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サントリー地域文化賞

活動詳細

九州・沖縄

大分県 大分市 1979年受賞

大分県民オペラ協会
民話を題材にした創作オペラ上演など、アマチュアオペラ界の先駆け的存在

代表:小長 久子 氏

1999年11月更新

写真
民話オペラの先駆け「吉四六昇天」

 欧米では音楽の最高の形態とみなされているオペラも、日本では育ちにくいと言われ、半ば定説となってきたが、それを覆すような目覚ましい活動を、しかもアマチュアの手で進めて来たのが「大分県民オペラ協会」である。

 「大分県民オペラ協会」は地元の大学、教育関係者、大分交響楽団や一般の音楽愛好家の手で1967年に旗上げされた。音楽や演劇は好きでもオペラに挑むのは初めてというメンバーばかりなので、準備に1年間をあて、じっくり腰をすえてのスタートとした。

 初公演は68年秋の県芸術祭。開幕行事として「フィガロの結婚」を県民に披露、大好評を呼んだ。これが県の芸術祭賞を受け、翌年には県民後援会も発足、その声援に応えるように県内の巡回公演が繰り返され、すっかり県民に溶け込んだ。レパートリーも、メンバーの話合いの中から「椿姫」「カバレリア・ルスチアーナ」「蝶々夫人」と増えていった。しかし何といっても、「大分県民オペラ」を今の地位にまで高めたのは、大分に伝わる民話の主人公、吉四六に題材をとった創作オペラ「吉四六昇天」である。

 この初演は1973年10月の県芸術祭で行われ、大分出身の歌手立川澄人氏が吉四六役での特別出演というエピソードもあって全国的な話題となった。その後75年の東京公演を皮切りに、九州各県、大阪などでも繰り返し上演され、民話ブームのきっかけをつくったほか、日本の創作オペラに対する認識と評価を高めるのに大きく貢献した。81年には文化交流使節として訪中、武漢市で4回、北京市で2回の公演を行った。中国のテレビでも放映されて大きな話題を呼び、翌年には、武漢で中国人によって中国語で上演されるほどであった。

 1992年には、文化庁地域文化振興特別推進事業として大分県国見町出身の殉教者神父を題材に「ペトロ岐部」を創作上演。これは95年イタリア・パルマ市のレッジョ歌劇場でも上演して成功を収め、バチカンでローマ法王に謁見、法王より労をねぎらっていただくことができた。また98年の「国民文化祭おおいた'98」では大分ゆかりの「瀧廉太郎」をオペラ化して上演した。美術・衣装を瀧廉太郎の竹田高等小学校時代の旧友であった彫刻家朝倉文夫の長女、朝倉摂氏が担当した。この作品も、瀧廉太郎の留学先であるドイツ・ライプチッヒでの上演にむけて準備を進めている。さらに2002年の上演をめざして、青の洞門を舞台にした菊池寛の『恩讐の彼方に』のオペラ化の準備も進められている。

 こうした大分県民オペラの活躍は県内の文化活動に刺激と影響を与え「県民演劇」や「県民バレエ」が誕生する気運を生んだ。またオーケストラやコーラスもオペラ活動のなかで技術的にも質的にも向上し、県下のオーケストラ、合唱活動に多大な影響を与えている。

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