About the Project

今日、日本に対する西欧の関心は薄れつつある。
これまでは日本は西欧以外で唯一の
近代民主主義国として、そしてここ数十年のうちには
他を圧倒する成功を収めた国としてみなされてきた。
しかし、中国、韓国、インド、ブラジルなどのまばゆい成長を
尻目に引き続く昨今の経済的後退により、
日本の姿はぼやけ始めた。

もはや日本は取るに足らない国となってしまったのだろうか?
われわれはそうは考えてはいない。
いわゆる失われた20年の間に浮き彫りになった問題は、
何も日本に固有のものではない。
日本は、先進国に共通する問題に取り組む最初の国にすぎない。
高齢社会と人口減少、エネルギー不安、国外からの衝撃に
対する過敏と脆弱(これは相互依存システムの紐帯が
深化した結果である)、 国内政治の行き詰まり、そして
地域ガバナンスと グローバルガバナンスの間の深い溝などがその例である。

日本の歴史を振り返れば、数々の試練を克服してきたことがわかる。
その歴史は弾力性に富み、豊かな知見に溢れるものであった。
今日、日本が問題の数々に取り組むことに世界は多大な関心を寄せているし、
手を差しのべる心がまえもある。日本の問題対処のあり方が、
各国における問題対処のあり方をも規定する面があるからである。
プロジェクト「グローバルな文脈での日本」の目的は、
共通の問題を抱えるわれわれの助けとなる知見やアイデアを求めるべく、
国際的な知の対話を深めることにある。