この料理に合うワイン

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1st

サントリーフロムファーム 信州松本 アロマティック アッサンブラージュ ロゼ 

サントリーフロムファーム 信州松本 アロマティック アッサンブラージュ ロゼ

日本
ぶどう品種 メルロ、シャルドネ、トレッビアーノ、アルバリーニョ

今回のレシピは、鰹の生春巻き 胡麻をつけて香ばしくです。タイ料理の大家である鈴木都先生のオリジナル料理です。カツオは漢字では鰹です。これは、古代では、カツオは生では食べずに干して堅くして食べていましたので「かたうお」と呼ばれました。最初の頃は、漢字で堅魚と表記されていましたが、二字が一字の鰹に変化しました。日本の太平洋沿岸に生息するカツオは、黒潮に乗って回遊すると考えられていました。夏に黒潮と親潮とがぶつかる三陸海岸沖辺りまで北上し、秋に親潮の勢力が強くなると南下するイメージです。江戸の頃、初夏の到来を告げる、その年初めてのカツオの水揚げを「初鰹」(はつがつお)と呼び、珍重しました。江戸時代の初物の鰹は、とんでもなく高価だったそうです。初鰹の頃の鰹は、魚体も小さく、未だ脂が乗っていないためにさっぱりとしており、この味を好む人もいます。カツオはスズキ目、サバ科、マグロ族のカツオ属で、カツオ属は1属1種です。鯵釣りの外道で掛かる事のあるソウダガツオやスマガツオは別の属になりますのでちょっと遠い親戚です。カツオの学名はKatsuwonus pelamisで、命名者は東京帝大の岸上鎌吉(きしのうえ かまきち)です。Katsuwonusは、もちろんカツオ由来の名前です。カツオは他のマグロ族と同じで浮き袋が有りません。なので浮力を維持するためには、永遠に泳ぎ続けなければならない魚なのです。日本近海では、日本海側には余り分布していなくて、ほとんどが太平洋サイドに分布する、と言われていました。日本海で獲れるカツオは「迷い鰹」とまで呼ばれていました。それが近年では、秋に山陰で、ある程度の量が漁獲されるようになりました。しかも脂が乗っていて、とても美味しいのです。温暖化の影響なのでしょうかね・・・・異変と言えば昨年(2025年)のカツオの漁獲は歪でした。カツオは水温19℃から23℃くらいの暖かい海水を好みます。昔は、カツオは黒潮に乗って回遊すると思われていました。年が明けて南の海に居たカツオ達は黒潮に乗って沖縄や台湾近海から北上し3月下旬に四国沖や紀伊半島沖に達し、5月くらいには相模湾から東京湾近くまでやってくると考えられていました。有名な山口素堂の句である「目には青葉山郭公(ほととぎす)初松魚(かつお)」の時期は現在の5月から6月にかけての時期だそうです。ちなみに山口素堂の生まれは甲斐国巨摩郡上教来石村(かいのくにこまぐんかみきようらいしむら)と言われており、現在の北杜市白州町にあたります。道の駅はくしゅうには「目には青葉・・・」の立派な句碑があります。そして夏に黒潮と親潮とがぶつかる三陸海岸沖辺りまで北上します。黒潮と親潮とがぶつかる潮目には大量のプランクトンが発生し、そのプランクトンを狙って鰯などの小魚が群れています。鰹達はたらふく小魚を食べて、秋に親潮の勢力が強まると南下を開始します。それが戻り鰹です。栄養素を分析すると初鰹と戻り鰹は脂質の量が全然違います。初鰹が1%から2%の所が、戻り鰹は10%を超える物がたくさんいます。2025年は、初鰹の時期に3kgから4kgの大型の鰹が多数漁獲され、しかも脂の乗りが、戻り鰹級だったのです。しかし本来獲れる筈の、小型で脂が少なくて、さっぱりとした味わいの鰹があまりおらず、夏を過ぎると記録的な不漁となってしまいました。鰹の水揚げ日本一の港は2024年までは、28年連続で気仙沼港だったのです。例年、初鰹の時期は勝浦港の方が、水揚げ高が多く、秋の声を聞くと気仙沼港が逆転するのが通例なのですが、2025年は遂に逆転できずに2位に転落しました。水産庁が民間と共同で行っている標識放流調査の結果、亜熱帯域から日本近海へのカツオの来遊経路は従来言われていた東シナ海黒潮沿い経路の他に、九州・パラオ海嶺経路と伊豆・小笠原列島沿い経路があるらしい、と言う事が判ってきています。今年(2026年)も3月に脂の乗った4kg級が結構獲れて2025年の二の舞かと心配されましたが、その後四国沖で初鰹らしいサイズの魚群がかなり居て、順調に漁獲されています。
今回はその鰹を生春巻きにします。鰹は、やや厚めにスライスしてナンプラーをまぶしておきます。ごまは、軽く香りが出るまで炒っておきますが、これがこの料理を美味しく作るポイントのひとつです。生春巻の皮をぬるま湯で戻して、真ん中あたりに鰹を棒状に横に並べます。鰹に沿うように、大根、きゅうり、パクチー、ミントを並べて、きっちりと巻いたら生春巻きは、一旦出来上がりです。タレはナンプラーとライムの絞り汁と砂糖と粉唐辛子です。生春巻きの外側に炒ったごまを付けて、食べやすいサイズに切ったら完成です。
さて、この鰹の生春巻き 胡麻をつけて香ばしくにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはサントリーフロムファーム 信州松本 アロマティック アッサンブラージュ ロゼでした。この信州松本 アロマティック アッサンブラージュ ロゼのぶどうを育ててくださっている川上 鎭一 (かわかみ しんいち)さんは、松本市梓川地区の生まれで、家族と共に、春から秋はワイン用ぶどう栽培と冬は生ハムの製造を行っておられます。川上さんはぶどう栽培も、生ハム作りも共にゼロからスタートしたチャレンジャーなのですよ。川上さんの畑はJRの松本駅から西南西に10kmくらい行った松本市梓川地区にあります。読者の皆さんは小学校の地理の授業で「河岸段丘」を勉強されたと思います。大雨の時に川が山を削って、平野部に流れ出ると、川が氾濫し氾濫原をつくります。水が引くとそこに扇状地が出来ています。地殻変動で一帯が隆起して高くなると、川の流れが扇状地の一部を削り取り、平らになった部分で新たな扇状地をつくります。その隆起が何度も繰り返されることで河岸段丘は形成されると考えられています。梓川には7段におよぶ見事な河岸段丘が形成されています。