この料理に合うワイン

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1st

ロス ヴァスコス ロゼ 

ロス ヴァスコス ロゼ

チリ
ぶどう品種 グルナッシュ、ムールヴェードル、シラー

今回のレシピは、生ハムと枝豆の冷製パスタです。生ハムはハムの一種です。ハムは英語でhamですが、元々、腿を指す言葉でした。語源は古い時代の英語のhammではないか?と言われています。Hammは、膝の後ろ側を指す言葉で、転じて腿を指す言葉になったようです。Hammは古代インドヨーロッパ語族のknam=脛骨に源を持っていて、ラテン語のcūmā=脛骨を経由して古代フランス語のjambe=脚となり、接尾辞「-on」がくっついてフランス語ではジャンボン=Jambonになりました。それがスペインに伝わりハモン=Jamonになりました。イタリア語でハムはプロシュート=Prosciutto です。プロシュートの語源はラテン語のprotと exsuctus=水分を抜いて乾かすが合体したものではないか?と言われておりポルトガル語のプッレスント=presuntoも同じ語源からきていると思われます。最初にハムを作ったのがいつ頃でどこでなのか?は諸説あります。「ラルース・ガストロノミケ」はガリア説を採用しています。つまり古代ローマ時代のフランスに相当する辺り、当時のガリア(ピレネー山脈・地中海・アルプス山脈にかけてのエリア)が発祥の地であるとの説です。またイタリアではエトルリア文明説を支持する人が多いです。紀元前6世紀から5世紀にかけてのエトルリア文明遺跡から熟成ハム生産の痕跡であろうと推測される物が、発見された事が根拠です。いずれにしても英語、フランス語、スペイン語どれもハムを表す単語には腿肉の意味が含まれています。日本でハムが作られだしたのも正確にはわかりません。1872年に明治天皇が、お召艦で長崎に来られた時に、長崎で作ったハムを召し上がったという記録があります。そのハムが豚のどの部位なのかは判りませんが日本でハムが作られだした草分けの時代からヨーロッパと違ってロースや肩肉でもハムが作られていたようです。ちなみに丸いロースハムは日本発祥と言われているそうです。そして現代ではJAS規格の5つの部位による分類の中でロースハムが占める割合は79%(令和7年)で、ハムの原点であるはずの腿肉ハムは僅か7%しかありません。一方ヨーロッパ、特にスペインやイタリアでは加熱ハムよりも圧倒的に生ハムが多かったです。その生ハムは基本的に豚の後脚を1本まるのままで塩蔵し乾燥させながら熟成させます。高級品はスペインではハモン イベリコ デ ベジョータ、イタリアではプロシュート ディ パルマです。日本でも本格的なイタリア料理のレストランが増え、またスペインバルも多数出来たので、日本のお客様も生ハムの美味しさを知りました。スーパーの店頭にもハモン イベリコをスライスした物も販売されていますが、割と高価です。「あら、高いわねぇ」と棚を見回すとスライスしたスモークサーモンのような生ハムが売られています。しかも格安!これがJAS規格の5つの分類の中でラックスハムに分類される生ハムです。豚の後脚を1本まるのままで塩蔵し乾燥させながら熟成させた生ハムとはかなり異なる風味です。ラックスハムは、もともとはドイツで作られていた生ハムの事です。ラックス=Lachsはドイツ語で鮭を表す言葉で、断面が、三枚に卸した鮭の断面にそっくりなのでラックスハムという名前が付けられました。日本のJAS規格のハムでラックスハムは令和7年には11%を占めるまでに増えています。一方、骨付きの腿肉のハムは全体の0.1%しかありません。これは日本ハム・ソーセージ工業協同組合に加盟されている生産者の実績を集計したものなので、最近各地で増えている、小規模かつ手作りで生ハムを作っている方々の生産量は反映されていないものだと思われます。さて枝豆です。枝豆については、 2025年07月下旬掲載の「枝豆とフェタチーズのサラダ」の時に詳しく書きましたので詳しくお知りになりたい方は「枝豆とフェタチーズのサラダ」の記事をご参照ください。農林水産省によると、枝豆の2023年の収穫量は6.1万トンです。枝豆専用の品種の分類は、種皮や鞘のうぶ毛の色の違いで分けるのですが、基本的に3種類です。「白毛豆(青豆)」「茶豆」「黒豆」です。白毛豆(青豆)は沖縄を除く日本中で栽培されていますが、メインは関東で、鞘が濃い緑色の枝豆です。東京近郊のスーパーや八百屋さんで普通に「枝豆」とだけ書いて売られているもののかなりの部分が、この白毛豆(青豆)です。癖が無くて万人受けする味わいです。多く育てられている品種はサッポロミドリや奥原早生などがあります。茶豆は、だだちゃ豆を代表格として東北地方を中心に栽培されています。茶豆の鞘は一見すると緑色で白毛豆(青豆)と見分けが付かない時もありますが、鞘の中の豆が茶色の薄皮を被っていることから茶豆と呼ばれます。白毛豆より甘味が強く独特の風味があります。茹でたては、トウモロコシを茹でた時や濡れた犬に似た心惹かれる良い香りがします。竹下大学の「野菜と果物 すごい品種図鑑」によると、だだちゃ豆は山形県庄内地方を中心に栽培されていて、江戸時代に越後から庄内に伝わった枝豆用の大豆を系統選抜し、明治初期に小真木となったそうです。だだちゃとは庄内の方言で「家長」の事を指すそうです。茶豆はスーパーで、品種を名乗って売られている事が多いです。だだちゃ豆は小真木、白山、甘露などの8品種が認定されています。茶豆はその他に黒崎茶豆や新潟系14号、茶香りなどの品種を見掛けます。黒豆は関西を中心に栽培されています。お節料理にも使われる黒豆の未熟果で、黒豆の様には真っ黒にはなっておらず灰色です。しみじみとしたコクがあり、甘みも強いのが特徴です。黒豆の枝豆で有名なものは、丹波篠山黒大豆や紫ずきんなどです。黒豆の枝豆は収穫期が遅く、早くても9月の中旬です。枝豆はいろんな品種がありますので旬はまちまちですが5月から出回り始めて6月、7月と流通量が増えていきます。
