2026.10.19
「響」と音楽で、サントリーを伝える。ニューヨークで挑んだ、企業ブランドづくり
2014年に新卒でサントリーに入社し、酒類営業からキャリアをスタートした町野あかりさん。社内研修制度への挑戦、コーポレートブランド戦略部への異動を経て、2023年にはニューヨークへ。一つひとつの経験を成長につなげてきた町野さんに、これまでの歩みと、海外で働くことのリアルを伺いました。
「サントリー」という企業のファンを、世界に増やす。
2023年9月、サントリーアメリカへ赴任した町野さん。ニューヨークを拠点に、サントリーグローバルスピリッツ(以下、SGS)と連携しながら、アメリカでのコーポレートブランド戦略の立案・推進を担当してきました。
町野さん:商品ブランドのマーケティングが、それぞれの商品の魅力を伝えてファンを生み出していく仕事だとすれば、コーポレートブランディングは、サントリーという企業そのもののファンを増やしていく仕事です。
日本では高い認知度を持つサントリーですが、アメリカではまだ企業としての認知が十分とは言えません。ものづくりや社会貢献活動、サステナビリティへの取り組みなど、サントリーが持つさまざまな魅力を活用しながら、アメリカでの企業プレゼンスを高めていくことがミッションになります。
2026年9月に帰国し、現在はサントリー株式会社 ウイスキー部に所属している町野あかりさん。
町野さん:たとえば、ビジネスメディアが主催するイベントにスポンサーとして参画し、サントリーのものづくりやサステナビリティについて発信していくことも施策のひとつです。そのなかでは、サントリーの商品だけではなく、その背景にある企業としての姿勢まで伝えることを大切にしていました。
また、現地社員にサントリーの歴史や理念を理解してもらうインターナルブランディングも私たちの重要な業務です。理念月間には、サントリーの歴史の礎ともいえる「赤玉ポートワイン」を使ったカクテルを社員向けのイベントで提供するなど、楽しみながら企業の歴史に触れられる企画も実施しました。
帰国時の送別会にて、現地メンバーと撮影。
一方、アメリカへの赴任当初は、自分が現地でどう価値を発揮できるのか悩むこともあったといいます。
町野さん:ちょうど、ビームサントリーからSGSへの社名変更を行なったタイミングで、社名にサントリーの名前が入ることで、コーポレートブランドとしても大きな転換期を迎えていました。コーポレートブランド活動の基盤をつくっていくうえでは、現地メンバーと目線を合わせていくのにも苦労しましたね。
アメリカのビジネスやメディアについては、当然ながら現地のメンバーのほうが詳しいです。でも、日本から来た私だからこそ、サントリーの歴史や理念、ものづくりの背景をより深く伝えられます。自分が何を持っているのか考え、その強みを生かすことで、少しずつ貢献できるようになったと感じています。
営業時代の挫折を糧に。自ら切り拓いたグローバルへの道
町野さんのサントリアンとしての原点は、入社後に初期配属された酒類営業部門。1年目は群馬県で、2年目からは長野支店で家庭用酒類営業を担当しました。
町野さん:学生時代は、小学校高学年から大学まで陸上競技の短距離に打ち込み、中学生のときには100mで東京都1位になったこともありました。2014年にサントリーに新卒入社してからも、目標に向けて粘り強く取り組む姿勢は自分の強みとして生きているなと感じています。
一方、営業現場では大きな壁にも直面しました。長野時代、店舗で販売活動を行ってくださるMP(マーケティングパートナー)さんたちとの間でコミュニケーションに行き違いが生じてしまい、思うように連携がとれなくなってしまったんです。
私自身、相手の立場への理解や感謝の気持ちが十分ではなかったと感じています。当時は仕事もなかなか前に進まず、悩むこともありましたが、相手に何かをお願いする前に、まずは自分が相手を理解し、感謝の気持ちを持って接することが大切なのだと気付かされました。自分の仕事への向き合い方を見つめ直す、大きな転機でしたね。
「チームワークの大切さを、サントリーに入ってから改めて学びました」と、町野さん。
そこで、町野さんは一から信頼関係を築き直そうと、自らの行動を変えていきます。
町野さん:まず始めたのは、担当エリアの店舗を改めて一つひとつ回るということです。長野県は南北に広いので簡単ではありませんでしたが、実際に現場に行かないとわからない苦労があります。まずは誰よりも自分が現場を理解し、最前線で尽力してくれているパートナーさんと同じ目線に立つことを意識しました。
また、パートナーさん一人ひとりに手書きのメッセージを書くことも始めました。毎週末送る週末便に、「今週も活動ありがとうございます。〇〇店のあの売り場を確保するのは大変でしたよね」など、MPさんたちの活動を理解したうえで、それぞれに違う言葉を添えていました。
地道な行動を重ねるうちに、周囲との関係は改善し、営業成績も少しずつ向上。営業の社内コンペにも入賞し、副賞としてシンガポールでの海外研修に参加したことが、町野さんの新たな転機となります。