梓川の左岸の旧梓川村(現松本市)の一番高いところが上野面で、その下が丸田面、一番下が岩岡面です。右岸に沿う波田町には、高いところが波田面、森口面、上海渡面があり一番下が押出面です。それぞれの段差は10~15mもあり、地殻変動の大きさが判ります。川上さんの畑は左岸サイドの一番高いところにある上野面でも、かなり山に近いところ、つまり水はけが極めて良い所にあります。畑を掘ると赤っぽい火山灰が中心です。上野面は波田ローム層と呼ばれる火山灰が風化した赤土なのです。波田ローム層は今から大体6万年前から3万年位前の新期御岳火山の火山灰層であると考えられています。川上さんの畑の西には北アルプスの山々が見えます。この北アルプスから吹き降ろす冷たい風が夜温の低下を促して、ぶどうの完熟やポリフェノール生成の助けになります。西日が強く、暑い日でも西側に北アルプスがある事は、大変メリットがあります。穂高岳(ほたかだけ)は標高3,190mあるのですが、川上さんの畑から直線で20kmしか離れていません。暑い夏の夕方に西日を遮り、夜温を下げる手助けをしてくれるのです。川上さんの畑は3区画に分かれています。「家」「馬」「山」の3区画です。家はその名前の通り、川上さんのご自宅のすぐ裏にある区画です。最も古く、最も小さな畑で、ゲヴュルツトラミネールとソーヴィニヨン・ブランのアロマティック品種が植わっています。馬は、元々は馬の墓場があった区画です。周囲はりんご畑で、シャルドネが植えられています。山は名前の通り、山寄りの区画です。最も標高が高く、谷の出口に近いため冷涼です。最も広く、山北、山南、山西の3つの区画に分けて管理しています。メルロとピノ・ブランとトレッビアーノとアルバリーニョを育てています。2021年までは、メルロは赤ワインとして醸造し、出来たワインは塩尻メルロにブレンドしていました。2022年ヴィンテージからは、塩尻とは異なる特徴の梓川のテロワールをきちんと「価値としてお客様にお伝えしたい」と川上さんとタッグを組んだのが塩尻ワイナリーの佐藤 圭一郎でした。佐藤は大分県大分市生まれで2021年、サントリーに入社し、塩尻ワイナリーにて醸造・中味設計担当になりました。2022年より梓川シリーズを担当するようになり、二人で議論と試行錯誤を繰り返しました。佐藤が目指そうと考えたのは川上さんが作っている生ハムに、ばっちり合うようなワインです。梓川地区は北アルプスから吹き降ろす風のお陰で、冷涼なので美しい酸があるのが特徴です。しかも香り豊かなのです。佐藤は、川上さんの生ハムとの相性も考えて赤ワインではなく、ロゼワインをつくろう!と決意しました。2022年ヴィンテージのメルロを、豊かな香りを引き出すため、醗酵前にコールドマセレーションを実施しました。醗酵は12℃での低温で、4週間もの長期間に渡って行いました。こうして出来上がった2022年ヴィンテージは、「ワインのみらい」シリーズの梓川 アロマティック ロゼ 2022として発売されました。「ワインのみらい」シリーズはつくり手が「お客様にワクワクしてほしい!そのためには、つくり手自身がワクワクするようなワインをつくろう!」を合言葉に、少ない本数のワインでも商品化して発売し、お客様にお届けするシリーズです。基本的に登美の丘のショップとサントリーの公式ネットショップでのみ販売しています。2022年ヴィンテージは、グレープフルーツやレモンなどの柑橘系のピュアな香りを感じられ、きれいな酸が伸びやかに余韻まで続く、透明感のある味わいのワインとなりました。ロゼでありながら、狙い通り白ワインのような要素をもっていました。翌2023年は「若々しい柑橘を主体としたさまざまな果実の香りに、透明感のある味わいが魅力のロゼワイン」を目指し、通常よりも長く、ゆっくりと醗酵させ、香りを大事にしながら醸造しました。発酵期間は2022年よりも更に長く、最長33日です。2024年は、更なる香りの多層性を狙って、それまでメルロ100%だったものを、白原酒を15.2%ブレンドしました。シャルドネとトレッビアーノとアルバリーニョです。ワインの製品写真をご覧頂くとお分かりの様に、最近流行の淡いロゼよりもずっと色が濃く、鮮やかで美しいロゼカラーです。チェリーの果肉やラズベリーのコンポートやいちごのなどの赤い果実を連想させる香りと柑橘の印象があります。アイリスの花やわずかな白胡椒のタッチもあります。瑞々しさのあるフレッシュな果実味と、クッキリとした酸味、細かさの中に存在感のあるタンニン。華やかでフレッシュ。飲み口の良い辛口ロゼワインです。鰹の生春巻き 胡麻をつけて香ばしくと合わせると、鰹の赤身が持っている鉄っぽさが強調されて、とても美味しかったです。
「この、鰹の鉄のニュアンスは、ロゼというよりも赤ワインの世界ですね」
「波田ローム層は御岳火山の火山灰が風化した赤土なのです。色が赤っぽいのは鉄由来なのです」
「白ぶどう由来なのか、柑橘の香りが爽やかです。これも従来のロゼにはあまり感じない特徴ですね」
「鰹の生春巻きは、断面が美しく、前菜とかで活躍しそうです。美しいロゼと合わせると、気分は間違いなく上がりますね♪」
「秋の、脂の乗った戻り鰹だったら、もう少しタンニンのあるしっかり目の赤ワインの方が美味しいかもしれませんが、初鰹のシーズンはこのワインで、ばっちりですね」
「今日は何種類もロゼがあるから感じたと思うのですが、最近流行のプロヴァンスのロゼのような色の淡いタイプでは、鉄の共鳴が殆ど起こりませんでした。このワインのようなしっかりと赤みのあるロゼこそ、この鰹の生春巻きを活かすと思います」
信州松本 アロマティック アッサンブラージュは2024年ヴィンテージから「ワインのみらい」シリーズを卒業して全国発売に昇格いたしました。
スーパーの店頭にも鰹が並ぶ季節です。皆様も深みのある美しい赤い色をした鰹を見つけられましたら、是非この鰹の生春巻き 胡麻をつけて香ばしくの事を思い出してください。このワインとの素晴らしいマリアージュをご体験くださいませ。サントリーの公式HPのショップや登美の丘ワイナリーのショップではワインのみらいシリーズの信州松本 アロマティック アッサンブラージュ ロゼの2022年や2023年も僅かながら在庫があります。比較試飲で、目指す世界の変遷や、結果生まれた味わいの違いをお確かめになるのも楽しいかと思います。

