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サントリー地域文化賞

活動詳細

近畿

兵庫県 神戸市 1982年受賞

月刊「神戸っ子」
神戸の温故知新を訴え、社会と文化の発展を考えるタウン誌

代表:小泉 美喜子 氏

1999年11月更新

写真
小磯良平画伯の絵が表紙を飾る
創刊以来の版形(右)を
1998年にリニューアル(左)

 1961年、月刊「神戸っ子」創刊当時の神戸は、戦後の荒廃した雰囲気がそのままに残り、街は都市計画でいたるところが掘り返され、およそ文化という雰囲気から程遠い街であった。「こんなイメージが本当の姿ではない。ハイカラでユニークなコスモポリタン・神戸を掘り起し、育ててゆこう」と小泉康夫編集長を含めた3名で月刊「神戸っ子」は発足した。

 創刊号には「これは神戸を愛する人々の手帖です。あなたの暮しに楽しい夢をおくる。神戸を訪れる人々にはやさしい道しるべ。これは神戸っ子の心の手帖です」と記されている。小磯良平画伯の繊細で気品高い絵が表紙を飾り、神戸の素晴らしい風景がグラビアで紹介され、司馬遼太郎氏の連載エッセイや陳舜臣氏による外国人インタビュー、淀川長治氏の映画談義など、盛り沢山の内容に、ファッション、食べものなどのしゃれた広告もふんだんに盛り込まれた。

 しかし、それだけでは神戸のショッピング・ガイドにすぎない。この郷土誌の特色は、過去の神戸をたずねるとともに、現在の神戸が直面する問題に取り組み、地域社会、地域文化の活性化のために、誌面を通じての時代を先取りした提言、キャンペーンを数多く取り上げてきたことである。「神戸はどう生きていくのか」「神戸をファッション都市に」「美術館の設置を」「北野界隈をファッショナブルな街に」「“ポートピア'81”以降のコンベンション都市づくり」などは、市民の熱い支援と共感に支えられて見事に結実しつつある。

 「神戸っ子」も今や、発行部数3万部を越えた。1971年、10周年を迎えた「神戸っ子」は、地元企業の協力のもと、神戸の文化の発展のため、文学・芸術・音楽・舞台芸術・ファッションの5部門を対象に新しい文化人の発掘と育成を目的とする「ブルーメール(青い海)賞」を制定し、76年の15周年には地域作家の登竜門として「神戸文学賞」「神戸女流文学賞」を設けた。

 その後83年に、井植文化賞地域部門、85年にはNTTタウン誌大賞を受賞。90年には小泉康夫氏の妹であり副編集長の小泉美喜子氏が編集長に就任し、関西大賞さわやか賞を個人受賞するに至る。

 95年1月17日、阪神・淡路大震災に遭遇。2・3月合併号を震災特集号として発行。44名分の激励メッセージを掲載して反響を呼ぶ。同誌に寄せられた司馬遼太郎氏の「世界にただ一つの神戸」は遺稿文となった。また、美喜子氏は「震災復興トアロードまちづくり協議会」事務局長として、復興に向けて全力を傾け、96年に個人で兵庫県文化功労賞を受賞した。

 98年11月より版形をリトルマガジンからB5版に変更。99年からは小泉康夫氏を会長、代表取締役主筆に美喜子氏、佐井格勝氏を編集長とする体制としてスタート。創刊以来はや38年。新たなミレニアムを迎えて、スタッフはもう一度、原点に戻って人間としての思いやりの心をベースに、地域に根ざした文化の発展に奉仕していこうとしている。

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