チーズとワイン

毎月連載

チャレンジ!気軽にマリアージュ

カジュアルなワインとカジュアルなチーズの相性を、
担当:柳原が独断で評価します!!

第59回

2019年11月

サガナキ

チーズの味わい

鋳物の小さなフライパンでチーズを焼いた、ギリシャやキプロスの伝統的な料理です。シコシコした独特の質感と、口の中に広がる乳の旨味と衣の小麦粉の香ばしさ。チーズを食べる喜びが味わえます。

準備するもの
 チーズ(ハロウミ使用)100g、小麦粉 少々、オリーブオイル 少々、お好みでレモン

つくり方
 (1)チーズのかたまりを厚さ1~1.5cmくらいにスライスし、小麦粉をチーズ全体に満遍なくまぶす。
 (2)オリーブオイルをひいたフライパンにチーズを載せ、こんがりと色づくまで両面を焼く。お好みでレモンを絞る。

サガナキ

  • 独断!マリアージュおすすめ度
    3
    マクウィリアムズソーヴィニヨン・ブラン 2018
    味わい
    アロマ
    • キウイフルーツ
    • パッションフルーツ
    • ミックスハーブ

    お互いの良さを素直に出すが、もう一つ何か欲しいマリアージュ。

    マクウィリアムズはオーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州で6代にわたってワインづくりを続ける家族経営の老舗ワイナリー。
    多くのコンクールでの受賞実績を誇る名門です。このソーヴィニヨン・ブランはトロピカルフルーツを連想させる香りとフレッシュな果実感が特長の軽やかな辛口。ランチや軽めの夕食に合いそうな爽やかな味わいです。
    サガナキと合わせると、ワインはよりトロピカルフルーツを思わせる感じが強くなって、豊かな印象になり、チーズからは原料乳の中の山羊乳の香りが前面に出てくるようになりました。ワインもチーズもストレートに本来持っている味を出してくる感じで素直に美味しいのですが、あまりに素直すぎて何か少し足りない(お互いから良さをそれ程引き出していない?)ような気もする組み合わせでした。このワインの場合は、サガナキにギュッとレモンを絞ってあげると爽やかさが増して相性がグッと良くなります。

  • 独断!マリアージュおすすめ度
    3
    ファルケンベルクリープフラウミルヒ 2018
    味わい
    アロマ
    • 白桃
    • 白い花
    • はちみつ

    前半は混然一体、後半に香りがグッと出るマリアージュ。

    ドイツワインを代表する銘酒「リープフラウミルヒ(聖母の乳)」の元祖です。ミュラー・トゥルガウ、リースリング、ケルナー、シルヴァーナーのブレンドからうまれるフルーティで甘酸っぱい、キュートな味わいが魅力です。
    サガナキと合わせると、不思議とお互いの味わいが一瞬わからなくなってしまいました。マドンナの酸味がチーズのまろやかさに吸収され、チーズの塩味と香りがマドンナの甘さに吸収されていく感じで、一体感は凄くあるのですが、味わいがあまり出て来ません。味わいの後半になるとワインのフレッシュさや、ハチミツの香りや柑橘のタッチが綺麗に出て来て、ああ美味しいなあという感じになります。このワインの場合はチーズの中の羊乳の味わいが前面に出てきました。

  • 独断!マリアージュおすすめ度
    4.5
    ジョルジュ デュブッフボジョレー ヌーヴォー 2019
    味わい
    アロマ
    • ■ベリー■いちご
    • キャンディ
    • 赤い花

