2025.11.17
「人を育てる会社」サントリーが描くキャリアの可能性

「人」こそが、経営の重要な基盤であるという「人本(じんぽん)主義」の考えのもと、サントリーには「10年3仕事」という人事施策があります。今回の取材では、サントリーホールディングス株式会社人財戦略部課長の宮地邦彦さん、サントリー株式会社人財戦略部の盛重翔子さん、そして、サントリー株式会社で10年3仕事を経験し、現在サントリージン(翠)のブランドを担当されている京谷季樹さんに、それぞれの視点からお話を伺いました。
社員の中長期的な成長を目的とした「10年3仕事」
サントリーでは「人財は原酒と一緒」。原酒を大切に育てると、最初は想像もつかなかった素晴らしい酒になるように、人財育成も長期的な目線で成長を考える“人財原酒論”という考え方があり、人事施策として、10年3仕事を取り入れています。
和やかな雰囲気で取材に応じてくださった宮地さん(左)、盛重さん(中央)、京谷さん(右)
盛重さん:10年3仕事とは、入社後10年間で3つの異なる仕事を経験するというサントリー独自の施策です。これは単なるジョブローテーションではなく、社員が多様な業務を通じて視野を広げ、専門性と人脈を獲得し、長期的に活躍できる人財へと成長することを目的としています。
具体的には、入社後10年の間に2回異動していただき、その内の1回の異動では、「ビヨンド異動」という、現在の業務とは大きく異なる職種や事業など、環境変化を伴う異動を経験していただきます。
宮地さん:サントリー二代目社長である佐治敬三の言葉「人財は原酒と一緒や。短期で決めつけたらあかん。長い目で見てやらなあかん。」にも表れるように、サントリーでは創業以来、「人」こそがもっとも、重要な経営基盤であるという人本主義にもとづき、中長期的な視点での人財育成に力を入れています。
「同じ人財戦略部として普段から業務の接点が多いです」と話す宮地さん・盛重さん
幅広い仕事を経験させることが、社員の成長につながる——。そんな想いのもと、人財戦略部でも社員一人ひとりのキャリアに対して、中長期的な視点を持って向き合っています。
盛重さん:サントリーに入社する社員の皆さんには、自らの可能性を広げ、柔軟性と適応力を身につけていただきたいと考えています。
異動先の部署は、環境、人、業務内容がこれまで所属していた部署とは全く違う可能性がありますし、負荷が掛かることもあるかと思います。しかしその分新しい部署での学びを得て、活躍できる人財になってほしいです。
人財戦略部に着任するまでは、家庭用営業(※)を担当。「サントリーの好きなところは、人を大切にしていること、人を育てる会社であること」と盛重さん。
※家庭用営業:スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアなどの「量販店」を担当する営業のこと。
宮地さん:10年3仕事には、携わる事業や職種が大きく変わることで、社員に多様な挑戦の機会を与え、成長を遂げてもらいたいという想いが込められています。
「やってみなはれ」という言葉に象徴されるように、サントリーは挑戦する人を応援する会社です。配属されたそれぞれの部署で、チャレンジ精神を持って前向きに成長してほしいと考えています。
「サントリーは人が命の会社であり、そのど真ん中の業務に携われていることに、責任の重さとともにやりがいを強く感じています」と宮地さん。
さまざまな環境で学び続けたからこそ、今の自分がある。
京谷さんは、新卒入社で業務用営業として四国支店に配属。その後、松山支店を経て業務用統括部への異動を経験し、24年4月から25年6月までサントリージン(翠・六)のブランドを担当。現在は、翠のブランドを担当しています。
実際に10年3仕事を経験した社員の立場からお話を伺います。
「六」のブランド担当時、グランドプリンスホテル高輪内にオープンした「茶室 BAR ROKKAN by ROKU GIN」の立ち上げを経験された京谷さん。
これまでの業務とまったく異なる部署への異動。時に困難に直面することもあったものの、部署ごとでの学びがあったからこそ成長できた、と京谷さん。
京谷さん:サントリーに新卒で入社してからこれまで、異動のたびに新しい環境や業務に直面し、着任して最初はどの部署でも本当に苦労しました。しかし、周囲のサポートや日々のコミュニケーションを通じて乗り越えることができています。
入社後最初に配属された四国支店と、その次の配属先だった松山支店は比較的支店の社員数が少なく和気あいあいとした雰囲気で、先輩や上司に相談しながら業務を進められる環境だったのも人として大きく成長できた要因だと思います。
その後は業務用統括部やサントリージンのブランド担当に配属されましたが、地方での営業経験から、一人ひとりのお客様に合わせて色々な角度から頭を悩ませながら提案する癖がついており、これまでのキャリアを活かすことができているのだと感じています。
「まったく環境の違う部署での業務を理解することで、同じ内容の仕事でも、違った視点のアイデアが出てくるのが面白い」と京谷さん。
4つの部署での業務を経験した京谷さんは、どの部署でも目の前の仕事に最大限取り組み、前向きにキャリアを形成してきたと語ります。