さて、今回のレシピは生ハムと枝豆の冷製パスタです。6月になるとスーパーの店頭にも枝豆が並んでいます。だだちゃ系の濃厚な香りの枝豆は6月だと、未だあまり見かけませんので、どうしてもだだちゃ系で作りたい方は冷凍をお探しください。
枝豆は茹でて、薄皮を剥いておきます。飾り用を残して、フードプロセッサーなどでペースト状にしておいてください。パスタは冷製にするときは袋に書いてある茹で時間よりも1分程度長めに茹でるのがコツです。茹で上がったパスタを冷水にとって冷ましてからざるにあけ、キッチンペーパーなどでよく水気をふき取ります。ペースト状にした枝豆に白ワイン、オリーブオイルを混ぜ、ちぎった生ハムとパスタに和えて飾りの枝豆を散らしたら完成です。
さて、この生ハムと枝豆の冷製パスタにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはロス ヴァスコス ロゼでした。このロス ヴァスコスは、ドメーヌ バロン ド ロートシルト(以下DBR)が南米チリの銘醸地で手がけたプレミアムワインです。DBRラフィットグループは、ロスチャイルド家(ロートシルトの英語読み)のワイン部門で、ボルドー地方メドック地区の公式格付けグランクリュ第1級の筆頭格付けであるシャトー ラフィットを所有しています。ロスチャイルド家は19世紀中頃までには、金融から始まりヨーロッパの一大財閥として成長しました。時代は進み1988年、当時当主であったエリック ド ロートシルト男爵はワイン事業を世界で展開するために、新世界の優秀な場所を探して世界中を旅しました。「新世界のプレミアムワインのパイオニアになる」、そのために無数のワイナリーを尋ね歩きました。そして1750年創業のビニャ ロス ヴァスコスに出会い、これを取得、経営を開始します。厳選に厳選を重ねた、いわば〈ダイヤモンドの原石〉、それがビニャ ロス ヴァスコスだったのでした。最大の魅力は、プレミアムワインづくりに理想的な微気候=ミクロクリマです。三方を山で囲まれたコルチャグア バレーのカニェテン盆地は太平洋から約40キロメートル離れています。夜の間に吹き込んだ海からの冷涼な風が、日中の強い日射による気温の上昇を緩和し、ポリフェノールの生成をうながします。また、充分な水源があり、霜害のリスクが少ない半乾燥土壌であることなども理想にかなっていたのです。開花して収穫までほとんど雨が降らないと言う理想的な土地であるからこそ、リュットレゾネ(減農薬農法)が実現できています。ロス ヴァスコスのラベルには、ロスチャイルド家の紋章「伝統と上質の5本の矢」が描かれています。これは高い品質の証です。DBRラフィット社が生み出したすべてのワインには5本の矢のロゴが使われているのです。カニェテン山の麓にある山々に囲まれたこのワイナリーの総面積は3,600haに及び、そのうち640haにブドウ畑で植えられており、地域最大級のワイナリーの一つとなっています。ロゼに使われたぶどうはグルナッシュが50%、ムールヴェドルが28%、シラーが22%です。ぶどうは、芳香を最大限に保持するために、気温が低い早朝に収穫されます。ワイナリーでは、選果台での選果の後、ぶどうをダイレクトプレスし、ステンレス製のタンクで、低温で発酵させます。そしてそのままタンクで、低温熟成しています。グラスに注ぐと美しく淡いピンク色です。グラスからは、日本の淡いピンク色のさくらんぼを連想させる香りが立ち昇ります。グレープフルーツのような柑橘系の香りや、繊細なピンク色の薔薇の花の印象もあります。口に含むと辛口で爽やかな酸味と、充実した果実感とのバランスが心地良いロゼワインです。
生ハムと枝豆の冷製パスタと合わせると、生ハムの凝縮された豚肉のコクが光りました。
「生ハムが、一段と美味しくなるマリアージュですね」
「生ハムって結構ワイン選びが難しい食べ物ですよね。スペインバルとかで、すごく生ハムにこだわりがある店がありますよね。ハモン イベリコ デ ベジョータが1本、カウンターにドン!とおいてあって、最高級品の証であるブラックラベルもちゃんと表示してあるような店です。当然お勧めされますから注文して『これに合うワインのお勧めは?』って聞いて出された白ワインが軽かったりすると生ハムの豊潤な旨味にかき消されて、何の味もしなかったりするんですよね」
「そうそう、長期熟成すると旨みがぎゅっと凝縮するので軽いワインでは、全く太刀打ち出来ていない感じになります」
「赤ワインの方が、生ハムには居心地が良かったりするのですが、生ハムは食べ物の一番最初に出てきますから、その後に烏賊のフリットとか魚が出てきたりします。ロゼは使い勝手が良くて有難いですよね」
「ワインだけで飲むと、そんなに強い感じはしないのですが、生ハムと合わせると芯がしっかりしているのが判りますね」
「マリアージュ実験に使った2024年ヴィンテージに使われたぶどうはグルナッシュが50%、ムールヴェドルが28%、シラーが22%なので正にローヌブレンドなので、豚の味わいとマッチするのでしょうね」
これから枝豆が美味しい季節です。美味しそうな枝豆を見つけられた時にこの生ハムと枝豆の冷製パスタの事を思い出してください。そしてロス ヴァスコス ロゼとの素晴らしいマリアージュをお楽しみくださいませ。

