この料理に合うワイン

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1st

サントリーフロムファーム 登美の丘 甲州 

サントリーフロムファーム 登美の丘 甲州

日本
ぶどう品種 甲州

今回のレシピは、プラー ヌン マナオ、鯛姿蒸し ライムソースです。マダイは漢字では真鯛、英語ではRed sea breamで、スズキ目スズキ亜目タイ科の魚です。英語のBreamはコイ科の淡水魚でヨーロッパの川や湖に沢山います。英語のRed sea breamの名前には、鯛への愛を感じませんが、真鯛は日本人が愛して止まない魚で、高級魚のイメージがあります。確かに鳴門の鯛などは高値で取引されています。日本経済新聞の、真ん中くらいのぺージに経済データ一覧がありますが、その中の卸売市場というコーナーには中央卸売市場の魚種別の高値と安値が掲載されています。12月4日は、豊洲市場と大阪本場(ほんじょう)市場と下関の唐戸(からと)市場のデータが掲載されていました。12月4日の高値を見ると1kgあたり1万円を超えるのは兵庫のカニが17,800円、青森のクロマグロが13,000円、北海道のホタテと内海のトラフグ(活)が12,000円、クルマエビ養殖(活)とキンキ(各地)と大分の5kgもののタチウオが11,000円の7魚種が1万円越えです。この価格は競りで売買が成立した価格なので、魚屋さんの店頭の価格よりも大分安い価格になっています。マダイは高値で3,780円です。1万円越えの7魚種以外でマダイより高いのは沖縄のエビ養殖(活)、北海道の塩サケ、タラ、(各地)のブリ、キンメダイなどがあります。今年不漁だった鮭のほうが鯛よりも、ずっと高いのです。日経新聞のデータ欄には登場しませんが、市場を歩いて価格を見ていると、クエや九州のアラ、ヒラメ、キンキやノドグロ、シロアマダイや鮭児、鮑などは高値で取引されている印象があります。鯛は早くから養殖が盛んに行われた結果、供給量が比較的潤沢にあるので、価格は、こなれているのだと思います。今日のプラー ヌン マナオですが、タイ料理です。プラーは魚で、ヌンは蒸す事、マナオはタイのライムソースです。鈴木都先生によると、プラー ヌン マナオはタイ南部地方の料理で、マナガツオやスズキでもよく作られるそうです。白菜など野菜も一緒に蒸し煮にした、プラー ヌン ペサーという料理では専用の魚の形をした、下から火であたためられる器で出されるそうです。日本でも秋葉原のタイ料理屋さんで、その魚の形をした鍋を見た事があります。このライムを使ったスパイシーなソースは魚介類全般に良く合いますので、タイではイカ、海老などの魚介類も同じように蒸してこのソースで食べるそうです。
鯛姿蒸し ライムソースですが、作るのはそんなに難しくありません。鱗と内臓を取った鯛を耐熱皿に乗せてナンプラーを両面に塗ります。2ミリ幅くらいにスライスした生姜とにんにくをお腹に入れ、魚の上にも散らします。スライスしたライムも2~3枚乗せたら、ラップをかけて電子レンジにかけます。ソースは、にんにくをみじん切りにして唐辛子は小口切りにします。パクチーは、粗みじん切りで、調味料であるナンプラー、ライムの搾り汁と砂糖を混ぜ合わせます。蒸し時間は、鯛の大きさと電子レンジのワット数にも依って変わります。尾の先まで25cm位の鯛で、何回かに分けて合計10分くらいで蒸せるかと思いますが、ラップの膨らみ具合などを見て蒸しあがりをチェックしてください。蒸しあがったらソースをかけて完成です。さて、このプラー ヌン マナオ、鯛姿蒸し ライムソースにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはサントリーフロムファーム 登美の丘 甲州でした。サントリーでは今、白ぶどうでは甲州種に力を入れています。皆様は1990年代の烏龍茶のテレビCMで「烏龍茶はサントリーのこと」が放映されていたのをご存知でしょうか?我々日本ワイン事業に携わる人間たちは「『甲州はサントリーのこと』と言われるようになりたいね」を合言葉に甲州を深堀してきました。登美の丘ワイナリーは1909年に鉄道参議官だった小山新助が登美農園を開園したのが始まりです。小山新助は中央本線を誘致した人で、乗客や貨物を増やす策の一環としてワイナリーを作ったのですが、初期に植えられた品種リストに、甲州は、もちろん入っています。日本における、現代に繋がる形で残っているワインづくりは、明治元年(1867年)に山田宥教と詫間憲久が甲府で始めた醸造場です。山梨県は、1877年に頓挫しかかった事業を甲府城址で「山梨県立葡萄酒醸造所」の形で引継ぎました。この頃の「県立葡萄酒醸造所甲州」のラベルが東大図書館に収蔵されています。盆地が多く果樹栽培に向いた山梨県では、着実にぶどう栽培が拡大していきました。果実酒の免許場数は1915年45場だったものが1926年には319場、1930年には1000場を超えました。この頃は農家が自分の畑で栽培したぶどうを自家醸造する事が黙認されていました。なので農家では自分で栽培した甲州などを醸造して湯呑で飲む習慣がありました。この湯呑でワインを飲む習慣は今でも残っていて、山梨県の酒販店のワイン売り場には沢山の種類の手頃な一升瓶ワインが並んでいます。さて、甲州ですが、遺伝子解析でヨーロッパのコーカサス地方、今のジョージアあたりで生まれたぶどうが、シルクロードを経て日本にやってきたということが証明されました。さらにそのシルクロードの旅の途中で中国の棘ぶどうと交配していたという学会発表がありました。そのぶどうはVitis davidiiです。甲州ぶどうの枝をよくよく見ると、そのトゲブドウの血を引く証として、小さなトゲがあることが確かに分かります。その甲州が、いつ、どうやって日本にやってきたかは、はっきりとは判っていません。