京谷さん:定期的なキャリア面談やフィードバックの時間がある上、異動のタイミングで上司から改めて期待している所や伸ばしてほしい点について説明をいただけていたので、モチベーションを下げることなく業務に集中することが出来ています。
キャリアビジョンについて今までは、与えられた場で学び貢献しようと思っていたので、どの部署に異動になっても最大限頑張ろう、という気持ちでいました。
同じように10年3仕事を経験している社員には、明確なロードマップを持つ人もいれば、与えられた仕事に全力で取り組む中で自身の特徴や伸びしろを見出していくタイプの人もいますが、サントリーは、どちらのタイプにも寄り添いながら、個々の成長を支援してくれていると思います。
宮地さん:10年3仕事のような、戦略的なローテーションを実行してきたことで、サントリーは同じ組織のなかにも、さまざまな経歴やバックグラウンドを持つ多様な社員が在籍しています。これによって、多様な視点や専門性が集まり、複数の強みを持った人財の協創によって、新しい発想やイノベーションが生まれやすい環境がつくられると考えています。
サントリーに入社された社員の方々には、京谷さんのように、新しい環境で壁にぶつかっても周囲と連携しながら解決する力を身に着け、そこで得た力を活かし、さまざまな分野で活躍していただきたいと思います。
盛重さん: サントリーの人財戦略部では、人本主義の考えのもと、社員一人ひとりの育成計画に関する部署との議論や、定期的な面談等を通じて、個々の強みや課題を把握しながらキャリア形成を支援しています。
京谷さんの経歴のように一見これまでの業務とは大きく異なる職種や事業への異動のように感じても、その異動の背景には人財戦略部や部署の上司の期待や想いが込められています。10年3仕事を経験されるサントリー社員の皆さんには、ぜひ臆することなく挑戦する気持ちで、異動先でも頑張っていただきたいです。
自身の経歴を振り返り、培ったキャリアや思い出話に花を咲かせる宮地さん、盛重さん、京谷さん
サントリーでは、採用の場面でも、中長期的な将来を見据えて活躍し続ける人財を探し続けています。
宮地さん:サントリーでは、「採用する人財はこうあるべき」という厳格な採用基準は設けずに、多様な価値観や経歴を持つ人財を幅広く採用しています。
社員の皆さんには自身の持ち味を生かして成長しながら、サントリーが持つ多様なフィールドで活躍してもらいたいと思いますし、私たちも中長期的な視点で、すべての社員の活躍を支援していきたいと思います。
盛重さん:人生100年時代に差し掛かる今、複数のキャリアの選択肢を持ち、長い将来を見据えてキャリアを考えることが重要になっています。
サントリーは、生涯イチチャレンジャーとして活き活きと活躍し続ける社員を支援しています。ぜひ、さまざまな職種や業務でキャリアを積むことで自身の武器を身につけ、活躍の場を作っていってほしいです。
宮地さん、盛重さん、京谷さんの今後の展望をお聞かせください。
京谷さん:今は目の前の業務に集中し、成果を出すことで会社に貢献することを目標としています。これまでの経歴を生かして自分らしい形で会社に貢献したいですし、これまで、社内外多くの人に支えられて今があるので、成長した姿を見せられるように頑張りたいと思います。また、今度は自分が誰かをサポートする側となって、部署内外でのチームワークを築けるようになりたいです。
盛重さん:人財戦略部に着任して1年半が経ちましたが、人と人との関わりや、人の成長を支援することの重要性を日々感じています。サントリーの「人本主義」の考えには非常に共感していますし、今後はより人事としての軸を太くしたいと考えています。これまでのキャリアを経て私自身が「人と関わることが好き」ということも実感しているので、今後のキャリアにおいてもその持ち味を生かした活躍がしたいです。
宮地さん:私も盛重さんと同様に、人に関わる仕事が好きですので、”人”を軸にキャリアを積みたいと考えています。これからも10年3仕事をはじめ、サントリー流のタレントマネジメントを進化させて、すべての社員の活躍を目指していきたいと思います。
※社員の所属・役職、内容は取材当時のものです。
編集:サントリーホールディングス株式会社 人財戦略部

宮地 邦彦Kunihiko Miyachi
サントリーホールディングス株式会社
人財戦略部 課長
新卒として2008年サントリーに入社。総務部、九州広域営業部、労働組合専従、戦略本部への異動を経験。2025年4月から人財戦略部に着任し、現在に至るまで人事としてタレントマネジメントを担当。

盛重 翔子Shoko Morishige
サントリー株式会社
人財戦略部
新卒として2017年サントリーに入社。近畿広域営業部にて家庭用営業を経験したのち、2024年5月から人財戦略部に着任し、現在に至るまで国内酒類事業のタレントマネジメントを担当

京谷 季樹Toshiki Kyoya
サントリー株式会社
リキュール・スピリッツ部
新卒として2015年にサントリーに入社。四国支店、松山支店で業務用営業を担当し、2021年業務用統括部に着任し、ジムビーム・翠や焼酎をはじめとするスピリッツ製品の活動推進を担当。2024年4月よりリキュール・スピリッツ部に着任し、25年6月までサントリージン(翠・六)のブランドを担当。現在は翠のブランドを担当。