選評
今年は例年にまして、個性が輝くハイレベルな候補が多かった。甲乙つけがたく、5つに絞り込むのが難しかった。結局、未来に向けての発展可能性や地域での存在感などを物差しに、個々の選考委員が見極め、委員が相互に活発な議論をしたうえで、今応援したい活動として以下の団体を選んだ。
「北上(きたかみ)ミューズコーラス隊」は約30人の児童生徒の合唱団で、公演ではミュージカルやオペレッタにも取り組み、全国トップレベルの実力である。少子化のなか、若い世代の表現力を養おうとする指導者の意欲は前向きで、学校の枠を超えた部活動の要素を加え、地域の芸術活動としてさらに発展させた理想形と評価された。合唱団員・指導者・保護者等の関係者の熱意をたたえたい。
「御陣乗太鼓(ごじんじょだいこ)保存会」は輪島市の神事の芸能を観光資源に活用する団体。年間1,000回を越える公演を60年以上継続している。能登半島地震後、復興の呼び水として全国各地で公演を続ける姿が共感をよんでいる。激しい体の動きを伴うこの芸能を限られた地区で継承してきたのは驚異的であり、芸能としても感動的なものである。本賞によって、地元での活動再開を支援したい、若い世代への継承を助けたい、というのが、選考委員の一致した意見であった。
「BOOKUOKA(ぶっくおか)」は福岡市の書店・出版社・愛書家が協力し、10~11月の約1か月間、ブックイベントを行うものである。公募で出店を募る「のきさき古本市」や、著者のトークイベントを行うなど、活動のひろげ方、幅広さが素晴らしい。この活動は福岡市の文化力を高めている。数日ではなく、1か月間という開催時期の長さが福岡市に交流人口を生み出し、他の都市への波及効果を生んでいる。地域の文化活動として見事であると絶賛する選考委員が多かった。地域の文化活動の優れたモデルといっていい。
「コレジヨの仲間」は、天草コレジヨ館で復元展示・管理されている古楽器を用い、400年以上前の曲を演奏するグループである。同館での演奏のほか、﨑津教会チャペルコンサートや地域イベントにも出演している。少人数での活動にもかかわらず、バロック期よりも更に古いルネッサンス期の復元古楽器を日頃からメインテナンスし、演奏し続けている。それに感銘をうけた選考委員が多かった。近年はクルーズ船観光客向けの演奏も行っており、今回の受賞を追い風にして、天草の歴史文化のさらなる発信を期待する。
「大分圈清掃整理促進運動会」は「おおいたトイレンナーレ2015」の市民プログラムに由来し、トイレ清掃パフォーマンスを有志で継続しているものである。20~80代の15人を中心に毎月市内の公園や公共施設のトイレ清掃を行っている。会員以外の参加者もあり、のべ1,000人以上が参加した。ユニークな活動としてアートの世界でも一定の認知を得ている。地域内外から注目を集めている点もさることながら、奇異にみられがちな表現活動を諸方面に配慮しながら続けている活動の細やかさも評価された。ユニークな話題性だけでなく、街に溶け込み共存しようとする活動のあり方も、この団体の優れた点である。ユニークを受け容れるひろい心を世に広げていってもらいたい。
磯田 道史(国際日本文化研究センター教授)評
| 岩手県北上(きたかみ)市 北上ミューズコーラス隊 |
◎受賞理由
学校の枠を越えた小中学生の音楽活動を、保護者たちが手作りの運営で支える。「地域の部活動」として長年親しまれながら、子どもたちの豊かな感性を磨き、県内外に広く歌声を届けてきた点が評価された。
◎活動概要
岩手県北上(きたかみ)市は県の南西部に位置し、人口は約9万人。北上ミューズコーラス隊は、1999年、北上市主催の合唱講座として始まった。子どもたちが合唱を楽しめる場を作りたいという思いから、地元の公民館と市が協力し、小学生16名からなる「ミューズコーラス隊」を結成。初めての合唱コンサートで披露された歌声は、地元住民と保護者の胸を打ち、これをきっかけに、隊員たちの保護者による父母会が結成された。そして、県内外から合唱、さらにはミュージカルの指導者を迎え入れ、活動の幅を広げてきた。2002年、市主催の講座は終了したものの、父母会が運営を継承した。地元から応援してもらいたいと地域名を冠し、「北上ミューズコーラス隊」として活動を続けてきた。
