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サントリートップ > ニュースリリース > 第20回(2020年度)佐治敬三賞は「ペルセポリス ~秋吉台で聴くテープ音楽~」「ぎふ未来音楽展2020 三輪眞弘祭 ―清められた夜―」に決定

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ニュースリリース
  • No.sfa0047(2021/3/18)

第20回(2020年度)佐治敬三賞は
「ペルセポリス ~秋吉台で聴くテープ音楽~」
「ぎふ未来音楽展2020 三輪眞弘祭 ―清められた夜―」に決定

「ペルセポリス ~秋吉台で聴くテープ音楽~」
(C)Yuko Ota

「ぎふ未来音楽展2020 三輪眞弘祭 ―清められた夜―」

 公益財団法人サントリー芸術財団(代表理事・堤 剛、鳥井信吾)は、わが国で実施された音楽を主体とする公演の中から、チャレンジ精神に満ちた企画でかつ公演成果の水準の高いすぐれた公演に贈る「佐治敬三賞」の第20回(2020年度)受賞公演を「ペルセポリス ~秋吉台で聴くテープ音楽~」「ぎふ未来音楽展2020 三輪眞弘祭 ―清められた夜―」の2公演に決定しました。

●選考経過
応募のあった2020年実施公演について2021年2月23日(火・祝)オンライン選考会を開催。慎重な審議の結果、第20回(2020年度)佐治敬三賞に「ペルセポリス ~秋吉台で聴くテープ音楽~」「ぎふ未来音楽展2020 三輪眞弘祭 ―清められた夜―」の2公演が選定され、3月16日(火)の理事会において正式に決定された。

●賞金 200万円  今回は同時受賞につき各100万円が贈られる。

●選考委員は下記の8氏
伊藤制子、伊東信宏、片山杜秀、白石美雪、長木誠司、野々村禎彦、舩木篤也、水野みか子 (敬称略・50音順)

(ご参考)佐治敬三賞についてはこちら

●受賞公演1「ペルセポリス ~秋吉台で聴くテープ音楽~」(開催日順)

<贈賞理由>
 クセナキス「ペルセポリス」の日本初演を中心に、湯浅譲二「ホワイト・ノイズによるイコン」、ノーノ「照らし出された工場」と、アナログテープ音楽(ノーノ作品はソプラノ歌唱を伴う)の古典的名作をまとめて多チャンネル野外上演した公演である。「ペルセポリス」の世界初演はイランのペルセポリス遺跡で行われたが、日本国内での上演には、秋吉台国際芸術村中庭がふさわしい場だった。周囲に人家のない環境は、2019年に利用率を理由に存続が議論された要因にもなったが(2万筆近くの存続嘆願署名が提出された。尚、本公演の少し前に当面5年間の存続が決まった)、大音量野外上演に際しては本質的メリットになった。
 公演の主役は、いまや日本の電子音楽上演に欠かせないエレクトロニクス奏者有馬純寿。ノーノ作品をリマスターして日本初演(今回も初演者の太田真紀と共演)し、湯浅作品の5チャンネル・リマスター上演も主導してきており、今回の曲目に最もふさわしい。「ペルセポリス」の照明演出を担当した足立智美はプレトーク(ベルリンからオンライン出演)で、ノイズ音楽のルーツとしての歴史的意義を強調していたが、8チャンネル再生で聴くと、個々のチャンネルの音響はミュジック・コンクレートとしてはむしろ原始的だが、大音量で堆積されると質的変化が起こって超越体験に導かれる、ノイズ音楽の本質を先取りしていたことが実感された。選曲・演奏・歴史的意義の三拍子揃った稀有な公演だった。
 古典的名曲のみの公演なので、新作を通じた時代状況へのアクチュアルな問いかけに欠けるのはやむを得ないが、「ぎふ未来音楽展2020 三輪眞弘祭 ―清められた夜―」と同時贈賞すれば、過去と現在を相補的に俯瞰できる(音楽ホールでの生演奏のオンライン配信という上演形態も奇しくも相補的である)という提案が支持を集め、評価の高い2公演への積極的な同時贈賞に落ち着いた。

(野々村禎彦委員)


<公演概要>
名称:「ペルセポリス ~秋吉台で聴くテープ音楽~」
日時:2020年9月5日(土)17:30
会場:秋吉台国際芸術村 ホールおよび中庭

プログラム:
対談「テープ音楽の魅力について」
湯浅譲二「ホワイト・ノイズによるイコン」(1967)
ルイジ・ノーノ「ラ・ファブリカ・イルミナータ(照らし出された工場)」(1964)
ヤニス・クセナキス「ペルセポリス」(1971)日本初演