甲州伝承には2つの説があるのですが、雨宮勘解由(あめみやかげゆ)説にしても、大善寺説にしても、やってきた甲州が野生化し、それを再発見した、という伝承なのです。いずれにしても甲州は千年位と言う長い時間軸で日本の風土に馴染んできたぶどう品種なのです。甲州は糖度が上がり難い品種です。糖度が上がるのを待つ為に遅摘すると酸が落ちてしまいがちな品種です。完熟すると、美しい藤紫に染まるグリ系の品種なのです。甲州で醸されたワインは長らく、中甘口に仕上げられていました。表に出てくる個性的な香りは、あまり無い、控えめな品種なので、単純に辛口に仕上げると、要素が少なくて素っ気ない感じになってしまいます。甘さを残すことでバランス良く楽しめるワインにしたのです。今までに7回あると言われるワインブームの2回目の波である第2次ワインブーム(1978年)の火付け役であった1000円ワインのレゼルブの白が甲州主体で、まさに中甘口タイプでした。この中甘口タイプは1990年代まで主流でした。もう少し高単価を目指す甲州は、樽熟成タイプでした。樽醗酵した甲州をそのまま樽熟成したり、別の容器で醗酵した甲州を樽熟成したりします。味わいは複雑にはなりますが、元々のぶどうに凝縮感が無いと、樽の風味ばかりのアンバランスなワインになってしまいます。なによりも甲州の最大の取り柄である「素材の持ち味を邪魔せずに寄り添う力」が失われ勝ちになります。甲州に新たな可能性を切り開いたのがシュールリーです。メルシャンさんが1983年に確立した醸造方法で、発酵後の酵母の集まりである澱を、ワインと接触させ続ける事によって、酵母が自己分解し、酵母の体のタンパク質が、アミノ酸に変化します。そうする事により大人しい味わいの甲州に旨味を与える事が出来るのです。現在の辛口タイプの甲州ワインの主流がこれです。登美の丘ワイナリーでは開園の1909年から、甲州は栽培してはいましたが、辛口の高品質甲州では出遅れました。2000年にやっと「月見台南園辛口甲州」 を発売する事に漕ぎ着けました。2009年には「登美の丘 甲州」を発売し、より良い甲州を模索しました。山梨県でも未来の高品質甲州を見据えて、山梨県系統選抜試験に2012年から乗り出しましたが、登美の丘ワイナリーもいち早くその計画に参画いたしました。また、昔の登美の丘ワイナリーは、ボルドータイプの赤を醸すぶどうを最優先に良い圃場を割り当てていましたが、甲州をエース区画に植える準備を始めました。2015年からエース区画に、系統選抜試験で最も成績の良かったKW-05を植えました。また、2020年からは梢の先端と根に近い部分と梢の中央部分の房の熟すスピードの差に着目しました。2つのグループに分けて、それぞれが完熟したタイミングで収穫し醸造する事によって高品質を目指しました。こういった努力が実を結び、2022年には、登美の丘のフラッグシップである「登美」を甲州でも狙えるワインを醸すことに成功しました。甲州で醸したフラッグシップ登美のファーストヴィンテージである登美 甲州 2022は、世界的に権威あるコンペティションで連続して最高賞を受賞しました。インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション2024では 金賞を受賞しました。デキャンター・ワールド・ワイン・アワード2024では、なんと、日本勢が誰一人として獲った事の無い「BEST IN SHOW」を受賞したのです。
マリアージュ実験に使ったサントリーフロムファーム 登美の丘 甲州のヴィンテージは2023年です。2023年は過去9年間で気温が最も高く、降水量が最も少ない年でした。降水量について4-10月は良年並み、7-10月は非常に少なかったです。7月の最低気温は近年と比較するととても高く、8月もかなり高い傾向でした。近年稀にみる少雨により、ぶどうにストレスがかかったおかげか、健全かつ高熟度なぶどうを獲得する事ができました。グラスに注ぐと、淡い淡いレモンイエローです。八朔や夏みかんなどの甲州らしい和の柑橘を連想させる果実の香りに、白桃とほんのりと米を研いだ時の香りのタッチがあります。口に入れると、しっかりとした厚みのある果実感を、太い酸が支えます。2023年らしい凝縮感のある味わいがあり、後口に甲州らしい少しほろ苦さのあるフェノールのグリップのあるワインです。蒸しあがった鯛からは、ナンプラーの香りと鯛の高貴な香りが立ち昇ります。ソースをかけると、ライムとパクチーの緑のエネルギーのある香りで空間が満たされます。鯛を口に運ぶと繊細な鯛の味わい、素材が持っている繊細な甘みが口に広がります。そこにワインが加わると、鯛の味わいが甲州によって、そっと持ち上げられ、旨みがさらに明確に感じられます。
「鯛を食べた後に甲州を口に入れると、ぱっと甲州の味わいで口中が満たされるのですが、その後から鯛の繊細な旨味が蘇ってきて、美味しい余韻に繋がって行きます」
「パクチーって強い香りですよね。私はパクチー嫌いでは無い、と言うより、どちらかと言うと好きなのです。でも、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランとかとパクチーを合わせると共鳴して個性的な香りが強くなりすぎて、『そこまでじゃ無くて良いんだよねぇ・・・・』って思ってしまうのですが、甲州は、丁度良いですね」
「ライムとパクチーの緑のタッチが、強まる訳では無くて、焦点が合う感じで、くっきりと見える気がします」
「ライムの柑橘感も自然に楽しめますね」
「何よりも鯛の味わいが、更に奥深い感じに感じられて、とても美味しいです」
 みなさまも、レンジに入る一番大きな皿に丁度乗るサイズの鯛を見つけられましたら、是非この鯛姿蒸し ライムソースの事を思い出してください。そしてサントリーフロムファーム 登美の丘 甲州との素晴らしいマリアージュをお楽しみくださいませ。

