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ニュースリリース

第25回(2025年度)佐治敬三賞は日野浩志郎新作音楽公演『Chronograffiti』に決定

掲載番号
No.sfa0068
掲載日
(2026/3/24)
カテゴリー
文化・スポーツ
企業名

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sfa0068.jpg

©Yuichiro Noda    ©Yoshikazu Inoue    ©Yuichiro Noda

 公益財団法人サントリー芸術財団(代表理事・堤 剛、鳥井信吾)は、わが国で実施された音楽を主体とする公演の中から、チャレンジ精神に満ちた企画でかつ公演成果の水準の高いすぐれた公演に贈る「佐治敬三賞」の第25回(2025年度)受賞公演を、日野浩志郎新作音楽公演『Chronograffiti(クロノグラフィティ)』に決定しました。後日贈賞式を予定しています。

●選考経過
応募のあった2025年実施公演について2026年2月23日(月・祝)当財団会議室にて選考会を開催。慎重な審議の結果、第25回(2025年度)佐治敬三賞に日野浩志郎新作音楽公演『Chronograffiti』が選定され、3月11日(水)の理事会において正式に決定された。

●賞金 200万円

●選考委員は下記の9氏
浅井佑太、伊藤制子、岡田暁生、小室敬幸、白石美雪、長木誠司、沼野雄司、野々村禎彦、水野みか子(敬称略・50音順)

(ご参考)佐治敬三賞についてはこちら

受賞公演
日野浩志郎新作音楽公演『Chronograffiti』

<公演概要>
日時:
7月25日(金)19:30開演
7月26日(土)14:30開演/19:30開演
7月27日(日)14:30開演

会場:クリエイティブセンター大阪内 Black Chamber(大阪市住之江区)
曲目:Bongo Trio - Taiko Solo - Loose Ends - Permutation
出演:前田剛史、谷口かんな、安藤巴(打楽器)
作曲:日野浩志郎
ビジュアルエフェクト:古舘 健
舞台監督:小林勇陽
記録写真:井上嘉和
宣伝美術:真壁昂士
ビジュアルエフェクトアシスタント:佐藤文音
制作:伴朱音

主催:株式会社鳥友会
共催:一般財団法人 おおさか創造千島財団「KCVセレクション」
助成:アーツサポート関西

<贈賞理由>
 《Chronograffiti》は、打楽器トリオないし和太鼓ソロ、そして最小限の照明というミニマルな手段から、音響・視覚・身体振動を統合した驚異的な没入体験をつくり上げた。作曲は実験的バンド「goat」の主宰者として主に知られる日野浩志郎。2025年6月にドイツの「Moers Festival」で初演された作品を、「Black Chamber」(クリエイティブセンター大阪)の音響を前提に改訂したものである。第1曲〈Bongo Trio〉(ボンゴ三重奏)、第2曲〈Taiko Solo〉(和太鼓ソロ)、第3曲〈Loose Ends〉(三重奏:ボンゴ・コンガのセット×3)、第4曲〈Permutation〉(三重奏:ボンゴ・コンガ・タムのセット×3)から構成される。なお、第3曲は改訂に際して書き下ろされたもので、初演時の曲目であったスネア・デュオの作品を差し替えるかたちで追加された。ビジュアルエフェクトは古舘健。演奏はクラシック・現代音楽の打楽器奏者である谷口かんなと安藤巴、そして鼓童出身の前田剛史。異なるバックグラウンドをもつ奏者が共演する点も、本作の強度を支えている。
 本公演がとりわけ賞賛を集めたのは、「その場の体験」としての圧倒的な完成度の高さである。会場の選択からして特筆に値する。雑多なエリアを抜けた先、大阪港に接した廃工場を改装した小ホール――場末めいた暗闇の中から、音響・視覚の両面から呪術的ともいうべき異世界が立ち上がる。ストロボライトによって奏者の動作が断片的に像を結ぶかと思えば、ボンゴの微細な倍音が頭上にちらつき、和太鼓ソロでは振動が身体の深部にまで突き刺さる。それは何の説明も要しない「ストレートなかっこよさ」の極限であり、それだけに、どのような人々をも圧倒する力をもつ。
 一方で、公演記録映像のみを鑑賞した選考委員からは、純粋な打楽器作品としての新しさが捉えにくいという意見も出た。しかしそれは、現地での体験に焦点を当てた本作が、動画のフレームに収まりえない強烈な臨場感をもつことの裏返しでもある。実際、会場に足を運んだ選考委員4名からの評価は一致して高かった。なかでも第1曲〈Bongo Trio〉では、残響の変化が精妙にコントロールされ、電子音響にも似た倍音が生み出されるのだが、この種の繊細な効果はまさに現地でしか体験できないものだろう。こうした点から、本作が音楽面においても十分に新しいと確認されたことも、受賞を大きく後押しした。
 最後に触れておきたいのは、客席の多くを、昨今の芸術音楽の公演では相対的に少なくなりがちな若い世代の来場者が占めていたことである。日野作品が幅広い層へとリーチし、新しい聴衆を切り開くポテンシャルを示すものといえるだろう。日野浩志郎氏ならびに出演者・スタッフの今後の活動にも大きな期待を抱かせる、極めて優れた公演であった。

