この料理に合うワイン

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1st

サントリーフロムファーム津軽 シャルドネ&ピノ・ノワール スパークリング グリーンエティケット 

サントリーフロムファーム津軽 シャルドネ&ピノ・ノワール スパークリング グリーンエティケット

日本
ぶどう品種 シャルドネ、ピノ・ノワール

 今回のレシピは、トートマンクン(タイ海老カツ プラムソース)です。トートマンクンは、トートマンプラーと並んで、タイ料理の「すり身揚げ料理」の2大巨頭です。トートマンクンに使われる海老は海産の海老も使われますが、淡水海老のオオテナガエビが使われる事が多いです。オオテナガエビは十脚目テナガエビ科テナガエビ属で、淡水に生息する海老では最大種になります。日本の河川に棲むテナガエビが、最大全長が20cm位までなのに対して、オスで最大34cm、メスでも26cm位にも成長します。インド太平洋地域の、インドから東南アジア、北オーストラリアにかけての熱帯および亜熱帯地域に自生しています。名前の通り両腕が長く、綺麗な青色をしていて湯掻くと鮮やかな大赦色(たいしゃいろ)になります。世界で、食用として広く養殖されていて、東南アジアでは特に盛んです。アフリカ、中国、台湾、ニュージーランド、アメリカ大陸やカリブ海でも養殖されています。タイのバンコクには、常設のテナガエビの釣り堀が、いくつもあって、釣った海老はその場で調理してくれます。フルサービスの釣り堀では、餌付けはもちろん、海老が連れた時の取り外しもしてくれてデートや子供連れにも大人気です。海の海老ですが、タイはかつてブラックタイガーの輸出量で世界一を誇っていました。1970年代にタイ政府の強力な援助でブラックタイガーの養殖が始まり、1991年から20年間は、海老の輸出量世界一の座を堅持していました。その後、海老の種類はバナメイエビに変わりました。世界一の海老輸出量の座から滑り落ちるきっかけは2010年代に急性肝膵臓壊死症などの早期死亡症候群(Early Mortality Syndrom, EMS)が大流行し、海老の生産量が半減したからです。15年以上、時が経ちましたが海での養殖海老の生産量は回復していません。今回のマリアージュ実験で使用した海老はバナメイエビです。さて、このレシピで、大事なソースですが、今回は梅干しを使ったプラムソースです。タイでは梅干しをそのまま飯のお供のように食べる事は余りありません。調味料として使う事が殆どで、例えばマナガツオのような白身魚の上にちぎって載せて蒸したりします。このプラムソースはポピュラーで、世界的な超大手ハンバーガーチェーンのタイの店舗ではチキンナゲットのソースはBBQソースか、このプラムソースが選べるそうです。今回の都先生のレシピの梅干しは昔ながらの塩分濃度20%くらいの塩辛い物が前提です。皆さんがお使いになる梅干しが、例えば減塩で、塩分濃度が10%だとすると、梅の大きさにもよりますが、1粒あたり2g程度の塩分を足す必要があります。今回のトートマンクンには、鈴木都先生の「幅広いワインとの相性を高める工夫」がしてあります。海老の粗みじんだけではなく、豚肉のミンチも使う事や胡椒を強めに振る事などです。海老と豚のミンチはドーナッツ状に成形して、カリカリの部分を増やして、火の通りを早く、均一に出来るようにしています。
 さて、このトートマンクンにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはサントリーフロムファーム 津軽 シャルドネ&ピノ・ノワール スパークリング グリーンエティケットでした。マリアージュ実験に使ったのは、2023ヴィンテージです。津軽のスパークリングワインで、通常の白い色のラベルと違う、緑色のグリーンエティケットを作るのは2020年が初めてで、2023年は2回目なのです。津軽 シャルドネ&ピノ・ノワール スパークリングの瓶内二次発酵後の熟成期間は36ヶ月を基本にしていますが、金科玉条のように36ヶ月で固定している訳ではありません。それぞれのヴィンテージで20か月を過ぎた辺りで、醸造家、畑の管理のサポート担当者や日本ワインのブランドチームと評価パネルと呼ばれる、元シャトー ラグランジュの椎名名誉チーフエノロジストやスペシャリストたちが集まってテイスティングをして、「通常の36ヶ月まで引っ張るのか、24か月に留めて、よりフレッシュな状態でお客さまにお届けした方が良いのか? 」を検討します。初めてグリーンエティケットにする判断をした2020年ヴィンテージは、開花の後の6月下旬から雨が降り始め、曇りがちでぐずついた天候不順が8月上旬まで続いた年でした。9月上旬は気温が高かったので、ぶどうの成熟が促進されるかと期待しましたが、実際には緩やかな糖度上昇でした。シャルドネ、ピノ・ノワール共に糖度は例年より低かった年でしたので、24か月で製品化する判断をしました。でも、24か月熟成に留めたお陰で、フレッシュなフルーティーさが保たれました。酸もエレガントで、軽やかながらバランスが、とても良かったので、2023に開催された日本ワインコンクールに出品しました。すると、なんと「スパークリング部門・金賞&部門最高賞」を頂戴する事が出来たのです。2023年は、と言うと、皆様もご記憶されていると思いますが、これまでに経験がない位に、とても暑い年でした。この暑さは9月20日ごろまで続きました。暑さの影響で、ぶどうの成熟は例年よりも1週間から2週間程度早く、シャルドネを前年よりも11日早い9月5日-16日まで、ピノ・ノワールを9月13日-23日に収穫しました。シャルドネは膨らみのある味わいに、ピノ・ノワールはミネラリティある味わいになりました。暑さの影響か、酸は我々が津軽スパークリングに求める理想の酸よりは少しだけ柔らかく、優しいタッチです。グラスに注ぐと、色はほんの少しだけグリ色のトーンを帯びた輝きのある淡いレモンイエローです。細かい泡が連続的に上がってきます。青リンゴから赤いリンゴのタッチがあります。香ばしいトーストを思わせる香りが、泡と共に昇ってきます。口に含むと、凝縮感のある果実味と同時に爽やかな酸を感じます。余韻にまで味わいの厚みが感じられるスパークリングワインに仕上がったなぁ・・・と感じました。
 ドーナッツ状に揚げられたトートマンクンはカリカリです。海老の焦げた、心地良い香りが立ち昇ります。トートマンクンをひと齧りすると、熱々です。サントリーフロムファーム 津軽 シャルドネ&ピノ・ノワール スパークリング グリーンエティケットと合わそうと、鼻を近づけただけで香ばしい香りが強まるのが判ります。
「瓶内二次発酵後の熟成で生まれた酵母が分解した香りと、海老の香りとが、直ぐにマリアージュしているのが判ります」
「海老の揚げられた香りとグリーンエティケットとが滅茶苦茶合っていてビックリです」
「プラムソースの豊かな梅の香りと、良く調和していますよね」
「このグリーンエティケットの品種構成は1/3以上ピノ・ノワールが入っています。グリーンエティケットは、白いスパークリングワインではありますが、赤ワインの要素を隠し持っていますから赤いプラムと合うんですね」
「いつも都先生のタイ料理をワインとのマリアージュ実験で試食して思うのですが、都先生のレシピは、ワインとの親和性の高い料理が多いです。世の中に多くいらっしゃる『タイ料理にはビール』という固定概念から離れる事が出来ないお客様にも是非、タイ料理はワインとの相性が良いんだ、と言う事を知って欲しいですね」
「タイはワインの関税が物凄く高かった時代が長く、2024年2月23日以前は54〜60%もの税金が課せられていました。さらにワイン輸入独占制度(Sole Agent)があり、1社が独占する事が法律で義務付けられていました。なので自由競争が無く、タイで流通しているワインの価格は日本の何倍もしたのです。他の物価が安い国ですから、ワインを飲む人は一部の富裕層に限られていたのです。そのSole Agentが2月3日に廃止される決定がされました。既に高品質でリーズナブルなワインマリアージュコースを提案してくれるレストランも出て来始めました。これから急速に『タイ料理にはワイン』という流れに変わるかもしれません」
 皆様も、美味しそうな海老を見掛けられましたら、是非、このトートマンクンの事を思い出してください。そしてサントリーフロムファーム 津軽 シャルドネ&ピノ・ノワール スパークリング グリーンエティケットとの素敵なマリアージュをお楽しみください。

