この料理に合うワイン

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1st

サンタ カロリーナ レセルヴァ デ ファミリア カルメネール 

サンタ カロリーナ レセルヴァ デ ファミリア カルメネール

チリ
ぶどう品種 カルメネール

今回のレシピは、グーラッシュです。グーラッシュはハンガリーが起源の肉料理です。ドイツ語ではGulasch(グーラッシュ)、ハンガリー語ではGulyás(グヤーシュ)で、牛飼いの意味です。ハンガリー起源の料理ですから日本語名も、本来はグヤーシュと表記すべきだったのでしょうが、日本にはハンガリー料理の店が少なく、逆にオーストリア料理の店は、比較的多かったのでドイツ語的な発音が浸透してしまったのだと思います。ハンガリーという国名は、英語で、Hungaryです。日本語の表記はハンガリーですが、ハンガリーの人々は自国の事をMagyarország(マジャロルサーグ)と呼びます。「ハンガリー語」の事を指す(magyar)と「国」を指す(ország)の2つが合体した国名です。現在のハンガリーはオーストリアの真東に位置し、北にスロバキア、東はウクライナとルーマニア、南はセルビア、クロアチアと国境を接しています。ユーラシア大陸の、西の中央部の要衝で、紀元前後はローマ帝国の支配下にあり、その後ゲルマン民族に支配され、4-5世紀にはフン族の支配下にありました。6世紀にはアヴァール人のアヴァール・カガン国に支配され、8世紀末にはカール大帝率いるフランク人が、アヴァール人を撃破しました。9世紀の末にはハンガリー公国となり、ステファン1世が1000年に王位に就いてハンガリー王国になりました。長いオスマン戦争 (1526年-1699年)の最初の戦いでハンガリー軍は敗北してしまい、国は150年以上も3つに分かれてしまいました。ハプスブルク家に忠誠を誓う王立ハンガリーとオスマン帝国ハンガリーとトランシルヴァニア公国の3つです。ハプスブルク家は世界史に出てくる中でも有力な家系です。もともとはスイスの地方の一領主でしたが、オーストリアに侵出、ドイツ王の地位も獲得するようになりました。ハプスブルク家が一躍注目を集めたのは1273年にルドルフ1世が神聖ローマ皇帝になってからです。ただ、ハプスブルク家自体が何民族なのかは、ローマ人説、フランク人説やその他にも諸説あり、はっきりとしません。ただ、ハンガリーの人々からするとマジャル語を話さない異民族であったのは確かで、ハプスブルク家の影響力が強まってくる事は面白くなかったようです。グヤーシュは18世紀に「ハンガリーの国民料理」と宣言されたのですが、それには政治的な目的があった、との事です。グヤーシュは、ハプスブルク家の影響力が、日に日に高まる事に対抗して、ハンガリー国民のアイデンティティを守る象徴として奉られたのでした。グヤーシュの特徴的な赤色は、トマトではなくパプリカからもたらされます。パプリカ(paprika)はナス科トウガラシ属トウガラシの多年性の栽培品種で、赤色や黄色、橙色、紫色、茶色など様々な色の物があります。コロンブスがアメリカ大陸から持ち帰ったトウガラシが、スペインからポルトガルに広まり、さらに中東、イタリアなどに広がりました。パプリカはそのトウガラシが、ドイツを経てハンガリーで栽培、品種改良されて出来ました。パプリカは、ある意味ハンガリーの象徴であり、ハンガリーの誇りでもあったのです。そのパプリカですが、庶民の食材であるが故にオーストリア系の貴族は、蔑んでいました。ハンガリーの人々は、ハンガリー人の民族独立を支え、オーストリア貴族を挑発するために、「パプリカを使う貧しい者の食べ物」であったグヤーシュを国民料理として宣言したのです。さらに架空のシェフであるイシュトヴァーン・ツィフライの名前で、ハンガリーの料理本を出版し、グヤーシュを紹介しています。当時、とても高価だった胡椒などを使わなくても、美味しく作る事が出来るグヤーシュは評判になりました。最初は軍で提供され、そこでグヤーシュの美味しさを知った兵士達が兵役を終えて故郷にグヤーシュを伝える・・・・そんな形で、一般の庶民へと広がり、徐々に富裕層から貴族へも広がりを見せました。現在、いろんな素材のグーラッシュがあるようです。鶏、豚、羊や馬なども使われているようです。今回のグーラッシュは、語源の「牛飼い」に因んで、牛のすね肉を使いました。スパイスは、もちろんパプリカです。粗みじん切りにしたものとパプリカパウダーをたっぷりと使います。その他のスパイスは、クミンパウダーとキャラウェイシード、野菜は玉ねぎ、セロリ、ニンジン、ジャガイモ、トマトとニンニクです。赤ワインをたっぷりといれてじっくりと煮込んで味を整えればグーラッシュの出来上がりです。