2位に選ばれたのは、サントリーフロムファーム 塩尻メルロ ロゼでした。イチオシの信州松本アロマティック アッサンブラージュ ロゼと同じ塩尻ワイナリーで醸されたロゼワインですが醸造方法が違います。信州松本 アロマティック アッサンブラージュ ロゼは100%直接圧搾法ですが、塩尻 メルロ ロゼはセニエ果汁と直接圧搾原酒を合わせてつくります。セニエとはフランス語で「血を抜く」事です。中世の医学では、体の中にある悪い血が病気の原因と考え、その血を抜く治療方法が実際に行われていました。ワインのセニエは、破砕して発酵が始まったところの果汁と果皮や種が混ざった醪から果汁だけを一部引き抜きます。ワインの味わいや香り、ワインに移したい上質のタンニンは主に果皮に含まれます。醪から果汁を、一部引き抜いて残りを発酵させると、引き抜く前の醪をそのまま発酵して出来たワインよりも濃いワインが得られます。果汁に対する果皮の割合が高まるからです。引き抜いた果汁ですが、元々は塩尻ワイナリーで言うとフラッグシップの岩垂原 メルロや看板商品である塩尻 メルロになる上質のぶどうの果汁ですから、その引き抜いた液(セニエ果汁)を発酵させたロゼも上質感のあるワインになります。紫混じりの淡いピンク色のロゼです。さくらんぼやザクロのジャムを連想させる赤い果実の香りに、ピンクの花、オレンジピール、白胡椒、洋梨のキャンディーのタッチ。軽快な酸味と、横に広がるメルロらしいやわらかな果実味のバランスが心地良い辛口ロゼワインです。柑橘の果皮の様なほろ苦さのあるタンニンが後口を引き締めます。生春巻きと合わせると、パクチーのイキイキとした香りやミントの爽やかな香りと共鳴していました。鰹の身は、上質の羊羹のような歯ざわりで、穏やかに解れて行き、滑らかな美味しさとなって広がっていきました。同じ塩尻で醸されたロゼなのですがマリアージュの方向性が全く違っていて、とても面白い確認実験でした。

