Liqueur & Cocktail

カクテルレシピ

シトロンジーナ

デカイパー
シトロン ジュネヴァ
30ml
レモンジュース 10ml
オランジーナ 適量
ビルド
氷を入れたタンブラー

レンブラントの午睡

デカイパー
シトロン ジュネヴァ
40ml
カンパリ 20ml
パライソ 2dashes
シェーク/カクテルグラス
レモンピールをツイストし、
グラスに沈める

レンブラントの午睡

デカイパー
シトロン ジュネヴァ
40ml
レモンジュース 10ml
卵白 10ml
シュガーシロップ 1tsp.
クラッシュドアイス 1cup
小ぶりのグラス
ブレンダー(ミキサー)に
かける

風車とジンの町

オランダの大都市ロッテルダムの隣にスキーダムという町がある。ここは風車が有名で、いまも「クジラ」「三つの麦」「自由」「北」「新しい椰子の木」と名のついた5基とともに、2、3年前に「らくだ」という名の風車が再現され、計6基が町の顔となっているらしい。いちばんの人気者は約33メートルの世界一の高さがある「新しい椰子の木」クンである。

これらの風車は酒づくりとも縁が深い。

18世紀〜19世紀にかけてスキーダムはジュネヴァと呼ばれるオランダジン蒸溜の中心地だった。その時代に、ジュネヴァの原料となる穀類を挽くのに大活躍したのが風車。いまも何基か稼働していると聞く。

オランダジンの呼び方はさまざまにあるが、ジンについて述べた文献に、ジュネヴァやホランズとかに並んで、「スキーダムとも呼ぶ」なんて書いてあるのは、この風車の町のジュネヴァ生産の繁栄を物語るものだ。

ロッテルダムを本拠にしている名門酒類メーカー、デカイパー社は長年このスキーダムで蒸溜をつづけている。創業300年記念の1995年にはオランダ女王から「ロイヤルディスティラー」の称号を授与されている。風車たちも誇らしいに違いない。



スキーダムの町のことを思い出させたのは、先日、バーで友人が爽やかなレモン風味のリキュール「デカイパー シトロン ジュネヴァ」のボトルを見て、「あれって、フランスの自動車メーカーと関係あるのかな」と言ったのがきっかけだった。そっちのほうはフランスのシトロエンさんという人の名である。こっちのリキュールは柑橘類のほうだ。

そこからはバーテンダーも加わり話はどんどん飛躍する。フランスにアタマがいってしまった友人が「フランスにはウィークエンド・シトロンというケーキがある。家族や恋人といった大切な人と週末に仲良く食べましょう、というところからきているらしい」という。

レモン果汁やすり下ろしたレモンの皮をたっぷりと使った、甘酸っぱいバターケーキだそうだ。これは後日、インターネットで調べてみたらほんとうで、日本でも知られているようだ。

そんな話で盛り上がっていたら友人はレモンの味が恋しくなりだして、「デカイパー シトロン ジュネヴァ」を使ってカクテルをつくって欲しい、と言いだした。

バーテンダーは「パティシエではありませんからレモン味のケーキはつくれませんが、遊んでみましょうか」と快諾してくれた。

光と影のカクテル

最初は、誰でも簡単につくれるカクテルで喉を潤す。まずは話のついでにフランスの炭酸飲料「オランジーナ」で割ってくれた。

レモンリキュールに炭酸オレンジというミカン属のミックスは、万人が愉しめるすっきりシトラスな味わい。ただ思いのほかしっかりとしたサワー的な風味を感じた。「フレッシュのレモンジュースを少し加えました」とバーテンダーが教えてくれた。なるほど、プロの匙加減、ひと味の工夫を再認識する。

バーテンダーはこうすすめる。「デカイパー シトロン ジュネヴァ」は家庭に常備しておくといい。手軽にソーダやトニックウォーターで割っておいしいし、ライトな風味だからロックやストレートでも味わえる。「それにオランジーナなら、どこでも売っているでしょう」と言った。

このカクテルは「シトロンジーナ」と単純明快なネーミングをした。

次はシェークした赤い色をした本格派が登場する。レモンビターな感覚の食前酒ともなるようなオールデイタイプ。お洒落である。ほんのり優しい甘みが口中に漂う。ビターな味わいは「カンパリ」、レモンとは異なるフルーティーな甘みはライチのリキュール「パライソ」が醸し出している。ライチのほんのりがいいアクセントになっている。

このカクテルには「レンブラントの午睡」(ひるね)と名付けた。

光と影の魔術師と評される17世紀の画家レンブラントは、ロッテルダムやスキーダムと同じ南ホラント州のライデンに生まれた。家は風車小屋を持ち、製粉業を営んでいた。レンブラントはライデン大学に進んだが、法律家を望む親の期待に反して美術にしか興味がなく、すぐに退学している。彼の晩年(1669年没)、1660年、そのライデン大学医学部シルヴィウス教授がジュネヴァ、つまりジンの起源となる薬用酒をつくっている。

ネーミングは、シトロンとライチの甘みが光、「カンパリ」のビター感が影であり、風車、ライデン、ジュネヴァのこじつけとともに、絵筆を持つのに飽いたレンブラントがこれを飲んで昼寝する様を想い描いたからだ。正直に言えば、自分自身の現実逃避願望でもある。

レンブラントの話で盛り上がっている間に、バーテンダーが遊び心を発揮する。

登場したのはレモン風味たっぷりのジェラート。卵白は使わなくてもいいそうだが、入れるとやはり食感が違う。フワフワっとしたソフトな口当たりとなる。これも自宅でできる。誰でもお手軽な「シトロンジーナ」よりも少し手間はかかるが、客を招いたときには喜ばれるはずだ。

さあ「デカイパー シトロン ジュネヴァ」を用意しよう。まずはオン・ザ・ロックで飲んで、昼寝をしてみよう。目覚めたらファンになっている。

イラスト・題字 大崎吉之
撮影 川田雅宏
カクテル 新橋清(サンルーカル・バー/東京・神楽坂)

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デカイパー
シトロン ジュネヴァ

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