2位に選ばれたのは、サントリーフロムファーム 塩尻 メルロでした。このワインはサントリーの長野県塩尻市にあるサントリー信州塩尻ワイナリーの看板品種であるメルロのワインで、ワイナリー名を背負うワインです。今年の9月1日に今までサントリー塩尻ワイナリーと呼んでいたのを名称変更して、サントリー信州塩尻ワイナリーに生まれ変わりました。塩尻ワイナリーが開設されたのは1936年の事です。長野県のワインづくりの歴史は長く、日本最初のワイン醸造免許の申請は、長野県です。1872年に百瀬二郎が、その頃の松本県を通して山ぶどうによるワイン造りの免許の許可を大蔵省に願い出ました。これが日本初のワイン醸造免許です。1925年頃に現在の塩尻市の桔梗ヶ原地区には100haを超えるぶどう畑があったと記録されています。1936年の気象データを気象庁の過去のデータファイルから見てみると、松本観測所の3月頭で‐14.6℃の記録があります。当時の塩尻松本エリアは、今よりもずっと寒く、耐寒性に秀でたアメリカ系のナイアガラやコンコードでも‐10.0℃を下回ると凍害の怖れがあったため、冬を迎える前にぶどうの幹に藁を巻き付け、凍害防止をする必要があったそうです。1936年にサントリーが塩尻にワイナリーを開設したのは、赤玉ポートワイン(現赤玉スイートワイン)の原料基地としてです。甘くて飲みやすい赤玉は1907年の発売以来爆発的に売れました。その原料となるワインを国内で調達するために塩尻ワイナリーは建設されました。第二次世界大戦後も赤玉は、順調に売れ続け、売り上げを伸ばしました。最初の頃には本格的な辛口ワインに馴染めなかった日本人でしたが、1964年の東京オリンピックや1970年の大阪万博を経て、徐々に食生活も欧風化し、本格的な辛口ワインの消費量も増えていきました。塩尻でも、メルロを1970年代の後半から栽培するようになりました。今回、イチオシから3位に選ばれたワインは、総て日本ワインで、3本とも同じ2023年ヴィンテージです。イチオシの津軽スパークリングでは、暑すぎた2023年は酸の乗りが少し足りない、という悪影響の形になりましたが、塩尻においては、2023年の猛暑と降水量の少なさは、凝縮感を高めるメリットの方に働いたのです。グラスに注ぐと、濃いめのルビー色です。ダークチェリーコンポートやブルーベリージャムなどの火の入った果実を連想させる、良く熟した香りに、スミレの花、クローブ、バニラなどの甘やかなアクセントがあります。優しく滑らかなアタックで、暑かった2023年ヴィテージらしさがきちんとでています。豊かながら緻密さのある果実感と、穏やかな酸味、熟したタンニンが魅力の、良い年らしい魅力のある味わいです。トートマンクンを口に運び、塩尻 メルロを飲むとトートマンクンの海老の旨味に、豚肉のコクで力を与えられた味わいと、丁度良くバランスしています。ちょっと強めに振られた胡椒と塩尻 メルロのスパイシーさとも共鳴しています。豚肉は海老の四分の一しか使われていないのですが、この塩尻 メルロとの相性では豚肉の存在感を強く感じました。20年近く「タイ料理とワインとのマリアージュの素晴らしさ」を追求し続け、勘所を熟知している鈴木都ワールドだなぁ・・・・と、しみじみ思ったマリアージュ実験でした。