町野さん:陸上は個人競技なので、自分が努力した結果が自分に返ってくる世界でした。でも仕事では、自分だけが頑張っても成果は出せません。相手を理解し、信頼関係を築き、同じ目標に向かって周囲を巻き込んでいく。営業時代に学んだこの姿勢は、その後の仕事にもずっと生きています。
シンガポールでの海外研修では、現地で活躍する日本人駐在員の方とお話しして、海外でのサントリーのビジネスが一気に身近になりました。その頃から、いつか自分も日本以外でのビジネスに関わってみたいと思うようになったんです。
2018年には、社内の応募型研修「キャリアチャレンジ(現・グローバルチャレンジ)」に参加し、営業を続けながら1年間、英語やビジネスの基礎知識を学びました。その後は自ら社内公募に手を挙げ、コーポレートブランド戦略部へ。
コーポレートブランド戦略部の海外業務では、時差のあるエリアとのやりとりも日常茶飯事。
町野さん:営業の現場で仕事をやり切った先に、今度はもう少し経営に近いところで、会社全体を俯瞰できる仕事をしてみたいと考えたんです。異動後は、グローバル向けのSNSやWebサイト、海外メディアを活用した広告なども担当させていただきました。
英語での業務や社内外の幅広い関係者との連携には苦労も多かったのですが、少しずつ経験を重ねていった結果、2023年にニューヨーク赴任のチャンスをいただきました。キャリアチャレンジでの経験も含め、社員の成長機会に投資してくれるところは、サントリーの魅力のひとつだと感じますね。
音楽とウイスキーが響きあう。NYで実現したブランド体験
ニューヨークで担当した仕事のなかでも、特に印象深いものとして町野さんが挙げるのが、カーネギーホールとのパートナーシップです。
町野さん:カーネギーホールとサントリーは40年以上にわたる交流の歴史があります。2022年に始まったスポンサーシップには日本にいた頃から遠隔で参画していましたが、取り組みを重ねるなかで信頼関係を築き、NY赴任後には音楽と「響」を掛け合わせたブランド体験イベントを実現することができました。
「響」はサントリーの企業理念でもある『人と自然と響きあう』を体現した製品でもあるのですが、実はその開発にはブラームスの交響曲第1番第4楽章から着想を得たというエピソードがあるんです。そのストーリーをより深く感じていただくために、SGSのウイスキーブランドアンバサダーや、カーネギーホールの演奏家の皆さんと何度もブレーンストーミングを重ねてオリジナルイベントを構想していきました。
「響」を使ったオリジナルカクテルや、オリジナルロックアイスなど、さまざまなコラボ施策も展開。
特に、カーネギーホール演奏家によるブラームスの生演奏と「響」の構成原酒5種類のテイスティングを組み合わせたイベントは、「響」が大切にする調和の思想を味覚と聴覚の両面から体感できる内容となりました。サントリーならではのユニークな手法で、参加いただいたゲストの方に豊かな時間をお届けすることができたと思います。
参加者は、「響」の5種類の構成原酒のテイスティングと、それぞれの原酒の特徴や役割に近い楽器の音色を堪能。
町野さん:単に商品を紹介するのではなく、その背景にあるものづくりやストーリーまで含めて、豊かな時間を届ける。世界的な音楽の殿堂でのサントリーらしいブランド発信は、絶対にひとりでは実現できなかった仕事です。いろいろな分野のプロフェッショナルが知恵を持ち寄ったからこそ、あの体験が生まれたと思っています。
町野さんは2026年9月にニューヨーク駐在を終えて帰国し、同月からウイスキー部で新たな仕事を始めています。
アメリカへは夫婦で渡った町野さん。「寿司職人の夫のおかげで日本食には困りませんでした(笑)」
町野さん:まだ異動したばかりですが、現在はサントリーウイスキーの魅力を伝え、ファンをつくっていく業務に取り組んでいます。これまでコーポレートブランドの立場から発信してきた「水の大切さ」などを、ものづくりの側から深く学べることがとても新鮮です。まずはウイスキーの世界でさまざまな経験を積みながら、将来的にはもう一度グローバルで働くことにも挑戦したいですね。
サントリーを目指す学生の皆さんには、社会人になる準備を急ぐより、今いる場所で目の前のことを120%やり切ってほしいです。私自身、入社した頃はニューヨークで働く未来なんて想像もしていませんでした。「今」に夢中になって挑戦を重ねた先にこそ、きっと想像もしなかった世界が広がっているはずです。

※社員の所属・役職、内容は取材当時のものです。
編集:サントリーホールディングス株式会社 人財戦略部
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目指すは箱推し。ファンを巻き込むサントリーのブランド戦略とは?

町野 あかりAkari Machino
サントリー株式会社
ウイスキー部
2014年、サントリーホールディングス株式会社に入社。酒類営業部門に配属後、群馬エリアで家庭用営業を担当。2年目からは長野県で家庭用酒類営業に従事。2019年、コーポレートブランド戦略部へ異動し、グローバル向けのオウンドメディアや広告などを担当する。2023年9月サントリーアメリカにて米国におけるコーポレートブランド戦略の立案・推進に取り組み、2026年9月より現職。