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Music Explorer Concert Project 事務局「MECPの音楽ワークショップ&Heart to Heart Concert」

  • 実施日時
    2019年12月7日(土)・8日(日)・11日(水)
    2020年1月17日(金)・2月12日(水)・14日(金)・19日(水)・26日(水)・27日(木)
  • 実施場所
    狛江市中央公民館、七ヶ浜国際村、気仙沼市立小泉小学校、南三陸町立戸倉小学校、
    調布市総合福祉センター3F「アイビー」、七ヶ浜町立亦楽小学校、七ヶ浜町立汐見小学校、
    七ヶ浜町立松ヶ浜小学校、仙台市立南中山中学校
  • プログラム
    モーツァルト:きらきら星変奏曲
    ドビュッシー:月の光
    ポンセ:小さな星
    エルガー:愛のあいさつ
    ショパン:スケルツォ第2番
    クライスラー:愛の喜び
    ドビュッシー:星の夜
    ガーシュウィン:アイ・ガット・リズム スペシャル 他
  • 出演
    MECP 高見 秀太朗 (ピアノ)
    鈴木 真衣 (ソプラノ)・千葉 展子 (フルート) 【12/8・2/12~27】
    山根 あずさ (ヴァイオリン)・金井 悠 (スタッフ) 【12/7】

主催者からのレポートをお届けします。
●テーマ:星空に願いをこめて… ―心によりそう音―
今年度のテーマは「星空に願いをこめて…」です。私たちは古来より、太陽の出ている間には見えない星空を眺め、目の前の人間社会から少し目線を変えて、心の中の思いを馳せてきました。現代社会においては殊更、星空を見るチャンスは減っていると感じます。代表高見も、宮城県気仙沼市・気仙沼大島を訪れた際、冬の夜空に広がるたくさんの星たちを目の当たりにし、その美しさに圧倒されるとともに、私たちの暮らしの中で「あるはずなのに、見えなくなっているもの」の存在を考えさせられました。
そんな星空が、東北の街中に突然現れた日がありました。2011年3月11日です。14時46分の地震、そして津波、原発事故と、想像を絶する被害の中、東北の各地には雪が降っていました。しかし夜になると、雪が止み、満天の星が広がったといいます。
変わらず空に浮かぶ星たちを、いまもう一度見つめ、そこに寄せられた思いに耳を澄ませてみる。「私たちは古今東西、同じ星空を眺めているんだ」と気づくことから、もう一歩先へ。「この同じ星空を眺めているあの人は、何を思うだろう。」 日々一生懸命で、言語での一面的な捉え方に左右され、見えない他者を思うことを忘れがちな今日、音楽という非言語のコミュニケーションツールを通じて、問いかけていきます。
星をテーマにした曲たちをきっかけに、私たちの感受の多様性を知り、音から気持ちを見つめます。ワークショップでは、実際にそれぞれが音楽を見つめた結果を、折り紙のハートの様子で表現します。
違うからこそ、力になる。想うからこそ、大切にできる。―すべて、自然と音楽が教えてくれることです。

●12/7(土)
【子どもの多摩里食堂 クリスマス食事会 with MECP】
東京都狛江市にて、毎月第2木曜日に開催されている子ども食堂です(現在は休止中)。
子ども食堂では、単に食を支援するのみならず、子どもたちの居場所づくりを通じて、共働き等で「孤食」にならざるを得ない子どもたちとご家族を含め、地域全体でお互いに支え合える関係づくりを担っています。また、支援する側のネットワークも、明確な目的のもとに集うことにより、地域のもつリソースを有効に生かすことができる効果もあり、まさに子ども・家庭・地域の「三方良し」な活動といえます。
子どもの多摩里食堂では、毎年クリスマスには盛大なお食事会を開催しており、2017年よりMECP として参加しています。まずは集まった参加者のアイスブレイクとして、テーブルごとハンドベルに挑戦。一緒に盛大なビュッフェ(スタッフの皆さまの手作り!)を楽しんだのち、遊びコーナーとして楽器づくり体験、最後にワーク&コンサート。私たち以外にも、地域の大人たちが様々な出し物や遊びコーナーの出展を行います。日頃の垣根を超えて、食と遊びで「お腹いっぱい、心いっぱい」な時間を過ごします。

●12/8(日)
【MECP ワークショップ「音楽のクリスマスツリーをつくろう!―わたしの願い、星まで届け―」& Heart to Heart Concert in 七ヶ浜国際村】
七ヶ浜国際村で毎年12月に開催している「クリスマスクラフトマルシェ」にて開催。館内ではさまざまな団体が出展し、手作りの体験や販売などが行われています。MECPでは学校ワークショップを行っているご縁で、2018年から参加。授業とは異なり、自由な発想で遊びながら、音楽に親しむ場を提供しています。
音づくりワークショップとコンサートを合わせ、身の回りから音楽がつくられることを、より深く実感する機会となることを目指しています。

