が公園・広場・街路などに設置され、作品との対話・交流を通じて市民文化と精神の高揚がはかられている。

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