毎年欠かさず開催してきた定期公演では、10曲前後の合唱と1時間に及ぶミュージカルを披露。地元のコンサートホールは子どもたちの歌声を楽しみにする住民でいっぱいとなる。会場の設営や当日の運営は父母会が行い、子どもたちの晴れの舞台を支えている。父母会は、子どもたちの活動を支えるためのマニュアルを整備して役割を分担し、長年円滑な運営を続けてきた。そうした手作りの活動を応援する人たちも次第に増え、北上ミューズコーラス隊は地域のイベントにも数多く招かれるようになり、今では地域住民との交流は子どもたちの経験を育む場となっている。
一時は、少子化の流れとともに、隊員の数は減少したが、北上ミューズコーラス隊が部活動として一部の地元中学校から認められたことで、中学生の隊員の数が増加した。これは、地元中学校には合唱部がないため、「北上ミューズコーラス隊に学外の部活動として受け皿になってもらいたい」と、保護者が各中学校と交渉し、実現したものだ。
練習日に指導者が来るのは不定期だが、父母会の音楽経験者のサポートや子どもたちだけのパート練習を織り交ぜることで、量と質を維持しながら練習に励んできた。こうして培ってきた表現力を素地に、合唱団体としても実力を伸ばし、2024年出場の第91回NHK全国学校音楽コンクールでは、中学校の部で金賞を収めた。
音楽に関心を持つ地域の子どもたちの受け皿となりながら、部活動の要素を取り入れ、さらなる成長を遂げた北上ミューズコーラス隊は、部活動を学校単位から地域単位の取り組みとしていく「部活動の地域移行」のお手本と言える。発足から20年以上、保護者・指導者・地域住民に支えられてきた北上ミューズコーラス隊は、今日も北上に、そして全国に歌声を届ける。
◎岩手県内のこれまでの受賞者
三陸沿岸部 三陸国際芸術祭(2020年)
陸前高田市 〈特別賞〉全国太鼓フェスティバル(2011年)
陸前高田市 全国太鼓フェスティバル(2005年)
遠野市 市民の舞台 遠野物語ファンタジー(1983年)
◎代表者および連絡先
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〈代表〉 |
| 石川県輪島市 御陣乗太鼓(ごじんじょだいこ)保存会 |
◎受賞理由
400年以上の歴史をもつ「御陣乗太鼓(ごじんじょだいこ)」を地元の神事として受け継ぎながら、長年にわたり観光客向けにも積極的に上演。能登半島地震後には全国各地で公演を行い、地域の誇りとして復興への希望となっている点が評価された。
◎活動概要
日本海に面した石川県輪島市名舟町(なふねまち)には、この土地の人々によって400年以上にわたり受け継がれてきた郷土芸能「御陣乗太鼓」がある。
1576年、上杉謙信が能登半島へ侵攻した際に、名舟村の住人たちは木でつくった仮面と海藻の頭髪を身に着け、太鼓を打ち鳴らし上杉勢を退散させた。この勝利を氏神に感謝するために、毎年7月31日、8月1日に「名舟大祭」を行い、太鼓を奉納する習わしとなった。これが御陣乗太鼓の始まりとされる。
御陣乗太鼓では、夜叉や幽霊などの面をつけた6人の打ち手が代わる代わる一つの太鼓を打ち鳴らす。細かな振り付けはなく、独特のリズムと、「見る人の魂を震わせるように叩く」ことだけが決まり事だ。雄叫びを上げながら激しく太鼓を叩くため、演技後は息が切れ手が痺れて動かなくなることもある。打ち手をつとめるのは名舟町に生まれ育った男性たち。子どもたちは幼い頃から太鼓を叩く大人の姿を目にし、小学校へ入学すると年上の打ち手に教わりながら、御陣乗太鼓のリズムを身体にしみこませていくという。