さて、このグーラッシュにテイスティングメンバーが選んだイチオシは、サンタ カロリーナ レセルヴァ デ ファミリア カルメネールでした。このワインを醸しているのはサンタ カロリーナ社です。サンタ カロリーナ社はチリでも指折りの老舗のワイナリーで、1875年にドン・ルイス・ペレイラ・コタポスによって創業されました。ドン・ルイスは鉱業事業で大成功を収め、公的にも 外務大臣にまで上り詰めた人物なのです。ワイナリーの名前は、ドン・ルイスの愛する妻、カロリーナ夫人の名前にちなんでいます。ドンは妻を、そして家族を大切にしていたんですね!レセルヴァ デ ファミリアは、その「家族の為のとっておきワイン」という意味で、一般には市販されないワインだったんです。チリワインが世界に知られるようになったのは、サンタ カロリーナのレセルヴァ デ ファミリア カベルネ・ソーヴィニヨンが、1889年に開催された、第4回パリ万国博覧会で金賞を受賞したのがきっかけだと言われています。まさにこのシリーズなのです。この第4回パリ万国博覧会はエッフェル塔が建設された万博としても有名です。サンタ カロリーナが日本に登場したのは1998年の4月でした。当時はチリカベブームでした。チリのカベルネ・ソーヴィニヨンが略されてチリカベと呼ばれていたのです。サンタ カロリーナは、TVコマーシャルも行われ、レセルヴァ デ ファミリアの100歳を超えるぶどうの樹が紹介されていました。チリには、ぶどうの宿敵であるフィロキセラがいないのです。。その100歳を超えるぶどうの樹は、見るからに筋肉隆々な印象を受ける樹形で、幹は成人男性の太腿よりも太かったです。フランスなどでのヴィエイユ・ヴィーニュ(老樹)のぶどうは、どこか老成し、物静かなオーラがあります。そしてフランスなどの老樹のぶどうには房がちょっぴりしか付きません。しかしレセルヴァ デ ファミリアの樹には、活力みなぎるオーラがあり、若木に劣らず沢山の房が付きます。そしてその多くの房が本当に素晴らしく凝縮するのです。接木をしていない、自根ならではのエネルギーを感じるぶどうの樹なのです。レセルヴァ デ ファミリア用の100歳を超える畑は、チリの首都サンチアゴの中心部に程近いところにありました。都市化が進むにつれすっかり市街地にとり囲まれ、ぶどう園としての環境が良く無くなったので、一部のぶどうを別の畑に移植する事になりました。カベルネ・ソーヴィニヨンはマイポヴァレー、シャルドネはカサブランカ ヴァレーの冷涼なエリアにそれぞれ植え替えられたそうです。今回のイチオシに選ばれたレセルヴァ デ ファミリアの品種は、今やチリを代表する品種の一つになったカルメネールです。カルメネールがフィロキセラの甚大な被害にあう前の、19世紀中ごろのボルドーでは、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロよりも多く栽培されていた品種だったのです。フランスでフィロキセラ禍に拠って、ぶどう樹が大量に枯死し始めたのは1863年です。カルメネールはフィロキセラに極めて弱かったのです。また、熟すのに長い日数を要する為に、秋の長雨で病気になる事も多かったので、次第にボルドーでは栽培されなくなってしまいました。一方、チリにフランスから多くのぶどうの苗木を持ち帰ったのは、シルベストーレ オチャガビアなのですが、彼がボルドーを訪れたのは、フランスにフィロキセラがやってくる前だったのです。チリには、ぶどうの宿敵フィロキセラが入ってきていません。今でも畑の大部分は自分の根っこで健全に育っています。また、チリは、冬以外は雨がほとんど降りません。こういった好条件のお陰で、チリではカルメネールが生き延びたというわけです。しかしカルメネールも、平穏無事にチリで繁栄していた訳ではないのです。なんとメルロと勘違いされていたのです。メルロは開花後100日で収穫できます。一方カルメネールは120日以上かかります。メルロだと誤解されていたカルメネールは、メルロと同じ時期に収穫されていました。当然未熟で青臭い「うまく完熟出来ないヘボメルロ」だと思われていたのです。この誤解を晴らしたのがジャン・ミシェル・ブルシコ氏で、1994年の事です。彼はDNA分析から、「このなかなか熟さないメルロ」がカルメネールである事を突き止めました。そうして本来必要な開花後の完熟期間を取るようになって、カルメネールはチリを代表する品種のひとつになったのです。レセルヴァ デ ファミリア カルメネールの色は、鮮紅色をしています。そもそもカルメネールの名前の由来になったカルミンは、色素の名前です。カーマインとも呼ばれ、コチニール色素の事です。コチニール色素はカイガラムシから抽出した色素で、美しく鮮やかな深紅色をしています。スワリング(グラスをまわして香りを立たせる動き)すると、色の濃いチェリー、ブラックベリー、プラムなどの果実を思わせる香りが華やかに立ち昇ってきます。針葉樹やエスプレッソ、ダークチョコレートなどのニュアンスもあります。口あたりは優しく、熟した中にもフレッシュさを感じる果実と、滑らかなタンニンがあります。複雑で凝縮感のある味わいなのですが、カベルネ・ソーヴィニヨンとは方向性の違う、果実寄りの充実感があるワインです。
グーラッシュからは牛肉の香りとパプリカの良い香りがしてきます。グーラッシュの肉を食べて、レセルヴァ デ ファミリア カルメネールを飲むと、パプリカの風味が、明らかに際立って感じられました。
「パプリカとの相性が良いのですね」
「カルメネールって、赤系の果実を思わせる香りが豊かで、針葉樹の連想もあります。パプリカってピーマンの兄弟みたいなものですから、やはり緑のニュアンスがあるのです。その共通する香りで、共鳴するのだと思います」
「似たもの同士は、良い相性、というマリアージュの鉄則ですよね」
「すね肉がじっくり煮込まれてゼラチンが溶けています。そのネットリとした美味しさに、ぎゅっと凝縮したワインのテクスチュアがピッタリと合っています」
「力と力も均衡していないと、バランスが取れませんよね」
「ニンジンやジャガイモなどの根菜類も、しみじみと美味しいです」
皆様も、良いパプリカを見かけられましたら、このグーラッシュの事を思い出してください。そしてサンタ カロリーナ レセルヴァ デ ファミリア カルメネールとの素晴らしいマリアージュを体験してみてください。

