アカゲラ
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森のドラマー
赤・白・黒の三色が美しい中型のキツツキです。名前の由来は、お腹の美しい赤色。オスは、後頭部にも赤があり、メスの頭は黒です。なお、頭頂部が赤いのは幼鳥です。
(ちなみに「ゲラ」は、キツツキのこと。緑色のアオゲラや、白黒で小さなコゲラなどがいます)
太くて長い両足指と、しっかりした尾羽の3点を使って、木の幹に垂直にとまり、クチバシを使ってまるで杭打機のような勢いで連続的に幹をつつき、縄張りを主張したり、求愛をしたりします。
木にとまり、ドラミングをするアカゲラ
この時、森中にトロロロロッというドラミング音が響き渡るほど連続してつつきますが、頭部が特殊な構造になっていて、脳震とうを起こしたりはしないようです。
ドラミングとは別に、コツ、コツ、コツと幹を叩く音が聞こえてくることもあります。この音は、幹の中に隠れている虫を探したり、枯れ木や弱った木に穴を掘って巣穴をつくっている時の音です。
なお、アカゲラが使い終わった巣は、しばしばシジュウカラなどが再利用しています。「天然水の森」では、道沿いの危険木や、ナラ枯れなどの病気の蔓延を防ぐ目的以外は、アカゲラ等の鳥が巣づくりをできるように、枯れ木もできるだけ残すようにしています。「枯れ木も山のにぎわい」です。
サントリー白州蒸溜所では、マツ林の守り神
山梨県北杜市の「サントリー白州蒸溜所」は、森の中に位置しており、その一部は、バードサンクチュアリ(野鳥の聖域)として整備されています。この森は、大きなマツの木とその下にさまざまな広葉樹が茂る針広混交林で、たくさんの小鳥たちが棲んでいます。
現在、日本中のマツ林で、マツ枯れが広がっています。マツ枯れは、マツノマダラカミキリという日本在来のカミキリムシに、マツノザイセンチュウという外来種のセンチュウが共生してしまったために起こりました。マツノマダラカミキリムシがマツの枝をかんでマツノザイセンチュウを植え付けてマツを弱らせ、そうして弱ったマツにマツノマダラカミキリムシが卵を産み、卵から孵化した幼虫がマツの幹を食い荒らすという悪循環です。
マツ枯れは、白州蒸溜所の周辺も例外ではありません。ところが、蒸溜所内のマツ林では、被害がとても少ないのです。周辺で繁殖したマツノマダラカミキリが飛来すると、アカゲラを始めとするバードサンクチュアリに棲む鳥たちが、いち早くそれを捕食してくれているからです。
この「聖域」をつくった時には、私たちは小鳥を守っているつもりでした。でも、実際には、小鳥たちに守られていたようです。
この活動に携わる専門家
藤井 幹
(公財)日本鳥類保護連盟 調査研究室 室長
合同会社MORISHO