会場:七ヶ浜国際村 (宮城県宮城郡七ヶ浜町花渕浜字大山1-1)
七ヶ浜町の複合施設として1993 年開館。財団法人地域創造 平成20年度JAFRA アワード、公共施設百選にも選ばれています。舞台の後ろに海が見えるホール、水に浮かぶ野外劇場「アンフィシアター」など、日本中でも類稀な美しい施設が揃います。しかし東日本大震災では、町内の多くの地域が津波の被害を受け、国際村の周辺も海沿いからの高台移転地となり山が削られるなど、大きく町の風景が変わりました。
ピアニストの仲道郁代さんが開館よりレジデントアーティストを務め、様々な活動を実施しています。

●12/11(水)
【MECP 心をつなぐコンサート in 気仙沼市立小泉小学校】
【MECP 心をつなぐコンサート in 南三陸町立戸倉小学校】
私たちの日常には音楽があふれていますが、何気なく聞き流してしまっていると、実はその音楽が伝えようとしている、様々な思いを見過ごしているかもしれません。「みんな同じように捉えているはず」と無意識のうちに考えていることを、言葉ではない音楽を「見つめる」体験、自分の言葉から音楽に「つなぐ」体験から、再度捉え直すことを目指しています。
今回はコンサートスタイルで、様々な曲に込められた作者の思い、描かれている情景を想像しながら聴く活動と、参加児童の好きなことばをランダムに3つ出してもらい、即興で曲をつくるコーナーを実施。
まずは「音楽で私たちも何か伝えられる!」ことを実感することで、「じゃあこの音楽は何を伝えたいんだろう?」と探求することに進むことができます。多様な体験がその鍵となればと願っています。

●1/17(金)
【MECP Heart to Heart Concert in アイビー】
調布市社会福祉協議会からのお声かけで、2013年より毎年2回お邪魔しているデイサービス「アイビー」。すっかり顔なじみの方も多い中、和やかな時間をご一緒します。冬の寒い季節、あたたかい部屋で音楽を楽しみながら、お話を交わすひとときは、まさにお互いを「思い合う」、心のつながりを感じる時間でもあると感じています。
コロナ禍の影響で2020年夏の会は開催できませんが、また再開できる日を心待ちにしています。

●2/12(水)・14(金)・19(水)
【七ヶ浜町立亦楽小学校・汐見小学校 MECP 音楽ワークショップ(5年生)】
【七ヶ浜町立松ヶ浜小学校 MECP 音楽ワークショップ(4年生)】
毎年七ヶ浜町では、ピアニスト・仲道郁代さんが小学6年生の全クラスにワークショップを実施しています。七ヶ浜町・七ヶ浜国際村のご協力を頂き、町内3校の小学4年生または5年生に対する取り組みを実施しました。4・5年生で音楽の見つめ方に出会い、6年生でさらに深い感性と世界的アーティストの魅力に触れるだけにとどまらず、その先も中学生・成人式と、人生の折に仲道さんの演奏を通じて自分を振り返る機会があります。未来を担う子どもたちに豊かな体験を。町が一体となって届けます。

●2/26(水)・27(木)
【仙台市立南中山中学校 MECP 音楽ワークショップ(1年生)】
MECP 代表・高見は、宮城教育大学教職大学院にて、中学校音楽科を中心とする「心をつなぐ」音楽教育を研究しました。言葉ではないコミュニケーションツールについて考えることは、学校・社会における人間関係を考えることにも通じます。彼らの感想からは、一面的に捉えず、お互いを思い合うことへの気づきが多数見られました。一部抜粋します。
「同じものでも、一人一人の違った感じ方があることで、人の心を動かしている。」「音楽の感じ方には、その人の本性が現れると思いました。実はめちゃ明るい性格だったり、深く考え込みすぎる性格だったり、自分をさらけ出す力があると思いました。」「同じ気持ちをもって、お互いに共感できるのも音楽の力。違う気持ちをもって、お互いの違いや多様性に発見を得られるのも音楽の力。」「音楽は、伝えたいことを考えて作っても、聴く人には届かないこともあるのかもしれないと思った。それでも何かを思いながら作ったり聞いたりすることに意味があると思う。」「100 年前の人の言葉は他人事のようだが、音楽は時を越えて通じ合える感覚になる」「それぞれ曲に思うことがあるので、他人の好みをばかにするのはよくないと思った。」
音楽の授業を通じて、表面的な知識・技能の先にある、私たちが生きる上で「伝えること・感じること」の本質的な意味に、少しでも触れるきっかけとなればと思います。