村の神事として太鼓は受け継がれ、1960年には「御陣乗太鼓保存会」を結成。以降、観光客向けの公演にも力を入れてきた。保存会結成当時は、多くの観光客が能登を訪れた「能登ブーム」の時期。地元の宿泊施設で毎晩太鼓を披露し、多い時には年間3,000回以上の公演を行ったという。打ち手である保存会メンバーは、昼は会社員、農家、漁師、輪島塗職人などとして働き、仕事が終わると観光客に向けて太鼓を披露した。こうした地元での公演が評判を呼び、全国放送のテレビ番組に出演したことも経て、御陣乗太鼓は能登を代表する郷土芸能として広く知られることとなる。
しかし、2024年1月1日の能登半島地震により、名舟町も甚大な被害を受けた。建物の多くが損壊し、名舟大祭を行う神社や鳥居は全壊。毎晩太鼓を披露していた宿泊施設なども休業となった。町は一時封鎖となり、およそ60世帯・160人が町外へと避難した。
震災後、能登での公演の場を失った保存会に、全国から出演依頼が相次いだ。メンバーたちは、奇跡的に被害を免れた太鼓と面を携えて、全国を飛び回り太鼓を叩き続けている。県外公演では「昔、能登で御陣乗太鼓を見たことをよく覚えています」と話しかけてくれる人も多いという。過去、そして現在の保存会の活動が、能登と全国をつなぐ架け橋となっている。
いまだ町外での避難生活を続けるメンバーもいる中、願うのは「また地元で太鼓を叩く」こと。名舟町の人々にとって御陣乗太鼓は生活の一部だ。震災を越えて、太鼓の音が再び能登の夜に響くことを多くの人々が待ち望んでいる。
◎石川県内のこれまでの受賞者
白山市 白峰・桑島地区の雪だるままつり(2006年)
金沢市 浅の川園遊会(2005年)
金沢市 金沢を世界へひらく市民の会(1981年)
◎代表者および連絡先
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〈代表〉 |
| 福岡県福岡市 BOOKUOKA(ぶっくおか) |
◎受賞理由
古本市をはじめ、本に関わる趣向を凝らした企画を街の中で展開し、人と人との交流を促進してきた。多くの市民に本や書店の魅力と可能性を伝え、出版文化向上にも寄与している点が評価された。
◎活動概要
BOOKUOKA(ぶっくおか)は、毎年10~11月の約1か月間、福岡市内の大通り、書店、カフェなどで行われる総合ブックフェスティバルである。2006年に始まり、2025年で20回を数える。
きっかけは仲間同士の飲み会だった。地元書店店主の大井実(おおい みのる)氏、出版社勤務の藤村興晴(ふじむら おきはる)氏らが、2005年に東京で行われた「一箱古本市」(出店者が段ボール箱一箱分の古本を持ち寄り販売するイベント)のような本のお祭りを福岡でもやりたいと盛り上がり、10名の実行委員会を結成。「福岡を本の街に」をスローガンに、半年の準備期間で15もの企画を立てた。以後毎年11月初めに古本市を、その前後約1か月間、街の様々な場所で本に関わるイベントを開催している。
古本市の日は、福岡市の繁華街・天神に隣接する通称「けやき通り」の20数店舗の軒先に、公募で集まった80~100組の「一日書店」が並ぶ。書店主と客の間で本を介して自然と会話が弾み、けやき通りが1年で最も賑わう日となる。
「激オシ文庫フェア」は、福岡市内20~40店で働く書店員を中心に毎年異なるテーマで「激オシ」の文庫本を募り、推薦帯を制作する企画だ。各書店はホームページ上に公開された帯を印刷し、自店の規模・趣向に合わせてフェアを展開する。全国的にも異色のフェアで、地域の書店活性化にもつながっている。
他にも作家のトークライブ、書店員や書店員になりたい人たちが交流するイベント、著名なイラストレーターの作品や作家の生原稿をデザインしたブックカバーの制作、父親による絵本の読み聞かせ対決、バーでの官能小説の朗読会、絵本に出てくるスイーツをカフェで提供する企画など、毎年約10~15の企画を考案。遊び心あふれる企画は広く関心をよんで累計410本にもなり、多くの市民が本や書店の魅力に気づくきっかけとなってきた。
運営には約30人のボランティアも参加し、主に古本市をサポートする。会社員や学生など本好きの集まりで、長く続ける人も多い。実は、実行委員の本業の忙しさから2015年に休止が検討された。その時、ボランティアから古本市だけでも続けたいと声があがり、この危機を乗り越えた。回を重ねて強まったボランティアの結束力は、今ではBOOKUOKAに欠かせない推進力となっている。
