この料理に合うワイン

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1st

サントリーフロムファーム 信州富士見町産 甲州 ブリュット 

サントリーフロムファーム 信州富士見町産 甲州 ブリュット

日本
ぶどう品種 甲州

今回のレシピはヤム カオポー 生トウロモロコシのタイサラダです。2026年の梅雨は、久しぶりに「梅雨寒」という言葉を思い出させてくれた、気温の上がらない梅雨でした。ところが梅雨明けと同時に、いきなりタイの一番暑い時期のような猛暑になりました。こんな暑さが続く日は、やはり暑さを乗り切る知恵の詰まったタイ料理が恋しくなります。今回のレシピを提案してくれたタイ料理の大家である鈴木都先生によると、タイでは、トウモロコシは公園の屋台での定番おやつだそうです。大きな蒸し器にぎっしり詰めて売っていて、注文が入ると、塩水をさっとかけて、手渡してくれるそうです。料理だけではなく、お菓子にもよく使われます。冷たく甘いココナッツミルクにタピオカなどと一緒に入っていたり、屋台のパンケーキ風おやつの生地にも練り込まれていたりします。タイのマクドナルドでは、アップルパイと並んで甘いクリームコーンパイは定番だそうです。トウモロコシは、被子植物単子葉類イネ科のトウモロコシ属の一年生植物です。漢字では玉蜀黍と表記します。トウモロコシの起源については諸説あったのですが、遺伝子解析から、メキシコからグアテマラにかけての地域に自生しているテオシントが自然交配や人為的に交配されてトウモロコシになった説が有力になっています。南メキシコでは、なんと9000年前から作物として育てられています。そのメキシコ高地でいくつかの種に進化したのちにアメリカ大陸全域へと広がりました。マヤ文明やアステカ文明でも、トウモロコシを栽培することで食料を確保する事が出来ていたと考えられています。インカ帝国では巨大な段々畑でトウモロコシの大量栽培を行った痕跡が見つかっていますし、収穫されたトウモロコシから儀式や祭礼用の酒であるチチャを作っていました。チチャは最初の頃はトウモロコシを噛んで醸す口嚙み酒でした。ヨーロッパで栽培されるようになったのは、1492年にコロンブスが新大陸に到達し、持ち帰ってからです。大航海時代が始まり、トウモロコシはアフリカやアジアにも伝えられました。たべもの語源辞典の清水桂一に拠ると「日本には天正7年(1579年)にポルトガル人が長崎に伝えたのが最初である」との事です。トウモロコシには別名が沢山あって、とてもややこしいです。その理由はトウモロコシが日本に伝わる前にタカキビ(高黍)とキビ(黍)が日本にあったからです。タカキビは中国北部ではコーリャン(高粱)と呼ばれる穀物で、英語ではソルガム(sorghum)です。イネ科でタカキビ属という属を独立して持っています。日本では室町時代に既に栽培され始めていました。現代の日本人にとっては余り馴染みのない穀類ですが、FAOの統計によると穀物としての生産量ではコムギ、米、トウモロコシ、オオムギ(大麦)に次いで世界第5位です。タカキビは高温と干ばつに極めて強くトウモロコシが日本に入ってくるまでは重要な作物でした。タカキビはトウキビ(唐黍)やモロコシキビ(唐黍)とも呼ばれていました。この2つの別名を良く見ておいてくださいね。トウモロコシも漢字の唐の読みです。さてキビ(黍)です。キビは東アジアから中央アジアにかけての大陸性気候の温帯地域が原産地と考えられています。イネ科でキビ属という属を独立して持っています。日本にはかなり古く渡来したようで万葉集にも登場します。日本に到達してきた順番を考えるとタカキビがやってきたときに、キビに良く似ていて、キビ(草丈1mから2m)よりも大きな(草丈2mから3m)タカキビに高黍の名前が与えられたと考えられます。トウモロコシがやってきた時に、「大きな丸い実が整然と並ぶ高黍に似た黍だ」という事で玉黍(タマキビ)の名前が与えられました。日本では、新しく登場した食物に「唐」の名前を付ける習慣があります。唐茄子や唐辛子がその代表的な例です。トウモロコシは、タカキビのニューフェイスですから、トウモロコシキビの名前を与えようとしたのですが、高黍の所で念を押したように、漢字が唐唐黍となってしまいます。そこで後ろの唐黍を蜀黍にして、表記を唐蜀黍に変えようとしたのですが、唐も蜀も中国の国名なので、国名を2つ重ねるのも居心地が悪いです。しょうがなくて唐を玉に変更し玉蜀黍の表記に落ち着いたという訳です。乾燥して稲作が出来ないような土地でも、すくすく育つトウモロコシは急速に各地に広がりましたが、名前が固定する前に全国各地に広がったために、いろんな呼び名が付けられました。日本大方言辞典のトウモロコシの項には200以上の名前が掲載されているそうです。今回はそのトウモロコシを生でタイサラダにします。1579年にポルトガル人が長崎に伝えたトウモロコシは硬粒種で、普通に焼いたのでは、硬くて食べる事が出来ません。食べる時には摺り下ろしてお粥にしていました。竹下大学の「野菜と果物 すごい品種図鑑」によると普通に焼いて食べられるトウモロコシは北海道開拓使がアメリカから導入する明治の最初の頃まで待たなくてはなりませんでした。