サマーフェスティバル2014 サントリー芸術財団

第24回 芥川作曲賞選考演奏会

The 24th Competition of Akutagawa Award for Music Composition

芥川作曲賞について

「芥川作曲賞」は、作曲家・芥川也寸志(1925-1989)の功績を記念して、1990年(財)サントリー音楽財団(2009年公益財団法人サントリー芸術財団に移行)によって創設されました。国内外で初演されたわが国の作曲家の作品の中から、もっとも清新で、豊かな将来性を内包する作品に贈られるもので、わが国では初めての公開の選考会で選定し、決定いたします。受賞作曲家には賞金を贈るとともに、新しい作品の創作を委嘱し、完成後にその初演を行うという、複合的でユニークな賞です。

選考委員(50音順) 小鍛冶邦隆 福士則夫 望月 京

協力=(社)日本作曲家協議会
日本現代音楽協会
(社)日本音楽著作権協会

芥川作曲賞 過去の受賞者・受賞作品・委嘱作品はこちら

芥川也寸志

8/31日 第24回 芥川作曲賞選考演奏会

15:00[開場14:30] 大ホール

第22回芥川作曲賞受賞記念サントリー芸術財団委嘱作品

新井健歩:TACTUS(タクトゥス)(2014)世界初演

第24回芥川作曲賞候補作品(50音順/曲順未定)

稲森安太己:アナタラブル〜管弦楽のためのプレリュードとフーガの亡霊(2012)日本初演

  • 初演=2013年3月16日 ケルン音楽大学大ホール
  • 西ドイツ放送・現代の音楽「オルケスター・ヴェルクシュタット」
  • 指揮:ティトゥス・エンゲル 西ドイツ放送交響楽団

大西義明:トラムスパースⅠ―大アンサンブルのための(2012-13)日本初演

  • 初演=2013年9月2日 オランダ・ユトレヒト市ヘールテ教会
  • ガウデアムス音楽週間 オープニング・コンサート
  • 指揮:クラーク・ランデル アスコ・シェーンベルク・アンサンブル

鈴木純明:ラ・ロマネスカⅡ―ペトルッチの遍歴〜管弦楽のための(2013)

  • 初演=2013年6月7日 東京藝術大学奏楽堂
  • 藝大21創造の杜2013「藝大現代音楽の夕べ」
  • 指揮:湯浅卓雄 藝大フィルハーモニア

候補作品演奏の後、公開選考会(司会:岡部真一郎)

  • 指揮=杉山洋一
  • 管弦楽=新日本フィルハーモニー交響楽団

入場料:[指定席] 一般 2,000円/学生 1,000円

座席表PDF(4.9MB)

作曲家からのメッセージ

2年前、すでに大学を卒業していた私は、今後の具体的な方向が決まらず途方に暮れていました。それは、「作曲」という枠にとらわれてはいけないという確信が強くあったからです。そのような中、思いがけず大学の卒業作品が芥川作曲賞の候補に上がり、それだけでなく賞までいただくことになりました。こうして作曲という分野で期待されることになったものの、やはり前時代的な行為という感触を拭い去れず、しばらくの間どうすることもできなかった私は、以前より興味を持って始めていた、西洋音楽の歴史的奏法(特にテンポ感)についての探究を続けました。それと並行して、現代の指揮法を学び、実践する機会を持ちました。これらの経験は、現代のテンポ感を客観的に捉えることに役立ち、新しいテンポ感を呼び起こしうる記譜法のアイディアとなり、「意味のある」新作を完成させることに結びつきました。また、倍音列に基づく非平均律的なピッチ組織の実現のため、木管楽器を編成から除外したことも特徴です。これらの試みを多くの方々に向け発信する機会を得たことの素晴らしさを日増しに実感しています。色々な意味で、発表には覚悟が必要な一作となりました。

新井健歩

プロフィール

新井健歩(あらい けんぽ)

1988年ロサンゼルス生まれ。2011年桐朋学園大学作曲専攻卒業、現在同大学研究科在籍。作曲を大家百子、鈴木純明、ピアノをローラン・テシュネ、指揮を吉田行地、梅田俊明の各氏に師事。第22回芥川作曲賞受賞。今までに、12平均律によらないピッチ組織や、演奏動作と音楽の関係などを、独自の視点で探求した作品を制作し、新たな音楽のあり方を模索している。

稲森安太己(いなもり やすたき)

1978年東京生まれ。東京学芸大学大学院修了、ケルン音楽大学コンツェルトエグザメン課程器楽音楽作曲科および修士課程電子音楽作曲科修了。ロームミュージックファンデーション、野村財団から奨学金を受ける。作曲を山内雅弘、ミヒャエル・バイル、ヨハネス・シェルホルンの各氏に師事。2007年日本音楽コンクール第1位、2011年ベルント・アロイス・ツィンマーマン奨学金賞、2013年芥川作曲賞ノミネート。

大西義明(おおにし よしあき)

1981年北海道生まれ。作曲家、指揮者。高校より渡米。カリフォルニア州パシフィック大学、イェール大学院を経て、現在コロンビア大学院作曲科博士課程に在学中。同大学院では、作曲をファビアン・レヴィ、フレッド・ラーダール、ジョージ・ルイス、トリスタン・ミュライユ各氏に師事。札幌のパシフィック・ミュージック・フェスティバルにて、一柳慧、細川俊夫各氏に師事。2011年ガウデアムス作曲賞(オランダ)受賞。ニューヨーク在住。

(c)David Adamcyk

鈴木純明(すずき じゅんめい)

1970年東京生まれ。東京藝術大学大学院修了。文化庁派遣研修員としてパリ国立高等音楽院で学ぶ。IRCAM作曲研究課程修了。日本音楽コンクール、日本交響楽振興財団作曲賞、ガウデアムス国際音楽週間、ブールジュ国際電子音楽コンクール等に入選。これまでにザグレブ音楽ビエンナーレ、モンテカルロ春の芸術祭、ミュージック・フロム・ジャパン等で作品が初演されている。現在、東京藝術大学准教授、桐朋学園大学、同大学院大学各講師。

杉山洋一(指揮)

1969年生まれ。桐朋学園大学作曲科を経て渡伊。指揮者として2000年のアンサンブル・モデルンのツアーを皮切りに、ウィーン・モデルン、パリの秋等の音楽祭で、オーケストラ・ミラノ・ムジカ、クラングフォーラム・ウィーン等の現代音楽オーケストラを指揮。東京では都響、東京シンフォニエッタ、東京混声合唱団、四国二期会「ファルスタッフ」他を指揮。作曲家としては、ヴェネチア・ビエンナーレ、東京混声合唱団などから委嘱を受けている。「東京現音計画#01:コンポーザーズセレクション1・杉山洋一」が、第13回佐治敬三賞を受賞。

新日本フィルハーモニー交響楽団

1972年指揮者・小澤征爾のもと楽員による自主運営のオーケストラとして創立。すみだトリフォニーホールを本拠地とし定期演奏会の他、地域に根ざした演奏活動も特徴的。2013/14シーズンよりConductor in Residenceインゴ・メッツマッハー(13年〜)、 Music Partner of NJPダニエル・ハーディング(10年〜)の二頭体制が始動。受賞歴に三菱UFJ信託音楽賞(09年、アルミンク指揮)、ミュージック・ペンクラブ音楽賞(09年、ブリュッヘン指揮)等。近年の斬新な企画と優れた演奏は高く評価され、メディアでも「日本のオーケストラの新御三家のひとつ」として紹介されている。

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