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サントリー地域文化賞

活動詳細

中部

愛知県 名古屋市 1983年受賞

グリーン・エコー
合唱音楽の新分野を切り拓く、斬新で多彩な音楽活動を展開するアマチュア合唱団

代表:江崎 栄二 氏

1999年11月更新

写真
シアターピース作品
「カルミナ・ブラーナ」

 1956年、アマチュア合唱団グリーン・エコーは名古屋の地に誕生した。創立以後のその歩みは、人生の感動を高度な演奏で表現しようとした第1期、合唱団内に編成したグループごとの学習や討論などの活動を通して音楽に対する理解を深めようとした第2期、そして音楽をより深く総合的に表現しようと、オーケストラ作品やシアターピース(合唱劇)に取り組んでいった第3期の3つの時期に分けることができる。

 今日、舞台と音楽を総合する新しい表現形式として、全国の合唱団が注目しているシアターピースの上演は、グリーン・エコーがパイオニア的役割を果たしてきたものである。1974年、名古屋を訪れた作曲家バーンスタインのもとに団員十数名が押しかけ、合唱形式による宗教劇「ミサ曲」の上演許可を取りつけた。翌年、本邦初演のこの「ミサ曲」で、グリーン・エコーは初めてのシアターピースに大成功を収めた。その後、カール・オルフの「カルミナ・ブラーナ」、バッハの「マタイ受難曲」など、プロの合唱団にとってさえ困難な大作を総合的な舞台作品として次々に成功させ、「シアターピースのグリーン・エコー」と呼ばれるまでになったのである。

 こうした活動のかたわら、「新しい日本の歌を求めて」というテーマを掲げ、愛知県下の民謡の採集・編曲・演奏を行う地道な活動も続けてきた。76年、創立20周年を迎えたグリーン・エコーは、これまでの活動の集大成として委嘱創作劇を企画、6年の歳月をかけて構想を練り、83年4月、岡崎周辺に伝わる「浄瑠璃姫」伝説をもとにしたシアターピース「峠の向かうに何があるか」(山崎正和・台本、三木稔・曲、伊豫田静弘・演出)の上演という形で、その努力を結実させた。

 グリーン・エコーの、時代を先取りした独自な企画力と卓抜した実行力は、地域に根ざした個性的で新しい音楽文化を生み出してきた。その後も自然環境を主題とした創立35周年記念委嘱作品「ゆめどき Dream Time」(佐藤信・詩・構成・演出、外山雄三・作曲・指揮、92年)、「マタイ受難曲」の再演(外山雄三・指揮、鈴木敬介・演出、93年)、「火刑台のジャンヌ・ダルク」の再演(井上道義・指揮、実相寺昭雄・演出、夏八木勲他・出演、97年)などシアターピースを手がけるほか、アジアの現代合唱曲をとりあげた「グリーン・エコー アジアをうたう」(98年)、20世紀を総括すべく、ナチズムの吹き荒れるさなかに一筋の希望を歌ったティペット「我らが時代の子」(北原幸男・指揮、伊原直子、三原剛他・出演、99年)のコンサートを行うなど、時代を見据えた意欲的な活動を行っている。

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