(浅井佑太委員)

<略 歴>

日野 浩志郎
 音楽家・作曲家。1985年生まれ、島根県出身。現在は大阪を拠点に活動。
 バンド編成を用いながら、メロディ楽器を打楽器的に扱い、高度に組織化されたアンサンブルを通じて反復を興奮へと昇華するリズムアンサンブル goat を主導する他、これらの作曲思想をノイズ/ハードコア的文脈に展開するバンド bonanzas、および電子音楽のソロプロジェクト YPY を通じて、バンド、ダンスミュージック、アンサンブル、空間音響作品といった複数の形式を横断する制作を行っている。主な作曲作品に、多数のスピーカーと移動する演奏者を用いた空間音響ライブ「GEIST(ガイスト)」(2018-)、サウンドアーティスト FUJI|||||||||||TAと共同で作曲・演奏した「INTERDIFFUSION - A Tribute to Yoshi Wada」(2021-)、視覚と聴覚の両面からミニマリズムを再考するリズムアンサンブル作品「Chronograffiti」(2025)などがある。これらの作品では、空間化された音響、反復、身体的知覚の相互関係が一貫した主題として扱われている。2019年以降、佐渡を拠点とする太鼓芸能集団 鼓童 と継続的に協働し、伝統的な身体技法と現代的作曲手法の接続を試みている。佐渡島での長期滞在制作を経て完成した音楽映画『戦慄せしめよ/Shiver』(2021、監督:豊田利晃)では全編の作曲を担当し、演奏を鼓童が担った。
 音楽家・演出家 カジワラトシオと舞踊家・振付家 東野祥子によって設立されたANTIBODIES Collective に所属し、ダンスや映像との協働も多い。これまでに振付家Cindy Van Ackerによる舞台作品『Without References』、映画『The Invisible Fight』(2024年公開、監督:Rainer Sarnet)などの音楽を制作。同作によりエストニア・フィルム・アワード(EFTA)2024 最優秀作曲賞を受賞。

古舘 健
 アーティスト、エンジニア、ミュージシャン。コンピュータとプログラミングを中心に、サウンド、映像、電子回路、テキスタイルなど、多様なメディアと分野を横断して活動している。2002年、参加型サウンドアートプロジェクト「The SINE WAVE ORCHESTRA」を共同設立。2013年よりDumb Typeのメンバー。
 2015年、アルゴリズムによる複雑なテキスタイルデザインの生成を探るプロジェクト「Quasicrystal」を開始。2018年、サウンドインスタレーション《Pulses/Grains/Phase/Moiré》で第22回文化庁メディア芸術祭アート部門大賞を受賞。2022年、Dumb Typeのメンバーとしてヴェネチア・ビエンナーレ日本館にて個展。多様な表現手法を通じて、それぞれのメディアが持つ固有の特性を際立たせる作品を制作している。

