サントリー文化財団

menu

サントリー文化財団トップ > サントリー地域文化賞 > 地域別受賞者一覧 > 地球市民の会

サントリー地域文化賞

活動詳細

九州・沖縄

佐賀県 佐賀市 1988年受賞

地球市民の会
広範な地域住民を巻き込んで、「普段着の国際交流」を展開する草の根活動

代表:古賀 武夫 氏

1999年11月更新

写真
「かちがらす計画」のホームステイ

 今日、国際化は単なる「これからの」課題や夢ではなく、時に厳しさを伴った現実として、「すでに」あらゆる分野において進展しつつある。

 「今や、昨夜はパリ、今宵は北京、明日は佐賀で美酒に酔う、そんな時代なのです。我々は日本人としての自覚を深めると同時に、宇宙船“地球号”の乗組員として、地球市民の意識をもって、世界の平和の実現に努力していかねばなりません」。いささか危機感を含んだ高い志に燃えて、地球市民の会が佐賀市に誕生したのは1983年のことであった。

 同会生みの親、古賀武夫氏は、フランス留学から帰郷後の1976年に若い仲間と「佐賀フランス研究会」を設立、のち「佐賀日仏文化会館」へと発展させる。これらの地道な活動を母胎として生まれたのが、市民レベルの国際交流団体「地球市民の会」である。

 佐賀県を小さな地球にしようと、1986年からはじめられた「小さな地球計画」は、夏休みに2週間、全国各地の在日留学生を佐賀に招き一般家庭にホームステイさせるもので、最初は、「客間がない」「トイレが和式」「言葉が…」等々の不安が強く、留学生受け入れはスムーズに進まなかった。しかし「外国人をお客様扱いせずに」という方針が実って、今では、佐賀県下の全市町村や九州全県でホームステイが行われ、これまでの参加者は40カ国1300名を数える。期間中は、自発的につくられた各地区の実行委員会の手で交流キャンプやシンポジウムなどの多彩な行事も実施される。

 この他、日本の青少年を韓国、タイ、スリランカ、マレーシアなど各国に派遣、青少年同士の交流を促す「地球ユースサミット」、在日外国人との交流をはかる「地球茶話会」、地の利をいかした韓国との交流「かちがらす計画(かちがらすは佐賀の県鳥)」、タイの中高生への奨学金支給をはじめさまざまな支援を行う「日タイ協力プロジェクト」、さらには、活動を通して直面した地域的、地球的課題の解決をはかるべく開催された「地球共感シンポジウム」や「アジア太平洋協力会議」等々。県や市の活動をリードする「地球市民の会」の活動は、国際交流活動を通じて地域社会に大きな刺激を与え続けている。

 「東京の方ばかり向いている人間にこの活動はできません」と胸を張る古賀氏。地球上の様々な民族と文化の独自性を互いに認め合い、ふれあう中から実感した「人間は誰でん一緒」という信念と感動こそが、エネルギーの源泉となっている。こうした地球市民の会の活動は、地元九州のみならず広く各地で共感を呼び、今では北海道や東京など全国に13の「地球市民の会」が誕生している。

 昨日はパリで、今日は佐賀で、そして明日は北京かソウルで、世界の人びとと友情を交わしあう「地球市民の会」の活動は、地域の意識を変えるばかりでなく、わが国の国際化を根底から支えていくものであろう。

サントリー文化財団