今回のレシピはコロネーションチキンです。コロネーションチキンは、イギリス料理のひとつで。英語ではCoronation chickenです。Coronationは戴冠式の事で、1953年に行われたエリザベス2世の戴冠式の昼食会のために考案された様々な料理の一つがコロネーションチキンなのです。この時に実際に配布されたお品書きは、当然保存されており、フランス語でPoulet Reine Élizabethと表記されています。考案したのは二人の女性です。コンスタンス・スプライとローズマリー・ヒュームです。二人は友人でした。コンスタンス・スプライはイギリスのフードライターでフラワーアレンジメントの大家でした。コンスタンス・スプライとローズマリー・ヒュームは1946年にバークシャー州ウィンクフィールドのクランボーンのウィンクフィールド・プレイスに家政科の学校を開校しました。エリザベス2世の戴冠式の差配を任されたのは当時労働大臣のデイヴィッド・エクルズ卿でした。戴冠式はウェストミンスター寺院で執り行われ、戴冠式の後、ウェストミンスター寺院からバッキンガム宮殿まで祝賀パレードが行われる予定だったのですが、デイヴィッド・エクルズ卿はコンスタンス・スプライにパレードのルートの花飾りを依頼しました。花はコモンウェルス諸国から贈り物として大量に提供の申し出が有ったのです。デイヴィッド・エクルズ卿は祝賀の食事会のメニューでも頭を悩ませていました。戴冠式のあった1953年は第二次世界大戦から8年しか経過しておらず、豪華な食材は使えず、予算もそんなに沢山は無かったのです。コンスタンス・スプライに相談したところ「任せといて!適任者が居るわ」とローズマリー・ヒュームを紹介されました。ローズマリー・ヒュームはウィンクフィールドのル・コルドン・ブルーの校長になっていました。そしてローズマリー・ヒュームとコンスタンス・スプライが練り上げたのがコロネーションチキンで、試食会でエリザベス王女も大層気に入ったそうです。昼食会ではル・コルドン・ブルーの学生たちによってケータリングされました。コロネーションチキンの原型はクリームソースのカレー味だったようですが、現在ではマヨネーズが使われます。今回、鶏肉は胸肉を使いました。白ワインを振ってレンジで蒸し鶏を作ります。ソースはマヨネーズとレモン汁、レモンの皮すりおろしとカレー粉と塩で味を整えたら出来上がりです。仕上げに宝石に見立ててレーズンとドライアプリコットを飾りましょう。
さて、このコロネーションチキンにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインは赤玉 プレミアム ブレンデッドワインでした。サントリーは、1899年に鳥井信治郎が大阪市西区に鳥井商店を開業したのが始まりです。最初はスペインから樽で輸入したワインを、本格的な辛口ワインとして販売しようとしましたが、渋くて辛口の本格的なスティルワインは、当時の日本人には、全く馴染めませんでした。それから悪戦苦闘を重ねて1907年に甘味果実酒である「赤玉ポートワイン」にたどり着きました。そのあたりの鳥井信治郎の奮闘は伊集院静先生の「琥珀の夢」に詳しく描かれていますので、是非ともご一読ください。赤玉ポートワインは爆発的に売れました。販売量がピークに達した1964年には168万c/sという巨大な箱数が販売されました。鳥井信治郎は赤玉で得た莫大な利益で山崎蒸溜所を1923年に開設しました。ウイスキーは熟成に時間がかかります。地元の方々は、毎日のように大量の麦が運び込まれるのに、いっこうに製品が出てこないのを見て「あそこにはウスケボーという怪物が居て、麦を食べているらしい」と噂していたそうです。鳥井信治郎のものづくりの精神は、赤玉でも山崎蒸溜所でのウイスキーでも一貫しています。決してお手本である輸入品をなぞるだけではありません。日本人の嗜好に合わせ、日本人の生活に馴染む、日本ならではの新しい酒の愉しみを提供し続ける"ブランド"になる事を目指しているのです。それは、赤玉 プレミアム ブレンデッドワインの開発に於いても同じ精神なのです。サントリーでは、様々な切り口で、お客様のお酒に対する向き合い方を分析したり、嗜好の変化を調査しています。「ワインが好きだ」と仰ってくださるお客様の声を詳しく見てみると、大きく2つのグループに分かれる事が判っています。一つ目は「ご自身でワインの事を深く知りたい方」のグループです。ワインを選ぶ時も主体的に、国であったり、産地、品種や味わいの方向性に興味があって、自分好みの美味しいワインを探したい人たちです。このグループは、ワイン好きのお客様全体の中の人数比率はそれほど高くないのですが、飲む量は多いし、ワインに使う金額も多い傾向があります。