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松本 淳一 ©Aya Sunahara |
第35回 芥川也寸志サントリー作曲賞(旧名:芥川作曲賞)は、8月30日(土)午後3時から東京・サントリーホールでの演奏会による公開選考の結果、松本淳一氏作曲の「空間刺繍ソサエティ」に決定しました。同氏には、賞状とあわせて賞金150万円が贈られました。
芥川也寸志サントリー作曲賞は、戦後のわが国音楽界の発展に多大な貢献をされた故 芥川也寸志氏の功績を記念して、サントリー音楽財団(現・公益財団法人 サントリー芸術財団)が日本作曲家協議会の支援を得て1990年4月に創設したものです。故人の深い音楽愛、明晰な音楽観と音楽の振興によせられた熱情を追慕して、わが国の新進作曲家のもっとも清新にして将来性に富む作品を対象に、演奏会形式により公開選考を行うという、作曲賞としてはわが国で初めてのユニークな試みとなっています。さらに、受賞作曲家には新しいオーケストラ作品が委嘱され、2年後にその初演を行うという複合的な賞です。
サントリー芸術財団の母体となる鳥井音楽財団が1969年に設立されてから50年を迎えた2019年から、賞の志をより明確にするため、「芥川也寸志サントリー作曲賞」へ賞名変更するとともに、賞金を増額し、日本人新進作曲家のさらなる飛躍を応援しています。
なお、この日、公開選考に先だって、第33回受賞者 向井 航氏の受賞記念サントリー芸術財団委嘱作品「『クィーン』 ユーフォニアム、エレキギター、女声アンサンブルと大オーケストラのための(オルガン付き)」の世界初演が行われました。
▽第35回芥川也寸志サントリー作曲賞
松本 淳一(まつもと・じゅんいち)
『空間刺繍ソサエティ』
<贈賞理由>
楽譜に書き込まれた多くの情報の一つ一つ、オーケストラの音響的な配置が活かされ演奏効果に反映されていた。個々のセクションが独自に発声し、一種の集団劇のようであり、音のぶつかり合いが<刺繍>を作っていく発想が素晴らしい。次の情景に変わっていくときの「間」、ポイントの切り替えのセンスが良い。また、左右だけでなく上下の立体的な音響が効果的に表現できていた。2年後の委嘱作品が期待される。
<略歴>
1973年北海道生まれ。国立音楽大学作曲学科卒業。第93回日本音楽コンクール作曲部門第1位、第33回芥川也寸志サントリー作曲賞ノミネート、第91回日本音楽コンクール作曲部門第2位、2011エリザベート王妃国際音楽コンクール作曲部門ファイナリスト賞、第37回日本アカデミー賞優秀音楽賞。
第35回芥川也寸志サントリー作曲賞 選考経過
1.2025年3月5日(水)当財団会議室での選考会において、2024年1月1日より2024年12月31日の間に国内外で初演された日本人作曲家の管弦楽作品を対象に、譜面と初演録音により、本賞にふさわしい清新にして豊かな将来性を秘めた以下3作品を「第35回芥川也寸志サントリー作曲賞」の候補に選定した。
選考委員は、伊左治直・小出稚子・安良岡章夫の3氏。(50音順)
◆斎藤拓真:『アンティゴネーとクレオン』ソプラノ、アンサンブル、エレクトロニクスのための [2024]
初演=2024年9月27日
パリ国立高等音楽院レミ・フリムランホール
パリ国立高等音楽院作曲科修了演奏会 第二部
◆廣庭賢里:『The silent girl(s)』ピアノと室内オーケストラのための [2024]
初演=2024年6月11日
東京藝術大学音楽学部第6ホール
ジョルト・ナジ特別招聘教授「第6回作曲科ワークショップ2024」
◆松本淳一:『空間刺繍ソサエティ』[2024]
初演=2024年11月7日
NHKホール
第93回日本音楽コンクール作曲部門本選会
(50音順)
2.2025年8月30日(土)サントリーホール大ホールにおいて、上記3曲を公開演奏(指揮=杉山洋一、管弦楽=新日本フィルハーモニー交響楽団)。演奏終了後、伊左治直・小出稚子・安良岡章夫3選考委員による公開討議(司会=長木誠司)を行った結果、「第35回芥川也寸志サントリー作曲賞」受賞曲に松本淳一の作曲による『空間刺繍ソサエティ』が選定された。
3.公開選考終了後、直ちに同ステージにおいて贈賞式が行われ、サントリー芸術財団代表理事 堤 剛より賞状、賞金(150万円)が授与された。
なお、松本淳一氏にはサントリー芸術財団より新しいオーケストラ作品が委嘱され、完成後に同財団主催のコンサートで初演される。(委嘱料100万円)
以上
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