2位に選ばれたのは、サントリーフロムファーム かみのやま メルロ&カベルネ・ソーヴィニヨン 紅のかなででした。上山市でサントリーに赤ワイン用のぶどうを育ててくださっているのは上生居の奈良崎さんで、メルロとカベルネ・ソーヴィニヨンを育ててくださっています。奈良崎園は花森湖展望台に行く途中の、南に向いた素晴らしい斜面です。奈良崎さんとサントリーが、カベルネ・ソーヴィニヨンの畑で、今迄よりも、収量を制限する取り組みを始めたのが2021年です。その成果が素晴らしかったので、翌2022年にはメルロも収量を制限して栽培していただきました。収量制限の効果は目を見張るものがありました。みずみずしく凝縮し、色の濃いぶどうが収穫出来たのです。そのメルロとカベルネ・ソーヴィニヨンを合わせて、サントリーとしては初めて、かみのやまでボルドータイプのアッサンブラージュワインとして発売したのが、今回2位に輝いたサントリーフロムファーム かみのやま メルロ&カベルネ・ソーヴィニヨン 紅のかなでだったのです。ダークチェリーや黒い果皮のプラムなどを連想させる、肉厚な果実の香りと、程良い清涼感を与える針葉樹のタッチと樽熟成由来の甘香ばしさが上手くとけあっています。甘やかさを感じさせるまろやかで充実した果実味と、柔らかみのある酸味、練れたキメ細かいタンニンの上品なまとまりがあります。広がりのある、あたたかな味わいが魅力のミディアムボディのワインです。脂が乗って、ゼラチン分も豊かな牛肉のしっかりとした旨味をがっちりと受け止める力がありました。パプリカは野菜ですが、ある意味「果実味」を感じます。その果実味がしっかり溶け込んだグーラッシュとかみのやまの熟したぶどうの果実味とが、素晴らしく調和していました。