当初BOOKUOKAは出版業界関係者たちが面白いことをしたいと始めたものだった。しかし本を通じて人と人がつながる楽しさを多くの人が実感することで、市民から愛されるイベントになった。その盛り上がりは地域を超えて広がり、佐賀、熊本、沖縄などでは福岡を手本に同様のイベントが行われている。BOOKUOKAが培ってきた本を楽しむ文化は福岡に着実に根づき、これからも大きく育っていくことだろう。
◎福岡県内のこれまでの受賞者
八女市 八女福島 住まう文化のまちづくり(2014年)
北九州市 福岡県立北九州高等学校「魚部」(2011年)
飯塚市 嘉穂劇場(2005年)
福岡市 はかた夢松原の会(1993年)
福岡市 博多町人文化連盟(1987年)
北九州市 劇団「青春座」(1984年)
◎代表者および連絡先
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〈代表〉 |
| 熊本県天草市 コレジヨの仲間 |
◎受賞理由
キリシタン文化が花開いた歴史のある地で、西洋古楽器の演奏をおこなう。古楽器を持ち帰ったとされる天正(てんしょう)遣欧使節団の少年たちが生きた当時の音楽を通じて、天草の歴史や文化を地域内外に伝える活動が評価された。
◎活動概要
熊本県の天草下島(しもしま)南部に位置する天草市河浦町(かわうらまち)には﨑津天主堂をはじめキリシタン文化の遺産が数多く残る。天正19(1591)年にはこの地に神学校「天草コレジヨ」が開かれ、グーテンベルク印刷機で「天草本」が印刷されるなど西洋文化が花開いた。
それから400年以上の時を越え、ここで西洋古楽器の演奏をおこなっているのが「コレジヨの仲間」だ。1990年に開館した河浦町立(現天草市立)天草コレジヨ館では、天正遣欧使節団の少年たちが日本に持ち帰った古楽器を復元展示している。それらの古楽器を、現代表の松村氏ら近隣住民が有志で来館者に演奏していたのが活動の端緒である。そして2009年に福岡市で開催されたコンサートへの出演オファーを機に、コレジヨの仲間が誕生した。
現在は7人で、約10種類の楽器と歌を担当する。メンバーの多くがもともとピアノ講師などとして音楽に携わっていたものの、古楽器の演奏経験はなかった。しかし観客に喜んでもらえるよう、プロ奏者にも教わりながら地道に練習を重ねた。今では曲のレパートリーは30にのぼり、「王のパヴァーヌ」など、使節団が渡欧した16世紀に作曲された美しい曲を中心に演奏する。
普段は、熊本県内外から河浦町を訪れる人へ演奏を披露する。天草コレジヨ館で月に一度おこなっている公開練習では資料館の「展示」の一つとして、来館者が気軽に古楽器の音色を聴くことができる。﨑津天主堂でのクリスマスチャペルコンサートにも毎年出演し、地域住民をはじめ多くの人が音楽を通じて天草の歴史に思いを馳せる機会となっている。また、フランス籍のクルーズ船が﨑津に寄港した際におこなった歓迎演奏では、﨑津集落の情景に溶け込む音色が、国内外から訪れた乗客の心をつかんだ。
活躍の場は地域の外にも広がり、コレジヨの仲間は天草の歴史と魅力を発信するうえで欠かせない存在となっている。熊本市内で「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」世界文化遺産登録1周年におこなわれたシンポジウムや、熊本空港での航空便就航式にも出演した。さらには、天草コレジヨ館での演奏に感動した方からの招待を受けて、フィリピン公演も行った。
今、コレジヨの仲間が特に力を入れるのが地元の子どもたちとの楽器を通じた交流だ。「使節団の少年たちが生き抜いた時代を、当時の音色から想像してほしい」という思いで、天草市内の小中学生が校外学習で天草コレジヨ館を訪れる際には、演奏を聴き、楽器に触れてもらう活動を続けている。将来は、古楽器をより身近に感じてもらえるよう、子どもたちが演奏するリコーダーと一緒にアンサンブルをおこなうという目標もある。