もう一つのグループは、ワインを飲むのは好きなのですが、そのワインが、今食べている食事と美味しければ幸せで、そのワインの事を深く知りたいとか、どんな品種なのか?とか醸造方法とかには、あまり興味が無い方々です。このグループは、ワイン好きのお客様の中での人数としては、かなり多いです。例えば、ステーキを焼いた時に飲んだ動物マークのワインが美味しかった記憶があって、すき焼きの夜に、動物マークを頼りに合わせたら「何か違うなぁ・・・・」になったりする方々です。そうですよね。ワインは難しいですよね。だって、世の中にお酒の種類は沢山ありますが、お客様がその夜に食べる食事に合う飲み物を提案するだけで職業が成立するのはワインだけであり、その職業こそがソムリエなのです。それくらいややこしいのが、ワインや食とのマリアージュの世界なのです。なのでスーパーのワイン売り場で「ワイン選び迷子」になって「千円ちょっと出しておけば、大丈夫でしょう・・・・」と買って外してしまうお悩みをもっているお客様が世の中には沢山いらっしゃるのです。そういった迷える子羊達にぴったりとフィットするワインは出来ないだろうか?とブランドグループが知恵を絞って発案したのが赤玉 プレミアム ブレンデッドワインです。コンセプトは決まったのですが、どのような味わい設計にするのかが難問でした。そこで開発チームはお客様の食卓という原点に立ち返りました。改めてサントリーで大規模に調査を行い、酒と料理が写っている食卓の写真約3万件を精査すると、日本の食卓料理は、本当に多種多様である事が判りました。従来タイプの本格的辛口ワインが得意な洋食は、その一部でしかなく、半分近くが和食や和のお惣菜で、中華料理がそれに続く事が判りました。和食や和のお惣菜は味醂やお砂糖を使い、ほんのりとした甘みを持つのが特徴です。一方フランス料理の厨房で、砂糖があるのはパティシエの所だけです。フランス料理で、食事本体に、甘みがどうしても必要な場合は果物や甘口ワインから甘みを得るのです。そういう味わいの構造なのでフランスの料理に合わせて発達・発展してきたフランスワインは基本的に辛口なのです。開発チームの生産開発者達は試作を繰り返し、チームも実際に食事にあわせて、どういう味わい変化が起こるのか確認を続けました。かく言う私も、開発の最初の段階から検証に参加しています。何度も何度も試作と検証をやり続けてついに完成したのが赤玉 プレミアム ブレンデッドワインです。赤玉スイートワインから発展し、広がってきた多様な原料酒とブレンド技術を集結してサントリーにしかつくれない味わいを実現しました。本当に様々の原料酒を使っています。長野県塩尻にある赤玉出荷組合の栽培農家さんが育ててくださったぶどうを使ったワイン、シェリー様のワイン、複数種類のサントリー製のワイン 、輸入原酒、ブランデー、和ボタニカルスピリッツ、ハーブスピリッツ、スパイススピリッツなどなどです。グラスに注ぐと、あまり濃い色では無く、明るく透明感のあるラスベリーレッドです。グラスからは複雑かつ新鮮で華やかな香りが立ち昇ってきます。口に含むとミディアムボディで心地良いワインです。甘さ・渋さに頼らない複雑味のあるワインです。骨格・バランスの良さ、中盤のふくらみと広がりが、フィニッシュのきれいな余韻へとつながり、しみじみと美味しかったです。
コロネーションチキンと合わせると、赤玉 プレミアムとソースのカレー風味とがマッチしています。
「こりゃ、旨いですね!」
「カレー粉の複雑なスパイシーさと赤玉 プレミアムの様々な原酒の要素とが、あちらこちらでマッチして点々とお花が咲いたような感じがします」
「レーズンやドライアプリコットが、干されていますから、しっかり甘酸っぱいです。なので辛口の白ワインは、若干、違和感があります。赤ワインでも軽いタイプは、かき消されてしまいますよね」
「赤玉 プレミアムは、レーズンと良く合いますよ」
「当たり前ですが、ドライアプリコットとも、とても美味しいです」
「イギリスに行くとサンドイッチ屋さんには、必ずこのコロネーションチキンのサンドがあります」
「ドライフルーツを水で戻さずに作りますから、作ってから時間の経過とともに馴染んで味わいが変わります。それも楽しいのです」
物価高が進行している最近では、鶏の胸肉は家計に優しい頼もしい食材です。作りたてでほのかに暖かくても、とても美味しいですし、冷蔵庫で冷やしても美味しいです。どん!と盛ってメイン料理でも行けますし、常備菜で作り置きして、「なにかもう一品ほしいなぁ・・・」の時の小鉢としても活躍します。勿論、パンに挟んでサンドイッチの具材としてもとても美味しいです。ワインとの相性もとても良いですから「我が家のご馳走常備菜」として作ってみてください。そして赤玉 プレミアム ブレンデッドワインとの素晴らしいマリアージュをお楽しみ下さい。