2nd

サントリーフロムファーム かみのやま メルロ&カベルネ・ソーヴィニヨン 紅のかなで 

サントリーフロムファーム かみのやま メルロ&カベルネ・ソーヴィニヨン 紅のかなで

日本
ぶどう品種 メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン

3位に選ばれたのは、サントリー 赤玉 プレミアムブレンデッドワインでした。サントリーは、今や世界中で商売をしていますが、その祖業はワインでした。創業者の鳥井信治郎は、最初、スペインのバルクワインから本格的な辛口赤ワインをつくろうとしましたが、日本人に受け入れてもらえませんでした。鳥井信治郎は寝る間も惜しんで試作とブレンドを繰り返し、お客様に試してもらいました。でもなかなか、良い結果は出ませんでした。
信治郎は、
日本人の嗜好に合わせ、
日本人の生活に馴染む、
日本ならではの新しいワインの愉しみ
を、提供する事の大切さを知りました。
そうして1907年に誕生したのが、当時の赤玉ポートワイン、現在の赤玉スイートワインです。
本格的な辛口ワインには馴染めなかった日本人にも、口に優しい赤玉は受け入れられたのです。赤玉は爆発的に売れました。その利益を元に信治郎はウイスキーの蒸溜に取り組むことが出来たのです。東京オリンピックや大阪万博を経て、日本人も本格的な辛口ワインに慣れ親しむようになりました。「金曜日はパン買って、花買って、ワインを買って・・・・」の第一次ワインブームから何度かのワインブームのお陰で本格的な辛口ワインも、何倍もの市場規模になりました。しかしながら、日本人が愛して止まない、みりんや砂糖を使ったお料理には、なかなかぴったりと合うワインを見つける事が出来ずにいました。例えばすき焼きや鰻の蒲焼、豚の角煮や肉じゃがと本格的な辛口ワインとでは、不協和音が流れるのです。そこでサントリーでは「食事の時にたのしむ、新しいワインの提案」を模索しました。赤玉から発展し受け継がれてきた多彩な原料を使い分ける技、何百何千もの異なる原料酒を作り分ける技とブレンド技術で日本の新しい食中酒づくりに挑み、昨年2025年の秋に新発売したのがサントリー 赤玉 プレミアムブレンデッドワインなのです。グーラッシュと合わせると、このマリアージュ実験で比較試飲したイチオシや2位などとは別の美味しさが感じられました。グーラッシュのスープに溶け込んだクミンやキャラウェイが「パプリカだけじゃなくてわたしもいます!」と宣言するかのように顔を出します。それと驚いたのはジャガイモが飛び切り美味しく感じた事でした。ジャガイモと赤玉プレミアムは、何か本質的な相性の良さがあるのではないか?と思ったマリアージュ実験でした。この赤玉 プレミアムブレンデッドワインは2025年に実施された2万3千人のフードアナリストによる日本初の食品・食材の審査・認定制度である「ジャパンフードセレクション」において「グランプリ」という最高位の賞を頂きました。是非、お試しくださいませ。

3rd

サントリー 赤玉 プレミアムブレンデッドワイン 

サントリー 赤玉 プレミアムブレンデッドワイン

日本
ぶどう品種 非公開

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