この品種ですら完熟するとかなり硬くなるので未熟な時に収穫して焼いて食べました。明治末期には大通り公園に「焼きとうきび」の屋台が出て人気になりました。でもその頃は未熟果を収穫して焼いていましたから、収穫してから糖度がどんどんと落ちます。なので、長らく、焼きトウモロコシは北海道で、畑の前の売店で、獲れ立てを焼いて食べるのが一番美味しいと言われていました。革命を起こしたのは坂田種苗で、1971年に「ハニーバンタム」の種子を発売しました。ハニーバンタムは消費地まで輸送しても糖度が余り落ちないのです。ここから消費者が自分で茹でたり、蒸かしたりしてトウモロコシを食べる事が一般的になりました。本格的に生食出来る品種としては1997年発売の「味来390」辺りからです。毎年毎年品種改良が重ねられ、色々な生食品種が販売されるようになっています。イエロー系では「味来390」や「ゴールドラッシュ®」、白い色が特徴的なシルバー系では「ピュアホワイトSP」「雪の妖精」「ロイシーコーン®」など、黄色と白の二色のバイカラー系では「ゆめのコーン」「甘々娘」などがあります。今回のタイサラダで、使ったトウモロコシは、バイカラー系の甘々娘です。一緒に使う副素材は紫玉ねぎ、いんげん、プチトマト、パクチーとピーナッツです。味付けはナンプラー、タイ式XO醤であるナンプリックパオとライムの搾り汁、砂糖と粉唐辛子、あとは、こぶみかんの葉があれば、軸をとって細かい千切りにしていれます。
さて、このヤム カオポー 生トウロモロコシのタイサラダにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはサントリーフロムファーム 信州富士見町産 甲州 ブリュットでした。長野県富士見町は八ヶ岳南麓の標高約900mの丘にあります。富士見駅はJR在来線特急停車駅としては日本で一番標高が高い駅として鉄道愛好家の方々には知られている駅です。サントリーはこの標高が高く、冷涼な土地のポテンシャルを理解する為に、地元行政ともタッグを組み幅広い品種の可能性を探りました。試験栽培期間が終了するころに、栽培家の鈴木 慎太郎 氏と方向性を議論し、富士見を甲州、それもスパークリングワインを見据えた栽培に一本化する事で合意しました。富士見の圃場は、標高が高く、冷涼で昼夜の寒暖差が大きいのです。特に夏以降の成熟期の気温がぐっと下がって、昼夜の寒暖差が特に大きくなるのです。ぶどうは昼間に日光を浴びて糖を蓄えます。夜の気温が高いと酸を代謝してしまって酸度が下がるのです。富士見の圃場の夜温は下がりますので収穫期までぶどうの酸が保持されてパキっとしたシャープな酸味が保てるのです。また、ゆっくりと成熟を待つことによって、アロマが蓄積され華やかな香りのワインとなりうるのです。マリアージュ実験に使ったのは2023年ヴィンテージです。グラスに注ぐと極めて淡いレモンイエローです。泡の肌理も細かいです。柑橘、爽やかなレモンやライムやカボスと、熟した柑橘の両方のニュアンスが感じられます。洋梨や和梨などの印象もあります。口に含むと自然な甘みが感じられ、暑かった2023年でもなお冷涼感のある酸味が維持出来ていて、軽やかにバランスしています。中盤の旨みの盛り上がりがあって、心地良い余韻に繋がっています。非常に冷涼な富士見ならではの特別な甲州スパークリングワインだと思いました。
ヤム カオポー 生トウロモロコシのタイサラダと合わせると、ワインの冷涼感のある柑橘を思わせる香りと生のトウモロコシの緑のニュアンスとが素敵に共鳴しています。
「暑かった2023年でもキレのある酸味なのは富士見ならではですね」
「その、シャープな酸味とライムの搾り汁ともピタリとマッチしています」
「こぶみかんの香りと、富士見のスパークリングワインの柑橘系のニュアンスが共鳴していますね」
「夏に真価を発揮するスパークリングワインですよね」 「冷たく冷えて、甘みのあるトウモロコシのタイサラダとキンキンの富士見スパークリングワインのキレのある酸味とは、酷暑を乗り切る、楽しいマリアージュです」
「今回のタレは、ナンプラーのアミノ酸、ライムのビタミンC、唐辛子のカプサイシンの三重奏で、暑い日に最強のタレです。シンプルに、トマトとさらし玉ねぎに和えても。焼き茄子でも美味しいですよ」
これからスーパーの店頭でも「生食にお薦め!!」のトウモロコシが並ぶと思います。是非ヤム カオポー 生トウロモロコシのタイサラダの事を思い出してください。そしてサントリーフロムファーム 信州富士見町産 甲州 ブリュットとの素晴らしいマリアージュをお楽しみくださいませ。信州富士見町産 甲州 ブリュット2022は先日発表されたばかりのデキャンター・ワールド・ワイン・アワード(DWWA) 2026で金賞を頂きました。DWWAとは、1975年に創刊されたイギリスのワイン専門誌「デキャンター(Decanter)」が主催する世界的に最も影響力があるワインコンペティションの1つです。富士見町産 甲州 ブリュット2022は今回マリアージュ実験に使った2023のひとつ前のヴィンテージで、富士見町産 甲州 ブリュットのファーストヴィンテージでもあります。

