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Liqueur & Cocktail

カクテルレシピ

アペロールスプリッツ

アペロール 45ml
白ワイン 30ml
ソーダ 適量
ビルド
グラスに氷を入れる
オレンジのスライスを飾る

アペロールモーニ

アペロール 30ml
グレープフルーツ
ジュース
30ml
トニックウォーター 適量
ビルド
グラスに氷を入れる
トニックウォーターを
ソーダに代えてもよい

アペロール・オレンジ

アペロール 45ml
オレンジジュース 適量
ビルド
グラスに氷を入れる

みんなでアペリティーヴォ

中国には古くから“薬食同源”思想がある。食は薬なり。薬を選ぶように、おいしくてバランスのよい食を選んで摂っていれば、健康でいられるということらしい。

1970年代、日本では“医食同源”という造語が生まれた。中国では薬、イコール漢方薬と解釈されるのだが、日本では化学薬品と勘違いする人もいるかもしれないので、医に代えて表現したのだといわれている。現在、“医食同源”は本家に逆輸入され、中国でも通じるそうだ。

“薬食同源”の国では食前酒は「開胃酒」(カイウェイチュウ)。胃を開き、食をすすめる酒をいう。目を転じると、フランス語ではアペリティフ(aperitif)、イタリア語ではアペリティーヴォ(aperitivo)、英語はアペタイザー(appetizer)で、すべてラテン語の「アペリーレ」(aperire/開く)が語源だ。中国語と同じ、胃を開くのである。飲めば胃が笑顔になる。それが食前酒だ。

ではどんな酒が胃を笑顔にするのか。主なものとしてワインでは白ワイン、スパークリングワイン、辛口のシェリー、他の酒ではビール、ウイスキーのハイボール、リキュールでは「カンパリ・ソーダ」などがある。

調べてみると、飲食のいろんな専門家たちが一様にこう述べている。

まず酸味や苦味のあるものがいいらしい。胃へ流れ込む前の口中。酸味や苦味は舌の血流をよくし、味覚に対する感覚が鋭くなるそうだ。そして胃を刺激し、胃液の分泌をよくする。もちろんアルコールも胃を刺激し、胃液の分泌を促す。また発泡性のある酒も胃を刺激する。

ただし食事の前にアルコール度数の高い酒は気をつけたほうがいい。胃の粘膜がへたってしまう。



ここしばらく、イタリアを紹介するテレビ番組で、夕方16時あるいは17時頃から20時くらいまでの夕食前のひととき、バール(bar)で食前酒を一杯飲みながら軽食をつまむ習慣を伝える場面が多くなってきている。“アペリティーヴォする”といった表現で伝えている。

軽食はオリーブ、ナッツ類、チーズ、プロシュート(生ハム)や魚介のマリネといったものが多いが、最近はその伝統が様変わりしているようだ。

先日、ビジネスの街ミラノのアペリティーヴォの模様がテレビで流れていたが、これはもう日本人の知るハッピー・アワーの様相で、ドリンク一杯にブッフェスタイルのおつまみというか皿に料理盛り放題で6ユーロだった。パスタ、リゾット、ピッツァ、揚げ物、串焼きなどなんでもあり。味も品揃えも確かなようで、つい食べ過ぎてしまい「これで夕食にしちゃう」とミラネーゼがインタビューに応えていたが、他人事ながらホッとした。

わたしが知るアペリティーヴォの習慣は、一杯か二杯飲んではまた次の店へ梯子するもっと軽やかなものだ。そして21時くらいになってやっときちんとした夕食を摂る。

ピッツァとオレンジジュース割

実はミラノでは10年以上前からこのハッピー・アワー・スタイルが定着している。人気のドリンクは「アペロールスプリッツ」。19世紀前半からヨーロッパで飲まれていた「スプリッツァー」という白ワインをソーダで割るカクテルがあるが、これをアレンジしたものでビター系リキュール「アペロール」が加わり、飲み口がとてもすっきりしている。

どんな料理ともよく合い、飲み飽きず、酔い過ぎず、しかも消化を助ける食前、食中代表カクテルだ。

いまヨーロッパで大人気のリキュールが「アペロール」。誕生は1919年。イタリアはヴェネト州、ヴェネツィアから40kmほど西に位置するパドヴァで、バルビエリ・ブラザーズ社が「もっともライトなリキュール」をコンセプトに生みだした。アルコール度数は11%。ワインよりも低い。

ビター系ではあるが「カンパリ」ほどの苦味は感じられず、オレンジのやわらかで温かみのある甘さとハーブ類の爽やかさが巧く調和している。



他に食前、食中カクテルとしておすすめは「アペロールモーニ」。よく知られている「スプモーニ」というカクテルのベースである「カンパリ」を「アペロール」に代えたものだ。トニックウォーターが「アペロール」の甘みとコク、グレープフルーツジュースの酸味と苦味をうまく持ち上げ、しなやかな味わいへの相乗効果を生んでいる。

わたしは自宅では喫茶感覚でオレンジジュース割にして飲む。かなりジュースの量を多くしているからビールよりもずっと低いアルコール度数で味わっていることになる。

愉快なことに、バレンシアオレンジジュースのはずなのに「アペロール」と出会うと和風なイメージも感じられる。なんだか温州みかんの風味が鼻を抜けるような気がする。よくつまみにするのはピッツァの定番、マルゲリータ。ピッツァに限らず、イタリアというか地中海系の料理との相性がいい。

最後に、胃を開く「アペロール」は決して気取って飲むリキュールではない。あっけらんかんと開放感にあふれた酒であり、いたずらで目鼻口を描き入れられた笑顔のお日さま、といったイメージだ。

イタリアの若者たちの舌を捉え、ヨーロッパ中に人気が拡大している理由は、日の光をたっぷりと浴びているような陽気さにある。

イラスト・題字 大崎吉之
撮影 川田雅宏
カクテル 新橋清(サンルーカル・バー/東京・神楽坂)

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アペロール

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