天草に響く西洋古楽器の音色は、地域の歴史とともにこれからも受け継がれるだろう。
◎熊本県内のこれまでの受賞者
熊本市 橙書店(2017年)
熊本市 開懐世利六菓匠(2014年)
山都町 清和文楽人形芝居保存会(2001年)
山鹿市 熊本史談会(1987年)
熊本市 高野 和人氏(個人)(1984年)
◎代表者および連絡先
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〈代表〉 |
| 大分県大分市 大分圏清掃整理促進運動会 |
◎受賞理由
トイレの清掃パフォーマンスを通じて、地域の日常とアートをつなげてきた。遊び心を大切にしながら、メンバー各々の想像力と感性を磨く活動が、街の風景に緩やかな変化をもたらしている点が評価された。
◎活動概要
毎月10日の朝7時、大分市内の公衆トイレに白衣にマスク・腕章姿の集団が現れる。ラジオ体操のあと、無言で怪しく執拗にトイレを掃除したかと思えば、真面目な表情とおどけた表情の集合写真を2枚撮影し、何事もなかったように去っていく。トイレ掃除のプロではない市民による月に一度の“無駄な入念清掃パフォーマンス”。一見すると奇妙なこの光景が、10年以上にわたり大分の日常の一部となっている。
きっかけは2015年に大分市の主催事業として行われた「おおいたトイレンナーレ」。3年に1度の美術展「トリエンナーレ」と「トイレ」を掛け合わせた造語で、トイレにまつわるアートが街を飾り、市民参加型の多彩な企画が展開された。そのなかで、アーティストではない実行委員が「自分たちも何かしたい」と前年から始めたのが大分圏清掃整理促進運動会である。着想は、大分にゆかりのある前衛美術家・赤瀬川原平が銀座の路上を白衣姿で清掃するパフォーマンスを通じて、過剰な美化意識を風刺した「首都圏清掃整理促進運動」から得ている。
「おおいたトイレンナーレ」終了後は新たなメンバーも加わり、現在は20代から80代まで、職業も背景も異なる15名が市内各所の公衆トイレで清掃パフォーマンスを行っている。彼らにとってトイレをきれいにすることは目的ではない。街や公共施設を利用する人、日々清掃に携わる人への想像力を広げる手段であり、感性を磨く作業である。赤瀬川のパフォーマンスが社会への皮肉を込めたものだったのに対し、大分圏清掃整理促進運動会のパフォーマンスはトイレを掃除する人への気づきと感謝につながっている。
そんな彼らの活動に、新たな展開が見られる。2025年9~11月に市中心部の竹町アーケード西側で主催する「たけにしトイレンナーレ」である。トイレ空間を活用したアート作品の展示、大分のアートや文化に触れる市民講座などを通じて、彼らの原点でもある「おおいたトイレンナーレ」からの10年で何が変わったのかを問い直す。
身近でありながら話題にしづらいトイレと、ともすれば不要なものとして切り捨てられることもあるアート。しかし、どちらも人が人らしく生きていくために欠かせないという思いのもと、彼らの試みは街を舞台に繰り広げられている。何気ない日常に清掃パフォーマンスを通じてアートを食い込ませた10年あまり。そこにトイレンナーレの復活が加わり、街をより楽しむ仕組みが再び整った。
「意味はないけれど、意義はある」。自らの活動をそう語る大分圏清掃整理促進運動会の存在は、大分市の街の風景を変え、大分市民の街の見方を変えていくであろう。
◎大分県内のこれまでの受賞者
竹田市 瀧廉太郎記念音楽祭(2019年)
豊後高田市 豊後高田 昭和の町(2009年)
佐伯市 県南落語組合(1998年)
大分市 ニューCOARA(1996年)
姫島村 姫島 車えび養殖(1988年)
宇佐市 新邪馬台国(1986年)
由布市 湯布院 自然と文化のまちづくり(1982年)
大分市 大分県民オペラ協会(1979年)
◎代表者および連絡先
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〈代表〉 |
以上