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研究助成

成果報告

2004年度

諸宗教の共生と対話をめぐる文明学的再検討
― 歴史・現状・課題

南山大学宗教文化研究所助教授
奥山 倫明

 サントリー文化財団より、2004年度の「人文科学、社会科学に関する研究助成」のご支援により、国際共同研究「諸宗教の共生と対話をめぐる文明学的再検討-歴史・現状・課題-」を推進することができたことは、この上ない喜びであり、ここに心よりの感謝とともに、研究概要についてご報告させていただくことにする。
 なお、当初予定していた研究メンバーのうち3名の来日が困難になるという不測の事態に遭遇することはあったが、それに代えて別の研究協力者を招聘し、2005年3月には予想以上の規模での複数回、複数パネルによる国際研究集会を開催することができたので、まずその会議形式等についてご報告し、次いで研究成果と今後の課題について申し述べたい。

【会議形式等】
1. 共同研究者の事前の来日による客員研究員としての研究の実施
 本プロジェクトにおける共同研究者のうち、グルジアのZaza Piralishviliツビリシ大学教授は、2004年10月より来日が可能となり、その後6ヵ月にわたり、日本における宗教多元主義の状況と新宗教運動にかかわる諸問題の調査研究を行なった。
 またコンゴ民主共和国のUlombe Kaputu Felixルブンバシ大学教授は、2005年3月の丸1ヵ月の滞在が可能になり、その間、日本の宗教多元主義の状況と、宗教における女性の役割について調査研究を行なった。

2. 南山宗教文化研究所における国際ワークショップの開催
 サントリー文化財団に加えて、国際交流基金による支援もいただくことが可能になったため、2005年3月に南山宗教文化研究所において、宗教間対話に関して、連続する2種の国際ワークショップを開催することができた。国際交流基金共催による会議は、中東知的交流セミナー「中東における宗教間対話を求めて」と題して3月21日に開催(国外からの招聘者8名)。続いてサントリー文化財団のご支援による「世界各地における宗教間対話」を翌22日に開催した(国外からの招聘者7名、韓国出身の共同研究者・金承哲・金城学院大学教授は国内からの参加)。1日目の参加者も基本的には引き続き2日目の会議に参加し、連続して議論を深めることができた。

3. 第19回国際宗教学宗教史会議におけるパネル・ディスカッションの開催
 上掲「中東」関係パネル参加者は、本国際会議では「ヨーロッパにおけるムスリムと人権」「米国宗教多元主義とイスラームをめぐる批判的考察」で発表等の役割を果たし、上掲「世界」関係パネル参加者は、本国際会議でも「宗教間対話の再考」(1,2)に発表し議論を続けた。

【成果と課題】
 サントリー文化財団によるご支援の成果について、以下の2点に報告記事を掲載した(同封資料参照)。執筆者は、南山宗教文化研究所教授James Heisig教授である。1, “The Dialogue among Religions around the World: Report on a Workshop,” pp. 9-19, Bulletin of the Nanzan Institute for Religion and Culture, 29, 2005. 「世界各地における宗教間対話-ワークショップに関する報告」『南山宗教文化研究所所報』15号、10-18頁、2005年。報告内容等は両報告をご参照いただければ幸いである。なお、上掲諸研究集会への参加者とは、今後、さらに協同研究活動を続けていく予定である。特に依然として宗教間対話について問題が山積していることが明らかになった東欧、中東地域との学術交流が重要な意義を持つものと予想している。        

(敬称略)

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