2nd

サントリーフロムファーム 塩尻 メルロ ロゼ 

サントリーフロムファーム 塩尻 メルロ ロゼ

日本
ぶどう品種 メルロ

3位に選ばれたのは、タヴェルネッロ ランブルスコ ロッソでした。タヴェルネッロは 世界No.1※イタリアワインブランドです。タヴェルネッロを醸したのは、サステナブル認証ワイナリーの「カヴィロ社」です。カヴィロ社は、およそ12,000もの生産者と手を携えてぶどうを栽培しています。その生産量は、なんとイタリア全土のぶどう生産量の1割にも及ぶのです。タヴェルネッロとは、イタリア語で「小さな居酒屋」という意味です。家族や友達とおいしいものを食べながら楽しむこと。それがタヴェルネッロのスタイルなのです。タヴェルネッロ ランブルスコ ロッソのランブルスコは、イタリアの赤ワイン用ぶどう品種の名称という側面と、そのぶどうからつくられるワインの名称という二重の側面を持っています。ぶどうとワインはエミリア・ロマーニャ州のモデナ、パルマ、レッジョ・エミリアとロンバルディア州のマントヴァ周辺で栽培され醸されます。ランブルスコは長いワインづくりの歴史を持ち、考古学的証拠から、謎の民族エトルリア人が栽培していたことが証明されています。ローマ時代に既に、ランブルスコはその生産性と収穫量の多さで高く評価されていました。タヴェルネッロ ランブルスコ ロッソはランブルスコ100%で醸されます。格付はI.G.Tランブルスコ エミリアで、アルコール度数は8%の、少し甘さを感じるワインです。これは糖分が残っている時点で発酵を止めるため、残糖が残るからです。しかもアルコール度数が抑えられるので飲みやすくなります。そしてこのアルコール発酵の過程で発生する二酸化炭素を閉じ込めますので、シュワッとした心地よい微発泡になります。香りは赤いベリーを思わせる、甘い香り立ちです。口に含むと微発泡がぷちぷちと心地良く、すっきりした爽やかな後味です。アルコール度数が8%なので軽やかです。生春巻きと合わせると、タレの少し甘い味わいととても良く合っていました。鰹でも脂の多い腹の部分の相性が特に優れているように感じました。戻り鰹で作ると、もっと評価が高まるワインなのかもしれません。
※IMPACT DATABANK 2024 "World's TOP 20 WINE BRANDS"(millions of nine-liter cases)

3rd

タヴェルネッロ ランブルスコ ロッソ 

タヴェルネッロ ランブルスコ ロッソ

イタリア
ぶどう品種 ランブルスコ

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