出演:
対談・エレクトロニクス 有馬純寿
ソプラノ(ノーノ作品) 太田真紀
対談(リモート出演)・照明演出(クセナキス作品) 足立智美
音響照明:有限会社伊藤音響
企画協力:ナヤ・コレクティブ

主催:公益財団法人山口きらめき財団秋吉台国際芸術村


●受賞公演2「ぎふ未来音楽展2020 三輪眞弘祭 ―清められた夜―」

<贈賞理由>
 サラマンカホールの「ぎふ未来音楽展2020 三輪眞弘祭 ―清められた夜―」は、かなり早い段階で無観客・ライブ配信という方針を定め、これまでも同ホールとの協同で重要な仕事をしてきた三輪眞弘による諸作品を、あるものは拡張し、あるものは再解釈して、集大成しながら、2020年夏の特殊な状況を最も根源的に問い直す公演となった。
 9月の一夜、極めて精細な白黒の映像(前田真二郎による)で伝えられた3時間の配信を一貫して導いたのは「鶏たちのための五芒星」と題された作品(同ホール委嘱作品、初演)である。これはガムラン(マルガサリの演奏)やドレミパイプの響きの中、演者たちが五芒星のラインを一定の規則に従って移動し続けるというパフォーマンスだが、とりわけショッキングだったのは、中央のダンサー(川口隆夫)にかけ続けられた白い粉である。周囲を歩き回る実際の鶏の存在も相俟って、その粉は鳥インフルエンザで殺処分された鳥たちにかけられた消石灰を連想させるが、もちろんコロナ禍の状況下で見れば過去の伝染病の犠牲者や、「ダビデの星」(六芒星)をつけて殺されたユダヤ人たちのことも思いだされる。そこに響き続ける音と情景は、我々が置かれている自由主義/消費社会のどん詰まりのような行き場のない状況と緩やかに呼応していた。
 この「五芒星」が形づくる基調の中で、「霊界ラヂオ」(三輪眞弘と佐近田信康が試みてきた音声の人工合成の試み)や、「もんじゅはかたる」(サラマンカホールの2019年の委嘱作品、江原優美香がARゴーグルをつけて筝を弾き、藤井貞和の詩を唱える)などが上演される。その全体は、コロナ禍という状況を真正面から引き受けた、世界的に見てもまれなレベルの発信となった。そのチャレンジと達成に対して佐治敬三賞を贈る。

(伊東信宏委員)

<公演概要>
名称:「ぎふ未来音楽展2020 三輪眞弘祭 ―清められた夜―」
日時:2020年9月19日(土)23:00開演、26:00終演
会場:サラマンカホールよりライブ配信 *視聴無料、無観客開催

出品作家:
作曲・企画・構成:三輪眞弘
映像監督:前田真二郎
フォルマント音声合成:佐近田展康
詩:松井茂
写真:麥生田兵吾

プログラム:
三輪眞弘:《鶏たちのための五芒星》(2020サラマンカホール委嘱作品・世界初演)
ヨハネス・オケゲム:《死者のためのミサ曲》(15世紀)MIDIアコーディオンとパイプオルガン版
フォルマント兄弟:《霊界ラヂオ》+《ボイパと海行かば》(2020)
三輪眞弘:箏と風鈴のための《もんじゅはかたる》(2019サラマンカホール委嘱作品)
三輪眞弘:《神の旋律+流星礼拝》(2020版)

出演:
川口隆夫(ダンス)
岡野勇仁、西村彰洋(MIDIアコーディオン)
塚谷水無子(オルガン)
江原優美香(箏)
ほんまなほ(ルバブ)
マルガサリ(ガムラン・アンサンブル):
恵美須屋直樹、大井卓也、黒川岳、谷口かんな、中川真、西村彰洋、森山みどり
公募パフォーマー:
石田正人、小野馨、鏡あすか、黃芃嘉、ごとうたくや、佐藤優太郎、杉野智彦、高木実咲、新美里奈、花太郎、原惟奈、洞口はるか
悪魔:中路景暁、林暢彦
6羽の鶏
制作協力:ナヤ・コレクティブ

主催:サラマンカホール
共催:情報科学芸術大学院大学[IAMAS]、京都大学人文科学研究所

以上

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