2位に選ばれたのは、サントリーフロムファーム 津軽 ピノ・ノワール&シャルドネ スパークリング ロゼ ブロッサムエティケットでした。津軽では1980年代から冷涼な気候を生かしてソーヴィニヨン・ブランやシャルドネ、ピノ・ノワールといった欧州系品種を契約農家さんに栽培していただいております。スパークリングワインに挑戦を始めたのは2017年ヴィンテージからです。果実の香り高さと酸味の豊かさの両立にこだわりぶどうを収穫し瓶内二次醗酵を経て、品質を見極めながら24ヶ月~36ヶ月間熟成させます。マリアージュ実験では2023年ヴィンテージを使用しました。2023年はこれまでになく暑い夏を経験したヴィンテージでした。ぶどうの成熟も例年より1~2週間早く進みました。例年よりも、低めの酸で推移するなか、ぶどうの糖度と酸度のバランスが取れる最適タイミングを探りました。シャルドネを昨年よりも11日早い9/5-16日で摘み、ピノ・ノワールを9/13-23日に収穫しました。仕込みではシャンパーニュ式プレス機を使用し、クリアで雑味のない果汁を得ることができました。酸が低めである事で、飲み心地の良い、親しみのあるスパークリングワインにはなったのですが、長熟させるより、ぴちぴちした果実感が豊かなタイミングである、熟成24カ月でリリースする事にしました。グラスに注ぐと細かな泡が立ち昇ります。やや赤みを帯びたサーモンピンクの色調で、クリーミーで持続する泡が見て取れます。完熟したラズベリーやアセロラのような淡い赤系フルーツの爽やかで甘やかな印象の香りがあります。口に含むとジューシーな果実味としっかりとした酸のバランスが取れているスパークリングワインです。ヤム カオポー 生トウロモロコシのタイサラダと合わせると、トウモロコシの風味が口中に広がりました。香ばしく炒めたピーナッツのナッティな風味と瓶内二次発酵由来のトースティなタッチとが共鳴していました。トマトの風味もロゼと出会う事で明らかに強まっています。ヤム カオポーにもうひとつベリーを追加したかのような華やかなマリアージュでした。

2nd

サントリーフロムファーム 津軽 ピノ・ノワール&シャルドネ スパークリング ロゼ ブロッサムエティケット 

サントリーフロムファーム 津軽 ピノ・ノワール&シャルドネ スパークリング ロゼ ブロッサムエティケット

日本
ぶどう品種 ピノ・ノワール、シャルドネ

3位に選ばれたのは、サントリーフロムファーム 塩尻マスカット・ベーリーAでした。マリアージュ実験に使ったのは2022年ヴィンテージです。メルロで有名な塩尻ですが、サントリーは、日本固有品種マスカット・ベーリーAにも栽培・醸造の両面で力を入れて取り組んでいます。2022年は、7月中旬以降は曇天・降雨が続きました。9月に入っても最低気温が高く、また10月上旬は曇天が多く、ぶどうにとっては難しい天候でした。赤玉出荷組合の協力者さんと塩尻ワイナリーとでぶどうの成熟を待ち、出来る限り完熟を待つため遅摘みをする事に決めました。優しく丁寧に醸造し、樽で1年以上熟成させました。グラスに注ぐと、少し明るさのあるラズベリーレッドです。品種特有の香りである、いちごやいちごジャムを連想させる甘い香りと、赤いベリーのニュアンスが豊かにあります。ほのかに根菜系のアーシー(Earthy)なアクセントもあります。樽由来の甘い香りもワインに広がりを与えていました。落着きのあるしっとりとした果実味と、滑らかな酸味、タンニンの肌理が細かくシルキーです。ヤム カオポー 生トウロモロコシのタイサラダと合わせると、トウモロコシの穀類でありながら、野菜的なニュアンスを持つ香りとマスカット・ベーリーAの複雑な香り立ちとが良くマッチしていました。甘々娘のぎゅっと濃縮された甘みと、マスカット・ベーリーAの甘い香りとも上手く調和していました。ナンプラーのコクや、唐辛子の辛さだけではないスパイシーさとマスカット・ベーリーAとが奥深い所で、手を握り合っているような、素敵なマリアージュでした。

3rd

サントリーフロムファーム 塩尻マスカット・ベーリーA 

サントリーフロムファーム 塩尻マスカット・ベーリーA

日本
ぶどう品種 マスカット・ベーリーA

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