2位に選ばれたのは、フレシネ イタリアン ロゼでした。是非、ボトル写真をもう一度ご覧ください。美しいカッティングが施されたボトルに、淡いロゼカラーが、素敵に映えるデザインですよね。特別な日を華やかに彩るのにぴったりのロゼスパークリングワインだと思います。ぶどう品種は、プロセッコで主体に使われるグレーラとピノ・ノワールです。グラスからは、赤い果実や白い花、リンゴを思わせるエレガントな香りがしてきます。ぶどうのたっぷりとした果実味と軽やかな酸が調和した、爽やかなロゼスパークリングワインです。ぶどう本来が持つフレッシュな香りと果実味をそのままワインに表現するために、低温で発酵を行っています。鯛と合わせると、イタリアン ロゼ単体で飲んだ時よりも、ふくよかさを感じて、とても美味しかったです。ソースの唐辛子を噛んでしまうととても辛いのですが、その辛い刺激をフレシネ イタリアン ロゼが優しく鎮めてくれました。

2nd

フレシネ イタリアン ロゼ 

フレシネ イタリアン ロゼ

イタリア
ぶどう品種 グレーラ、ピノ・ノワール

3位に選ばれたのは、ドメーヌ バロン ド ロートシルト サガ R ボルドー ブランでした。ドメーヌ バロン ド ロートシルトはヨーロッパに一大金融王国を築きあげたパリロスチャイルド家(ロートシルトの英語読み)のワイン部門です。ロスチャイルド家は1868年にボルドー地方のメドック格付け1級筆頭シャトー ラフィットを取得し、ワイン事業を本格的に展開するためにドメーヌ バロン ド ロートシルト ラフィット社を設立しました。伝統と上質を守り、世界の銘醸地でワインづくりを行なっています。ドメーヌ バロン ド ロートシルト ラフィット社がうみ出したワインには、高い品質の証として、ロスチャイルド家の紋章「5本の矢」のロゴが使われているのです。サガ Rのルーツは「男爵の秘蔵ワイン」です。ラフィットグループを率いたエリック男爵は、かつて親しい友人たちや家族のために、シャトー ワインに近いスタイルで日常的に気軽に楽しめるワインをつくっていました。それがこのサガRのルーツで「男爵の秘蔵ワイン」と呼ばれていました。現在は男爵の娘、サスキア・ド・ロスチャイルドが、当主として伝統を守りながらも、多様性の時代を乗り切るための新しい風を吹き込もうとしています。
サガ R ボルドー ブランはラフィットスタイルと言われるエレガントさを感じ、しかも気軽に楽しむ事が出来ます。アントル・ドゥ・メール地区で選び抜いたソーヴィニヨン・ブランとセミヨンからつくられた上品で気品を感じる白ワインです。鯛と合わせるとライムとパクチーの緑のタッチが強まって感じられました。鯛の磯の香りが、ふわっと立ったあと、複雑な旨味が広がり、余韻へと続くのですが、後半部分の味わいをボルドーブランのほろ苦さが、上品に引き締める大人の味わいだと思いました。

3rd

ドメーヌ バロン ド ロートシルト サガ R ボルドー ブラン 

ドメーヌ バロン ド ロートシルト サガ R ボルドー ブラン

フランス
ぶどう品種 ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン

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