前田 剛史
 阪神淡路大震災の復興活動の一環で幼少期より和太鼓に親しみ、2008年より「太鼓芸能集団鼓童」入団。約10年間在籍し年間100公演を超える国内外のツアーに参加。鼓童在籍中は太鼓演奏、唄、笛、鳴り物、踊りを担当。その他、作曲や舞台演出もこなし「佐渡国際芸術祭アースセレブレーション」、鼓童における全国の「学校公演」、特別演出公演「若い夏」など、多数の舞台演出を手掛ける。また歌舞伎俳優で人間国宝の坂東玉三郎と「アマテラス」「幽玄」で共演。
 国内ではその他にもヴァイオリニストの川井郁子や、演歌歌手の坂本冬美、アーティストのAI(アイ)、音楽家/映像作家の高木正勝などその他にも多数の国内外のアーティストとの共演実績がある。2017年に鼓童独立後、現在はソリストとしてこれまでの経験を活かし独自の音楽性、演奏表現を追求している。

谷口 かんな (2026年から「芦田かんな」に改姓。)
 1993年生まれ、京都市出身。京都市立京都堀川音楽高校、京都市立芸術大学の打楽器科を卒業。卒業後はフリーランスの音楽家として室内楽を中心に活動。在学時から継続して他分野との即興演奏に力を注ぎ、各地で様々なアーティストと表現を行う。近年はヴィブラフォンでの演奏活動に最も力を入れている。23歳よりガムランを使用した現代音楽の初演や演奏を数多く手掛ける。サラマンカホール主催「ぎふ未来音楽展2020 三輪眞弘祭 -清められた夜-」(2020)や、サントリーホール主催「サマーフェスティバル2023」の《ザ・プロデューサー・シリーズ「三輪眞弘がひらく ありえるかもしれない、ガムラン」》等に出演。「オーケストラ・プロジェクト2022」で、ソリストとして東京フィルハーモニー交響楽団と共演。
 京都芸術センターと共催の《谷口かんなファーストソロリサイタル「vib.」》(2023年)では三輪眞弘氏、竹村延和氏等、5名の委嘱初演を成功させ、会場は満員の盛況。その後も定期的にソロリサイタルを開催し、ヴィブラフォン独奏曲の委嘱初演も続けている。ロームシアター京都主催「sound around 003」(2023)にて日野浩志郎氏のコラボレーションアーティストとして参加し、「Phase Transition」を初演。その後も日野氏の新作作曲作品「歌と逆に。歌に。」(2024)、「Chronograffiti」(2025)に出演。

安藤 巴
 1997年6月14日生まれ、千葉県柏市出身。音楽家、打楽器奏者。幼い頃よりピアノ、ドラムを始め、13歳から作曲を、その後本格的に打楽器を学び、東京藝術大学打楽器専攻に入学。卒業後はフリーの打楽器奏者として全国のオーケストラへの客演を中心に、現代アンサンブルへの参加、独奏の機会も多い。さらに近年は身の回りのものや打楽器を用いた自分自身の表現を模索しており、即興演奏、楽曲制作、ライブ活動も増えている。現代音楽演奏コンクール「競楽」本選出場。第22回日本管打楽器コンクールにてパーカッション部門第1位。打楽器トリオ「トリオ・ループ」、即興音楽集団「LA SEÑAS」のメンバー、「隈研吾建築展 -五感的建築-」の場内音楽を作曲および演奏。神奈川県立音楽堂「紅葉坂プロジェクトvol.2 」NHK FM「リサイタル・パッシオ」など出演多数。作曲を啼鵬、松本望各氏に、打楽器を竹島悟史、藤本隆文各氏に師事。(株)こおろぎ社neoria契約アーティスト。BONNEY DRUM JAPANエンドーサー。

以上

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公益財団法人サントリー芸術財団 音楽事業部
 ongakujigyo@suntory.co.jp
 TEL:03-3582-1355(平日10:00~17:00)
 FAX:03-3582-1350

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