Liqueur & Cocktail

カクテルレシピ

ホット・ブランデー・エッグ・ノッグ

クルボアジェV.S.O.P. 30ml
ブルガル1888 15ml
砂糖 2tsp.
1個
牛乳 適量
ビルド/耐熱グラス
卵を卵白と卵黄に分けて別々によく泡立てる。
これらを一緒に合わせて砂糖を加え、十分に泡立てる。
グラスに入れ、ブランデー、ラムを注ぎ、熱した牛乳を満たし、ステア。

ミルクセーキのようなホットカクテル

寒い季節、身体を温めてくれるドリンクはさまざまにある。日本には卵酒や生姜湯などがあるが、ヨーロッパの国々ではホットワインがよく飲まれる。

ドイツやオーストリアは「グリューワイン」といって赤ワインにシナモンやカルダモン、ジンジャー、オレンジなどを加えた甘いホットワインが定番だ。似たようなドリンクをスカンジナビアの国々では「グルッグ」、フランスではホットワインは「ヴァン・ショー」と呼ばれている。

北米はどうかというと、ホットワインではないが卵を使った「エッグ・ノッグ」が定番である。もともとはノンアルコールだったようで、ミルクセーキみたいな味といっていい。ブランデーといったアルコールを入れると卵酒となる。バーテンダーがシェークした冷たいのを飲むのもいいが、やはりホットがいい。それにアメリカでは店で飲むというよりも家庭で味わうカクテルだ。スーパーの棚には瓶詰め「エッグ・ノッグ」がたくさん置いてある。

日本のバーではクリスマスシーズンになると「エッグ・ノッグ」を飲ませてくれるところもある。ただし生卵を扱わないバーも多いことを知っておいていただきたい。いろいろ理由はあるが、ひとつには生卵を使うカクテルはそんなに出ない。しかもたまにオーダーが入っても多くは卵白だけを使うカクテルである。

たとえば、わたしの好きなカクテルのひとつに連載第1回で紹介したシャルトリューズ ヴェールをベースにした「サンジェルマン」がある。これも卵白だ。横浜生まれのカクテル「ミリオンダラー」もそう。「ピンクレディ」「クローバー・クラブ」なども卵白である。そして「エッグ・ノッグ」。これは全卵を使う。


今回は「ホット・ブランデー・エッグ・ノッグ」を紹介しよう。材料はブランデー、ダークラム、砂糖、卵、牛乳である。

バーでホットカクテルとしてサービスする場合はかなり手間がかかる。熱い牛乳を入れると卵が凝固してしまうので、まず卵白と卵黄に分け、別々に泡立てる。そしてふたつを合わせて砂糖を加えて再び十分に泡立て、混ぜる。これをグラスに入れ、ブランデーとラムを注ぎ、熱した牛乳を満たしステアするのだ。

ここまでの説明でおわかりの方もいらっしゃるだろう。バーが忙しい時分にオーダーするのは絶対避けなければならない。迷惑がかかる。ホットにしないのであればまだ救いはある。シェークしてグラスに注いで、牛乳で満たせばいい。またシェークではなく、すべての材料をブレンダー(ミキサー)でミックスするバーテンダーもいらっしゃる。

クリスマス・ドリンクの代表

さてその「エッグ・ノッグ」だが、北米ではハローウィンの頃から出番がはじまり、最もよく飲まれるのがクリスマスや新年である。

日本のクリスマスというと、クリスチャンでないかぎり、多くの人たちがクリスマスを年間行事のお祭りのひとつとして楽しむ。恋人たちはバレンタインデーと同じように愛を育み、あるいは仲間が集まってパーティーを開く、といった宗教的な意味合いのまったくないイベントの日である。子供たちはサンタのおじさんが来ることを信じて、朝起きたらプレゼントがありますようにと願う。

ところがクリスチャンにとっては家族が集まるとき、そして静かに祈るときなのである。クリスチャンの多いアメリカの家庭では、イブの夜は教会で祈り、クリスマスの日もまた教会に出かける。ミサがつづくのだ。

ターキーは感謝祭で食べるのでクリスマスにはほとんど食べないし、クリスマスケーキなんぞもない。色とりどりにコーティングしたクッキーを食べる。そして「エッグ・ノッグ」を飲む。

飾り付けられたクリスマスツリーの傍らに家族が集まり、家族で飲むのだ。子供たちはもちろんノンアルコール。大人はブランデーやラム、バーボンウイスキーなどベースはお好みである。


祈りの日、人それぞれに想いがあるだろう。わたしはクリスチャンではないが教会との縁が深い。家族や親戚にカトリック信者が多く、そのため彼らと同じように教会で祈りを捧げる。

自分勝手を貫いているわたしだが、自分のことを神に祈ったりはしない。家族や友人が苦境に陥っていないかぎり、彼らのことを祈ったりもしない。

とにかく平和を願い、祈る。世界中で武器を持った争いごとが絶えない。いまの日本を取り巻く環境にも不安感が強い。戦いが世界からなくなりますように。ただこれだけを祈る。

若い世代を戦争で失いたくない。家族や友人のひとりでも戦いで欠けてはいけないのだ。それは地球に生きるすべての人、人類のごく当たり前の願いだろう。その当たり前のことをひたすら祈りつづける。

これから先、ときがいくつ積み重なっても、安らかな心地で「エッグ・ノッグ」を味わえますように、と祈る。

イラスト・題字 大崎吉之
撮影 川田雅宏
カクテル 新橋清(サンルーカル・バー/東京・神楽坂)

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クルボアジェV.S.O.P.
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ブルガル1888
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