2位に選ばれたのは、サントリーフロムファーム 登美の丘 甲州でした。登美の丘ワイナリーは甲府の駅から北西に7kmほど離れた丘にあります。昔はワイナリーの周りには桑畑が沢山あって、丘を登って行くと富士山が、とても美しく見えるので「登って美しい丘」=「登美の丘」と呼ばれました。登美の丘 甲州は、その登美の丘の自社畑の甲州を醸しました。今回の実験に準備したのは2023年ヴィンテージです。2023年は過去9年間で気温が最も高く、降水量が最も少ない年でした。降水量について4-10月で比較すると良年並みでしたが、7-10月だけを比較すると非常に少ない年となりました。7月の最低気温は近年と比較するととても高く、8月もかなり高い傾向でしたので、香り成分などの生成には不利な側面もあったのですが近年稀にみる少雨により、健全で極めて高い熟度のぶどうを獲得する事ができました。グラスに注ぐと色はかなり淡いレモンイエローです。八朔や夏みかんなどの甲州らしい、和の柑橘を連想させる果実の香りと、白桃をイメージさせる甘やかな香りと、ほんのりと炊いたお米のタッチがあります。しっかりとした厚みのある果実感と骨太な酸が良くバランスしている、2023年らしい凝縮感のあるワインです。生ハムと枝豆の冷製パスタと合わせるとだだちゃ豆(マリアージュ実験の時は冷凍のだだちゃ豆を使用)の、濡れた犬を連想させる心惹かれる香りと登美の丘 甲州の大地の力を感じさせるアーシーさとが絶妙にマッチしていました。生ハムの乾燥工程でぎゅっと凝縮した豚の旨みをがっちりと受け止める力が、この2023の登美の丘 甲州にはあるなぁ・・・・と感心させられたマリアージュ実験でした。