    強さピッタリ&果実味全開。ピッタリのマリアージュ。

    毎年11月の第3木曜日に解禁になる、新酒の代表選手。ジョルジュ デュブッフはそのトップブランドで、素朴な地酒でしかなかったボジョレーを世界に知られるワインにした功績から、「ボジョレーの帝王」と呼ばれています。2019年はいちごやラズベリーなどの赤い果実のピュアなフレッシュさの中に、丸みを帯びたエレガントな味わいが特長とのこと。
    サガナキと合わせると、ワインの果実味がドンと前に出てくるように感じました。華やかないちごをはじめとする様々なベリーを思わせる魅力的な果実味です。さらにその後からチーズの香りと旨味も口いっぱいに広がります。サガナキの強さ感とワインの強さ感も丁度良く、口の中で心地よくまとまっていくピッタリの組み合わせだと思いました。ハロウミの羊乳の香りが良いアクセントとなって、全体の複雑味をふくらませてくれているのも好印象でした。

    ※ボジョレー ヌーヴォーは実験時には解禁前のため、通常のボジョレーでマリアージュを試しています。

  • 独断!マリアージュおすすめ度
    4
    メゾン カステル メドック 2018
    味わい
    アロマ
    • ブラックチェリージャム
    • クローブ
    • チョコレート

    サガナキの全てをワインが受け止めてくれる。安心感のマリアージュ。

    メゾン カステルは、フランスNo.1※ワインメーカーのカステル社の最も新しいブランド。発売後、わずか3年で世界84か国400万本/年を販売する主力になりました。このメドックは10月1日新発売のA.O.C.シリーズの中の1本。王道のボルドーらしい構造を持ちながら、渋みがまろやかで飲み口の良さも併せ持ちます。ぶどう品種はメルロとカベルネ・ソーヴィニヨンが50%ずつ。
    サガナキと合わせると、まろやかで飲み口の良いこのワインの良さが、より引き出される感じがありました。樽熟成によるオークの甘い香り、2018年ならではのリッチな果実味が、サガナキの力でより甘く感じられる印象です。チーズがワインの持つ豊かでアーシーな要素をきちんと引き出してくれて、香ばしい衣部分と樽熟成の相性も良い感じです。チーズの塩分の強さや混乳による複雑さもきちんとワインが受け止めて、さらに一回り大きな味わいにしてくれる、凄く安心感のあるマリアージュでした。

    ※IMPACT DATABANK 2016,World’s Top 10 Wine Marketers(世界での販売数量データ)

チャレンジまとめ

サガナキはギリシャの言葉で小さな鉄のフライパンの事。このフライパンを使った料理の総称なので肉や魚介類を使ったサガナキも存在しますが、最もポピュラーなのはチーズを使ったサガナキ。ギリシャだけでなく、東地中海エリアでポピュラーな料理で、今回はキプロスのチーズ・ハロウミを使用しています。ハロウミは牛乳、羊乳、山羊乳などを混ぜてつくられる混乳のチーズ。混乳ならではの複雑な乳の香りと、他のチーズではほぼ出ない、ムギュムギュ、シコシコした独特の食感が魅力です。生でも美味しいですが、焼いて食べるのが最高。ハロウミは加熱しても溶けないのが特徴で、今回のようにしっかりと焦げ目をつけてもまったく溶け出さずにムギュムギュの食感を維持します。このハロウミに小麦粉をまぶして数分焼くだけ(フライパンでなくグリルでも美味しくできます)。あっという間に出来上がるとても簡単な料理です。しかし、味は本格派。ハロウミは決して安いチーズではないけれど(100gで500円前後)、サガナキ単品でその日のメインの食事になれてしまう食べ応えのある一品になります。今回の実験では赤ワインとの相性が良かったですが、イタリアやスペイン、もしくは南仏などのコクのある白ワインともいい感じで合わせられます。塩味が比較的強いチーズですので、気になる方は焼く前に少し牛乳に浸して塩抜きしてから使用して頂くと良いと思います。焼きたてが格別ですので、他の料理やワインを準備してからサガナキを調理して下さい。

柳原 亮 (やなぎはら りょう)

野菜と穀物(ライ麦パンが好き)、豆腐が主食の草食系。
ヤギ乳製チーズをこよなく愛する、通称ヤギ原。
年間3,000種類超のワインをテイスティングし、お小遣いの総てをワインに投じる徹底したワイン愛好家。

(一社)日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル
第9回(2013年)全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝

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