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サントリー地域文化賞

活動詳細

九州・沖縄

沖縄県 宜野湾市 1980年受賞

沖縄民話の会
沖縄諸島の民話聞き書き運動展開、民話の保存・継承と地域での活用を推進

代表:遠藤 庄治 氏

1999年11月更新

写真
老人から民話を採集

 歴史的、風土的関係から沖縄各地には多様で学術的にも貴重な民話が、豊かな語り口とともに古老によって語り伝えられてきている。だが、沖縄の民話集はこれまで琉球王府時代に官の手で編集された「遺老説伝」があるだけで、民間の立場から採録された文献は皆無であった。しかも戦争で多くの伝承者を失い、「今のうちにこうした口承を採録しておかないと、沖縄民話は永遠に失われてしまう」と、地域の読書会や民話研究会のサークル活動として聞き書き運動が始められた。

 1973年、沖縄国際大学口承文芸研究会が本格的に体系的採集活動を始め、これが大きな刺激となって沖縄各地に民話の会が生まれた。そしてこれらの連合組織として、76年4月、「沖縄民話の会」が誕生した。沖縄での民話採集には特殊な方言からの採話を文字にする難しさと、多くの離島群での手間のかかる採集作業という二重の苦労がある。採集、記録、保存と同時に、その資料を地元に還元することを目的として、この会が組織されているのが大きな特色である。地元では採録出版だけでなく、絵本や紙芝居に構成しての「語り聞かせ活動」も行われ、地域文化の向上に大きく貢献している。

 会員は主婦・公務員・保母・学生など多彩なメンバーで構成され、すでに1万人以上から聞き取り調査を行い、採集した話は6万話にのぼっている。話者は60歳以上の方々に求めているが、お年寄の意欲も増し、採集の場所であるお年寄クラブなども活気を呈してきている。中には1800年代生まれの方の語りなども含まれ、現在では採集不可能な話も数多い。民話を収録したテープからは、その土地ごとの方言も録音されているため、暮らしぶりを知る資料としても一級のものである。

  1982年には、民話をもとに『おきなわ学校劇集』(沖縄時事出版)を刊行、小中学生が劇を通して民話と触れあえる下地をつくった。この脚本は県内各地の学校で数多く上演され、その成果をもとに、83年3月に琉球新報ホールで、第1回「おきなわ・民話劇フェスティバル」が開催された。また、同年6月には、「おきなわむかしばなし」46話と、その内容を1枚ごとに表現したひらがな「かるた」46枚の2部構成からなる「おきなわ民話かるた」を発刊、かるたを通して子ども達が文字を覚え、自然に民話の世界に親しめるように工夫している。

 沖縄民話の会の活動は、このように民話の採集にとどまらず、常に新しい形での民話の継承・活用を追求している。

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