Liqueur & Cocktail

カクテルレシピ

ビアンコ・スプリッツァー

チンザノ ビアンコ1/2
ソーダ水1/2
ビルド/ワイングラス
氷を入れたワイングラスにベルモットとソーダ水を注ぐ。レモンピールを擦り、入れる。

パーフェクト・マンハッタン

カナディアンクラブ4/6
チンザノ ロッソ1/6
チンザノ
エクストラドライ
1/6
アンゴスチュラ
ビターズ
1dash
ステア/カクテルグラス
マラスキーノチェリーを飾る。

ネグローニ

ビーフィーター47 30ml
カンパリ30ml
チンザノ ロッソ30ml
ビルド/ロックグラス
氷を入れたグラスに材料を注ぎ、ステア。好みでオレンジスライスを飾る

ポンピエ・ハイボール

チンザノ
エクストラドライ
30ml
ルジェ クレーム
ド カシス
30ml
ソーダ水30ml
ビルド/タンブラー
氷を入れたタンブラーにベルモットとカシスを入れ、ソーダ水で満たす。

王家御用達のフレーバードワイン

ニガヨモギのことを、イギリスではワーム・ウッド(worm wood)と言うらしい。ワームとは細長いニュロニョロした生き物を指すのだが、蛇にたとえているそうだ。エデンの園から追放された蛇が通った跡にこの植物が繁茂したという伝説からその名がついたようだ。

ニガヨモギ、ワーム・ウッドともに独特の強い香りを放つこのハーブのことをうまく言い当てている。健胃薬や駆虫薬などに利用されるニガヨモギの特性は清涼飲料やリキュールをはじめ飲料にも幅広く貢献しており、この抽出エキスが含まれることによって好奇心をくすぐるような感覚の風味を抱く。

酒の世界でニガヨモギの香味特性を生かした代表的なものにフレーバードワインのベルモットがある。ワインをベースにニガヨモギをはじめとしたハーブやスパイスの抽出エキスとスピリッツを加えて生まれるものだ。カクテル材料としても活躍し、ドライベルモットは「マティーニ」、スイートベルモットは「マンハッタン」などスタンダードカクテルの重要な香味要素となっている。

スイートベルモットはその名のとおり甘口。ハーブ系の風味が生かされている。イタリア発祥のためにイタリアンベルモットとも呼ばれる。

ドライベルモットはスイートベルモットに比べると辛口で、ワインの風味を生かしたものだ。こちらはフランス発祥。フレンチベルモットとも呼ばれる。


さて、ベルモットといえばイタリアのチンザノ社が世界的に有名だ。ロゴの赤と青の帯が印象的で、赤は情熱や輝き、青は伝統や地中海をイメージしている。

チンザノ家による創業は1725年。独自製法によるベルモットは次第に人気となり、1786年には後にイタリア王国の王家となるサヴォイア家の公式納入業者となる。1840年にはサヴォイア家からフランスのシャンパンに対抗するスパークリングワインの製造の命を受け、イタリアではじめてスプマンテを生んだ企業でもある。

もう20年ほど前のことになるのだが、ひたすらチンザノのベルモットを飲みつづける年配の女性とイタリアンレストランで食事をしたことがある。日本よりもヨーロッパで過ごされた年月のほうが長い方で、まったくもって世情を超越された愉快なご婦人だった。

食事中にテーブルワインを1本空けた。そしてデザートを断った彼女が飲みはじめたのが甘口の「チンザノ ベルモット ビアンコ」である。ヨーロッパでは女性たちがオン・ザ・ロックで味わうことを以前から聞いていたし、日本でも嗜む女性がいることも知っていたが、目の前で飲む人をその時はじめて見た。しかもストレートだった。

食事のあとにご婦人がバーに行きたいとおっしゃったので、お連れした。するとバーでは辛口の「チンザノ ベルモット エクストラドライ」をストレートではじめられたのだが、最後まで何杯もそれを飲みつづけていらっしゃった。

わたしはカクテルでしかベルモットに出会ったことがなかったので、おいしいのかしらん、と思いながらも口には出さず、ひたすら彼女の話に頷いていた。

イブのように誘惑されてみよう

先日、仲良しのバーテンダーと「マティーニ」のベルモットについて話をしていたら、忘れかけていたご婦人の姿がよみがえってきた。彼女との昔話をバーテンダーにすると、彼はわたしに「いまだに生(き)のベルモットを飲んだことがないんですか」と言い、つづけて「あまりお酒を嗜まない女性に、ビアンコ・スプリッツァーをすすめると喜ばれるんですよ」と教えてくれた。

白ワインのソーダ水割を「スプリッツァー」と呼ぶ。彼は白ワインをベルモットに代えてよくつくるらしい。早速「ビアンコ・スプリッツァー」をいただいてみた。これがなかなかに美味しい。甘く涼やかな感覚が口中をそよぐ。アルコール度数も低く、スーッと喉を滑る。白ワインよりも、わたしはビアンコのほうが気に入った。なによりも自宅で気軽に味わえる。ビアンコを1本常備しておくといい。


では他のカクテルも紹介する。「パーフェクト・マンハッタン」。これはわたしがすっきりと軽快な「マンハッタン」を味わいたいときによく飲む。ライウイスキーもしくはバーボンやカナディアンといったアメリカンタイプのウイスキーとスイートベルモットの組み合わせが「マンハッタン」だが、それにさらにドライベルモットを加えたものにパーフェクトが付く。チンザノのスィートベルモットのロッソとドライベルモットのエクストラドライを使うと飲み口がとても優しくなるのだ。

次に「ネグローニ」。ジン、カンパリ、スイートベルモットを同量の組み合わせ。柔らかい飲み口のすっきりとした甘みとともに、ベルモットとカンパリのほのかな苦みがいいアクセントになっていて、食前カクテルにふさわしい。

最後に「ポンピエ・ハイボール」。ポンピエは消防士(フランス語)のことらしい。色が赤いからなのか、ネーミングの理由はよくわからない。おやつ感覚で飲むといい。ドライベルモット、カシスリキュール、ソーダ水のすっきり甘口のおいしさ。ゴクゴク飲めてしまう。

女性たちにはこの「ポンピエ・ハイボール」や「ビアンコ・スプリッツアー」を気軽に楽しんでいただきたい。蛇の誘惑に負けて禁断の木の実を食べたイブのような出来事は起こらないからだろうから、安心して飲めるはずだ。

イラスト・題字 大崎吉之
撮影 川田雅宏
カクテル 新橋清(サンルーカル・バー/東京・神楽坂)

ブランドサイト

チンザノ ベルモット ビアンコ
チンザノ ベルモット ビアンコ

チンザノ ベルモット エクストラ ドライ
チンザノ ベルモット
エクストラ ドライ

チンザノ ベルモット ロッソ
チンザノ ベルモット ロッソ

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