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ニュースリリース
  • No.sfa0041(2020/4/2)

第19回(2019年度)佐治敬三賞は「THE 鍵 KEY(ザ キー)」に決定

©Shin Sumimoto

作曲・演出:
フランチェスカ・レロイ
©lemon yellow photography

 公益財団法人サントリー芸術財団(代表理事・堤 剛、鳥井信吾)は、わが国で実施された音楽を主体とする公演の中から、チャレンジ精神に満ちた企画でかつ公演成果の水準の高いすぐれた公演に贈る「佐治敬三賞」の第19回(2019年度)受賞公演を「THE 鍵 KEY(ザ キー)」に決定しました。

●選考経過
応募のあった2019年実施公演について2020年2月12日(水)ANAインターコンチネンタルホテル東京において選考会を開催、慎重な審議の結果、第19回(2019年度)佐治敬三賞に「THE 鍵 KEY(ザ キー)」が選定され、3月31日(火)の理事会において正式に決定された。

●賞金 200万円

●選考委員は下記の7氏
伊藤制子、伊東信宏、片山杜秀、白石美雪、野々村禎彦、舩木篤也、水野みか子 (敬称略・50音順)


(ご参考)佐治敬三賞についてはこちら

<贈賞理由>

 谷崎潤一郎の『鍵』を原作にした異形のオペラである。上演場所は劇場のひとつの舞台ではなく、どこかの家の複数の部屋でなければならない。それなりに大きな洋館か日本家屋。そこの部屋に、歌手やダンサーや器楽奏者が散らばり、同時進行的に演じる。言わば「複室内オペラ」である。観客・聴衆は屋内を自由に移動しつつ鑑賞する。その意味では「遊歩オペラ」である。
 そういう作品の形態が、『鍵』の小説としての構造を、音楽劇に転換するのに、よく適っている。なぜなら『鍵』は、主にひとつの家を舞台にして、そこに住み、あるいは出入りする登場人物の欲望の葛藤を、それぞれが一人称で語り、組み合わせられ、その相反が物語を乱反射させ、混乱させてゆく小説なのだから。同じ時間と空間を共有しながら、登場人物各々は別世界を生き、一本の筋道、ひとつの舞台には、決してのらない。人間の日常でも小説でも劇でも人が食い違うのは全く当たり前だが、それを表現する形式において『鍵』は独創的であり、そこに合う音楽劇の見事なやり方を、『THE 鍵 KEY』は発見している。
 作品の初演は、2018年に東京の千住の「仲町の家」で行われた。今回の受賞対象である2019年の公演は、東京の谷中に大正期に建った、彫刻家、平櫛田中の旧邸での再演である。1階のアトリエや茶の間、2階の座敷などが「複室内」を形成した。それがまたよかった。なかなかに贅沢な、近代日本の芸術家の空間が、谷崎文学と共振した。観客・聴衆は、遊歩的というよりも探偵的に家を彷徨し、『鍵』らしいスリリングな時空間を味わえた。歌い手の松平敬、工藤あかね、野田千恵子、ダンサーの綾香詳三は、各々の役を十分に勤め上げ、和洋混交の8人の器楽奏者は相応しいアトモスフェアを添えた。身体と響きが互いに呼び交わしては反れる、不可思議な時空間が、平櫛邸に現出した。作曲と演出を兼ねるフランチェスカ・レロイのアイデアは『鍵』の鍵穴に嵌った。
 なお、審査会では、作曲に緩さがあり、それ即ち音楽の密度の薄さであって、音楽作品の評価として如何なものかという議論があった。しかし、もしも音楽の吸引力が強く、観客・聴衆が一音も聴き落とせないと一部屋にとどまっては「遊歩オペラ」は成立すまい。『THE 鍵 KEY』では、薄さ・緩さも芸のうちなのであろう。原作と作曲と演出と上演空間と演者の五拍子が揃った稀有な成果と認め、贈賞する。(片山杜秀委員)

<公演概要>

名称:「THE 鍵 KEY(ザ キー)」

日時:2019年5月19日(土)18:00、25日(土)14:00、26日(日)14:00、18:00 (全4回公演)
会場:旧平櫛田中邸アトリエ(東京都台東区上野桜木)

作曲・演出:フランチェスカ・レロイ
原作:谷崎潤一郎「鍵」1956年出版

出演:
バリトン(夫):松平 敬
ソプラノ(妻):工藤 あかね
メゾソプラノ(娘):野田 千恵子
ダンス(木村):綾香 詳三
尺八:松本 宏平
コントラバス:椎名 有紀子
笙:小島 篤美
チェロ:久保田 佑里
小鼓・締太鼓:小川 実加子
ヴァイオリン:早川きょーじゅ
琵琶:久保田 晶子
クラリネット:三宅 博子

振付:石本 華江
ドラマトゥルク:アレクサンドラ・ルター
照明:植村 真
フライヤー・プログラムデザイン:山下 絵理
企画制作:山下 直弥

主催:「鍵」プロジェクト実行委員会


以上

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