2nd

サントリーフロムファーム 塩尻 メルロ 

サントリーフロムファーム 塩尻 メルロ

日本
ぶどう品種 メルロ

3位に選ばれたのは、サントリーフロムファーム 塩尻 マスカット・ベーリーAでした。マスカット・ベーリーAは、日本ワイン好きの方はご存知の川上善兵衛が育種した、日本ワインの赤で最も多く使われる品種です。塩尻・松本エリアへの導入は、メルロよりもずっと早い時期だったと思われます。サントリーが塩尻にワイナリーを開設する事が出来たのは、五一ワインの創業者である林五一氏のご尽力のお陰です。林五一氏が桔梗ヶ原購買販売組合長をされていた1920年代の世界恐慌前後に、桔梗ヶ原で多く栽培されていたコンコードが販売不振に陥りました。林五一氏は、その買い手を探していました。1920年代に林氏は当時の寿屋にアプローチしたのですが、そのタイミングでは上手くいきませんでした。この縁談は5年の歳月を掛けて成就するのですが、そのあたりの経緯を林五一氏が96歳だった1986年にサントリーの社内報に寄稿してくださっています。この寄稿文によると「仲を取り持ってくれたのは我々の先生であった川上善兵衛である」と記されています。林五一氏が善兵衛を先生と呼ぶと言う事は、善兵衛にぶどう栽培や適切な品種選びの指導を受けていたと考えらます。と言う事は1935年頃には善兵衛の代表的な品種であるマスカット・ベーリーAは塩尻に導入されていたと考えるのが自然な流れの気がします。現在、マスカット・ベーリーAの都道府県別の栽培比率では山梨県が圧倒的な1位、次いで2位が山形県、3位が長野県ですが、温暖化が進行している現在では冷涼な山形県や長野県のマスカット・ベーリーAの方の品質が高い、と言う声も多く聞かれます。
 塩尻 マスカット・ベーリーAをグラスに注ぐと、色は中庸の濃さのルビー色です。いちごやいちごジャムのイメージもありますが、いちご以外の赤いベリーの香りの印象を強く感じます。ほのかに根菜系のアーシー(Earthy)なアクセントがあります。そして樽由来の甘い香りが広がりを与えています。落着きのあるしっとりとした果実味と、滑らかな酸味、丁寧な抽出を感じる肌理細かいタンニンです。味わいの厚みもありながら、フードフレンドリーな軽やかさもある赤ワインです。トートマンクンと合わせると、いつものマスカット・ベーリーAよりも、一段レベルの高い凝縮感を感じました。飲み込んだ後に戻ってくる香りが、海老の香ばしさと溶け合っていました。トートマンクンの海老の美味しさが見事に強調される、とても素敵なマリアージュでした。

3rd

サントリーフロムファーム 塩尻 マスカット・ベーリーA 

サントリーフロムファーム 塩尻 マスカット・ベーリーA

日本
ぶどう品種 マスカット・ベーリーA

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