2nd

サントリーフロムファーム 登美の丘 甲州 

サントリーフロムファーム 登美の丘 甲州

日本
ぶどう品種 甲州

3位に選ばれたのは、サントリーフロムファーム 信州松本 アロマティック アッサンブラージュ ロゼでした。このワインのぶどうを育ててくださっている川上 鎭一 (かわかみ しんいち)さんは、松本市梓川地区の生まれで、家族と共に春から秋はワイン用ぶどう栽培と冬は生ハムの製造を行っておられます。塩尻ワイナリーの佐藤 圭一郎は川上さんのぶどうを使って川上さんの極上の生ハムとばっちり合うワインを醸そうと試行錯誤を繰り返してきました。川上さんの、ぎゅっと旨みが凝縮した深い味わいの生ハムには、現在流行している、色がとても淡く軽やかなロゼでは駄目だ、と思いました。タヴェルロゼのような、昔ながらのロゼだけをつくる醸造方法にしないと生ハムの力とバランスする事が出来ないのです。佐藤はぶどうを搾る前に、数日間低温浸漬させ、香り成分を引き出す(その過程で色合いも出ている)ように工夫しました。また、低温でゆっくりと醗酵させることで香り高いワインを目指しました。更に香りの多層性を狙ってメルロに白原酒を15.2%ブレンドしました。品種はシャルドネとトレッビアーノ、アルバリーニョです。グラスに注ぐと明らかに最近流行のロゼとは一線を画す濃い色です。さくらんぼの果肉やラズベリーのコンポートなどを連想させる赤い果実の香りにアイリスの花を思わせる紫色のニュアンスがあります。瑞々しさのあるフレッシュな果実味と、クッキリとした酸味、細かさの中に存在感のあるタンニンを感じます。華やかでフレッシュな、飲み口の良い辛口ロゼワインです。生ハムと枝豆の冷製パスタと合わせると、佐藤が生ハムとの相性を念頭に醸造しているだけあって、一段階上の、生ハムとの相性の良さを感じました。川上さんのメルロは冷涼な産地である事もあってほんの僅かに緑のニュアンスがあるのですが、潜在的にあるその緑の要素が枝豆との相性の良さを引き出している気がする、とても素敵なマリアージュでした。

3rd

サントリーフロムファーム 信州松本 アロマティック アッサンブラージュ ロゼ 

サントリーフロムファーム 信州松本 アロマティック アッサンブラージュ ロゼ

日本
ぶどう品種 メルロ、シャルドネ、トレッビアーノ、アルバリーニョ

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