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サントリー地域文化賞

活動詳細

九州・沖縄

福岡県 福岡市 1987年受賞

博多町人文化連盟
博多町人の文化を守り育てるため、遊び心溢れるさまざまな企画をプロデュース

代表:西島 伊三雄 氏

1999年11月更新

写真
サンフランシスコ桜祭りに
どんたく隊を派遣

 博多は古くから中国、アジアとの交易を中心に栄え、独自の町人文化を築いた商業の町であった。ところが戦後、生粋の博多っ子も減少し、受け継がれてきた伝統・風習も次第に消えつつあった。そこで昔の町人気質を受け継ぎ、古き良き博多を守ろうと、1973年、博多町人文化連盟が結成された。

 博多人形、筑前琵琶、博多にわかなどの地元の伝統芸能を守る人たちのほか、業種や出身地などは問わず、とにかく「博多が大好き」という人が参加して約180名が集い、その人たちの推薦によって、グラフィック・デザイナーの西島伊三雄氏を理事長に、放送作家の帯谷瑛之介氏(故人)を事務局長として発足。月1回の例会で講習会や名所見学会のあと郷土料理をつまみながら親睦を図り、そのなかから、伝統文化を盛り上げるおもしろいアイデアが次々に生み出されてきた。

 江戸時代、博多の町人たちは、年に一度料理や食器を詰めた長持を担ぎ、筥崎宮浜の松原に大きな幕を張って宴会を催していた。この「幕出し」の風習を7世紀ぶりに復活させ、また上水道ができるまで博多っ子の命の水であった井戸水「松原水」を修復するなど、古い伝統を現代に蘇らせた。

 また1975年には、博多のために身を粉にして黙々と努力し続けている人にもらっていただこうと「博多町人文化勲章」を制定。博多駅で勤続40年の赤帽さんを初めとして、旧町名碑製作に尽力した石材店主や「黒田節」の名付け親、明治の俳優川上音二郎の「オッペケペ節」を伝えている人、博多にわかの三味線をひき続けてくれた方、若い人では「博多っ子純情」の漫画家長谷川法世氏も顕彰。最近では、すたれつつある町の地蔵尊祭りや博多民芸「張りこ」製作者、若い博多の町おこしグループ「はかた部ランド協議会」、都心の4つの小学校が統合された博多小学校の生徒たちの「どんたく隊」なども顕彰している。

 この他、福岡シティ銀行の「博多に強くなろうシリーズ」、NTTの「博多もの知り読本」「博多よもやま話」の発行、町人文化展の開催、鯉の稚魚5万匹の放流、博多想い出の映画・芸能を見る会や博多弁で習う英会話塾の実施など、町人文化連盟が音頭をとって、多杉な活動を展開してきた。また、文化連盟の会員自らが出費し、海外へ博多どんたくの遠征を行い、これまでサンフランシスコ、オークランド、ボルドー、上海で大歓迎を受け、国際交流にも大きな役割を果たしている。

 博多町人文化連盟は、99年に創立25周年を迎え、11月5日には、団体として「福岡市民文化活動功労賞」を受けた。

 新幹線が開通した時、「リトル東京にならないように」と西島理事長は決意した。博多という大都市において、様々な立場の人が集まり、遊びの精神に裏打ちされた卓抜な企画力によって伝統文化を守って行こうという姿勢は、今後の都市型地域文化活動を考える際の一つの指針となるだろう。

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