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第32回 芥川也寸志サントリー作曲賞(旧名:芥川作曲賞)は、8月27日(土)午後3時から東京・サントリーホールでの演奏会による公開選考の結果、波立裕矢氏作曲の「失われたイノセンスを追う。II オーケストラのための」に決定しました。同氏には、賞状とあわせて賞金150万円が贈られました。
芥川也寸志サントリー作曲賞は、戦後のわが国音楽界の発展に多大な貢献をされた故 芥川也寸志氏の功績を記念して、サントリー音楽財団(現・公益財団法人 サントリー芸術財団)が日本作曲家協議会の支援を得て1990年4月に創設したものです。故人の深い音楽愛、明晰な音楽観と音楽の振興によせられた熱情を追慕して、わが国の新進作曲家のもっとも清新にして将来性に富む作品を対象に、演奏会形式により公開選考を行うという、作曲賞としてはわが国で初めてのユニークな試みとなっています。さらに、受賞作曲家には新しいオーケストラ作品が委嘱され、2年後にその初演を行なうという複合的な賞です。
サントリー芸術財団の母体となる鳥井音楽財団が1969年に設立されてから50年を迎えた2019年から、賞の志をより明確にするため、「芥川也寸志サントリー作曲賞」へ賞名変更するとともに、賞金を増額し、日本人新進作曲家のさらなる飛躍を応援しています。
なお、この日、公開選考に先だって、第30回受賞者 小野田健太氏の受賞記念サントリー芸術財団委嘱作品「綺羅星 2台のピアノとオーケストラのための」の世界初演が行われました。
▽第32回芥川也寸志サントリー作曲賞
波立裕矢(はりゅう・ゆうや)
『失われたイノセンスを追う。II』オーケストラのための
<贈賞理由>
豊かな発想を、精緻なオーケストレーションと巧みな引用手法を用いて音響化した優れた作品であることが高く評価された。
<略歴>
1995年生まれ。2018年愛知県立芸術大学卒業。2021年東京藝術大学大学院修士課程作曲専攻修了。第35回現音作曲新人賞受賞。第89回日本音楽コンクール作曲部門1位。これまでに作曲を鈴木純明、小崎光洋、山本裕之、久留智之の各氏に師事。作曲の会「たんぽぽ」共同代表。
第32回芥川也寸志サントリー作曲賞 選考経過
1.2022年3月7日(月)オンラインによる選考会において、2021年1月1日より2021年12月31日の間に国内外で初演された日本人作曲家の管弦楽作品を対象に、譜面と初演録音により、本賞にふさわしい清新にして豊かな将来性を秘めた以下3作品を「第32回芥川也寸志サントリー作曲賞」の候補に選定した。
選考委員は、酒井健治・福士則夫・山根明季子の3氏。(50音順)
◆大畑 眞:『ジンク』(2021)
初演=2021年5月28日
東京藝術大学奏楽堂
藝大定期 第404回 藝大フィルハーモニア管弦楽団定期
新卒業生紹介演奏会
◆根岸宏輔:『雲隠れにし 夜半の月影』オーケストラのための(2020)
初演=2021年5月30日
東京オペラシティ コンサートホール
2021年度武満徹作曲賞 本選演奏会
◆波立裕矢:『失われたイノセンスを追う。II』オーケストラのための(2020~21)
初演=2021年6月4日
東京藝術大学奏楽堂
藝大現代音楽の夕べ「創造の杜 2021」
(50音順)
2.2022年8月27日(土)サントリーホール大ホールにおいて、上記3曲を公開演奏(指揮=杉山洋一、管弦楽=新日本フィルハーモニー交響楽団)。演奏終了後、酒井健治・福士則夫・山根明季子3選考委員による公開討議(司会=沼野雄司)を行った結果、「第32回芥川也寸志サントリー作曲賞」受賞曲に波立裕矢氏の作曲による「失われたイノセンスを追う。II オーケストラのための」が選定された。
3.公開選考終了後、直ちに同ステージにおいて贈賞式が行われ、サントリー芸術財団代表理事 堤 剛より賞状、賞金(150万円)が授与された。
なお、波立裕矢氏にはサントリー芸術財団より新しいオーケストラ作品が委嘱され、完成後に同財団主催のコンサートで初演される。(委嘱料100万円)
以上