このチーズに合うワイン

「このチーズにぴったりのワインは?」とメンバー一同まず注目したのが、チーズと同郷のトスカーナ州産の「ヴォロロッソ キャンティ」です。前回の山羊乳製チーズとのマリアージュでも登場したワインですので、まだ記憶に新しい方も多いのではないでしょうか?今や日本でもよく目にする「はやぶさ」をモチーフにイタリア半島を描いたラベルのワインは、「カヴィロ社」が世界的に展開する「ヴォロロッソ」ブランドのキャンティです。サンジョヴェーゼ100%の赤ワインは、香りはもぎたての赤色ベリーを連想させ、フレッシュな酸味と若々しい果実味のバランスが清々しいこの時期にぴったりのワインです。前回は酸味のあるフレッシュな山羊乳製チーズとのマリアージュで、ワインとチーズが重なり合う事で生まれた果実の凝縮感を堪能しました。
今回は羊乳製の「ペコリーノ」。定石ともいえる同郷同士の組み合わせに期待を膨らませ、いざティスティングへ・・・。

口に含んだ瞬間、ワインの赤色ベリー系の凝縮感と、羊乳製チーズ「ペコリーノ」の甘みとコクが馴染み合います。フランスのバスク地方では羊のチーズとブラックチェリーのジャム、スペインでは羊乳製のチーズとマルメロのジャムと合わせて食べ合わせたりするのが有名ですが、この「ペコリーノ・トスカーノ・フレスコ」に「ヴォロロッソ キャンティ」を合わせるとまるで心地よい赤い果実のジャムを添えて食べているかのよう。メンバー一同もこの出会いに頷くばかり。同郷の力を見せつれられたのです。そして、チーズは噛みしめる程にミルクの甘さが広がり、ワインの軽やかさにチーズのコクがプラスされ、まるでワインの凝縮度が上がったかのような錯覚を覚えました。チーズのコクがワイン全体の味わいを底上げしてくれ、チーズもいつもより華やかに変身をとげ、メンバー一同いちおし赤ワインに決まったのでした。

同郷同士の至福のマリアージュに続いて、おすすめの白ワインにはここでもイタリアワインが活躍しました。イタリア北部アドリア海に面するヴェネト州の「ボッラ ソアーヴェ クラッシコ」。このワインは、当時素朴な地酒であったソアーヴェの白ワインの品質を磨き上げ、世界に紹介、イタリアの白ワインの代名詞といわれるまでに育てあげた歴史ある名門、ボッラ社の一品です。ガルガネガ種主体のミディアムボディーの白ワインです。色調はややグリーンがかった淡い麦わら色。香りは白い花を連想する香りと、ライムのような柑橘系の香りの華やかさが特徴です。味わいは酸味と果実味のバランスが良く、すっきりとしながらコクがある辛口の白ワインです。

「ペコリーノ・トスカーノ・フレスコ」とこの「ソアーヴェ」を合わせると、羊乳独特の優しい甘さがワインの果実味に支えられ、後味まで心地よく持続しました。そして、熟度が若く塩見の優しい「ペコリーノ・トスカーノ・フレスコ」の味のボリューム感と、「ソアーヴェ」の持つ味のボリューム感がちょうどマッチした組み合わせとなりました。ワインの軽やかさもチーズによって味わいのアクセスに変わり、まるで花の香りが漂う初夏の陽気に、一瞬の清々しい風が吹いたかのような、得した気分に包まれ、メンバーの笑顔もほころんだマリアージュでした。イタリアでは春から初夏にかけてそら豆が出回る時期、「ペコリーノ」とそら豆の組み合わせは美味しい旬の組み合わせとして知られています。皆様も是非「ペコリーノ・トスカーノ・フレスコ」とそら豆とサラダ仕立てにして、この「ソアーヴェ」で旬のマリアージュをお楽しみください。
旬を迎えた「ペコリーノ」も、頼もしい赤ワイン「ヴォロロッソ キャンティ」と白ワイン「ボッラ ソアーヴェ クラシコ」がいてくれれば安心ですね。
その日の気分で赤と白。初夏の食卓を気軽に彩ってくれるおすすめのワインです。


1st

ヴォロロッソ キャンティ

ヴォロロッソ
キャンティ

イタリア
ぶどう品種 サンジョヴェーゼ

1966年創立したエミリア・ロマーニャ州の協同組合であるカヴィロ社。ヨーロッパ有数の規模を誇り親しみやすいワインをつくりだしています。サンジョヴェーゼ100%で醸され、豊かなベリー系を思わせる香り立ちと、果実味いっぱいの味わいです。ヴォロロッソとは「赤い飛行物体」の意味で、ラベルのはやぶさのマークをイメージして付けられた名前です。

2nd

 

ボッラ
ソアーヴェ クラッシコ

イタリア
ぶどう品種 ガルガネガ、トレビアーノ

イタリア白ワインの代名詞「ソアーヴェ」の名を世界に広めた「ボッラ社」の逸品です。花のような香りのフレッシュでフルーティな辛口。飲み口は爽やかですっきりとしています。魚介料理をはじめ、どんな食事ともよく合います。葡萄品種はガルガネガ種主体。ボッラ社は1883年創業のヴェローナの名門です。