この料理に合うワイン

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1st

フレシネ コルドン ネグロ 

フレシネ コルドン ネグロ

スペイン
ぶどう品種 パレリャーダ 、マカベオ、 サレーロ(チャレロ)

今回のレシピは、枝豆とフェタチーズのサラダです。枝豆は、未成熟な大豆を収穫したものです。昔は、油を搾ったり、豆腐や味噌を作るための大豆の若鞘を食べていましたが、近年は、枝豆専用の品種が、400以上もあるといわれています。ダイズはマメ科ダイズ属の一年草です。中国東部や日本、韓国、ロシア極東原産のツルマメが栽培され続ける間に変異しダイズになった、と考えられています。ツルマメや大豆は古くから栽培されており、紀元前3500年から5000年の間に中国または東アジアで栽培され始めたと考えられています。独立行政法人の農畜産業振興機構によると日本では縄文時代の遺跡から大豆が出土しているそうです。これは世界最古クラスの古い出土例だそうです。縄文時代初期はドングリや栗を採集して食べていましたが、縄文時代後期にはツルマメや大豆を栽培して食べていたのかもしれないと考えられています。稲作が行われる前の日本人は大豆が主食だった可能性もあるのです。また大豆は古事記(712年)にも記載されており、日本書紀(720年)には五穀のひとつとして書かれています。マメの「マ」は丸い事で、「メ」は「実」が転じたものだと考えられています。大豆は小豆に対して「大きい豆」ということで「大豆」になり、音読されて「だいず」になりました。FAO(Food and Agriculture Organization)の2023年 大豆の生産量を見ると世界の大豆生産量は3億7千万トンで、1位はブラジルで、2位のアメリカと合わせて72%も占めるのです。アメリカに大豆が伝わったのは、意外な事に日本からです。ペリー提督が日本から2品種の大豆を持ち帰ったのが最初で、その頃はJapan beansと呼ばれていたそうです。その後50年間でアメリカは世界の70%もの大豆を栽培するようになりました。「大豆は畑の肉」と良く言われますが、それを最初に言ったのはオーストリアのBOKU大学の教授だったハーベルランドです。1873年にウィーンで開催された万博に日本から出品された大豆を分析し、大豆に普通植物では考えられない位の豊富なタンパク質が含まれ、豚肉に近い事から「大豆は畑の肉」と呼びました。枝豆は大豆が堅く熟すよりも前の緑色の頃に収穫し、主に茹でて食べます。英語でも「Edamame」と表記されます。かつては「Green soybean 」と訳されていた頃もありますが、日本流の茹でた枝豆が世界的に広がっていく中で「Edamame」の表記が主流になってきました。FAOの国別大豆の生産量 2023年 を見ると日本の実績は26万トンで、世界全体の僅か0.07%です。ネット上には26万トンのほとんどは枝豆用だ、と書いているページも見かける事がありますが、間違いです。農林水産省「作物統計」の一環で令和7年1月に「国産大豆の生産・需要動向」を発表しています。そこに2023年 の用途別の国産大豆消費量が詳しく記載してあります。農林水産省が把握している令和5年(2023年)の国産大豆の需要量は24.7万トンで、多い順に豆腐用13万トン、納豆用4.2万トン、煮豆用2万トン、味噌用1.2万トン、豆乳用1.1万トン、醤油用0.6万トンで、ここ迄の合計で22.1万トンです。「あれ?枝豆って煮豆に入るの?」と思われた方もいらっしゃると思います。ここの煮豆は乾燥大豆を戻して味を付けて煮た煮豆です。農水省の統計では、大豆と枝豆は色も違うし、明らかに使用用途が違うので統計を分けています。枝豆はなんと、「野菜類」の「緑黄色野菜」に分類されているのです。FAOの26万トンと農林水産省が把握している24.7万トンの差の1.3万トンが枝豆に見えますが、それも違うようです。農林水産省の枝豆の2023年の収穫量は6.1万トンになっています。枝豆専用の品種の分類は、種皮や鞘のうぶ毛の色の違いで分けるのですが、基本的に3種類です。「白毛豆(青豆)」「茶豆」「黒豆」です。白毛豆(青豆)は沖縄を除く日本中で栽培されていますが、メインは関東で、鞘が濃い緑色の枝豆です。東京近郊のスーパーや八百屋さんで普通に「枝豆」とだけ書いて売られているもののかなりの部分が、この白毛豆(青豆)です。癖が無くて万人受けする味わいです。多く育てられている品種はサッポロミドリや奥原早生などがあります。茶豆は、だだちゃ豆を代表格として東北地方を中心に栽培されています。茶豆の鞘は一見すると緑色で白毛豆(青豆)と見分けが付かない時もありますが、鞘の中の豆が茶色の薄皮を被っていることから茶豆と呼ばれます。白毛豆より甘味が強く独特の風味があります。茹でたては、トウモロコシを茹でた時に似た心惹かれる良い香りがします。竹下大学の「野菜と果物 すごい品種図鑑」によると、だだちゃ豆は山形県庄内地方を中心に栽培されていて、江戸時代に越後から庄内に伝わった枝豆用の大豆を系統選抜し、明治初期に小真木となったそうです。だだちゃとは庄内の方言で「家長」の事を指すそうです。茶豆はスーパーで、品種を名乗って売られている事が多いです。だだちゃ豆は小真木、白山、甘露などの8品種が認定されています。茶豆はその他に黒崎茶豆や新潟系14号、茶香りなどの品種を見掛けます。黒豆は関西を中心に栽培されています。お節料理の黒豆の未熟果で、黒豆の様には真っ黒にはなっておらず灰色です。しみじみとしたコクがあり、甘みも強いのが特徴です。黒豆の枝豆で有名なものは、丹波篠山黒大豆や紫ずきんなどです。黒豆の枝豆は収穫期が遅く、早くても9月の中旬です。
今回は枝豆を使って枝豆とフェタチーズのサラダを作ります。フェタチーズは、ギリシャ本土とレスボス島で伝統的な方法で生産されたチーズに与えられるPDO(原産地保護呼称)で、羊の乳と30%までの山羊の乳で作られます。塩味は少し強めで柔らかく、穴は殆どなくて、皮もありません。塩味のお陰か、甘味を感じるチーズです。
今回の枝豆とフェタチーズのサラダのチーズ以外の材料は枝豆、グレープフルーツ、きゅうりといんげんです。香り付けにスペアミントも使いました。枝豆といんげんは茹でて、ドレッシングはライム果汁に白ワインと塩を合わせて良く混ぜ、オリーブオイルも加えて、更にとろりとするまでよく混ぜ合わせて作ります。
さて、この枝豆とフェタチーズのサラダにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはフレシネ コルドン ネグロでした。フレシネ社は、1861年スペイン・バルセロナから南西に40Km離れたカヴァの故郷であるサン・サドルニ・ダ・ノイアにあるラ・フレシネーダ(トネリコの 木という意味)と呼ばれる地にペドロ・フェラーによって設立されたワイナリーです。ペドロは13世紀から代々受け継がれた広大な土地にぶどうを栽培し、その生涯をカヴァづくりに捧げました。スペイン市民戦争によるペドロの死後、フレシネ社の経営は妻サラと息子ホセが引き継ぎました。2018年初め、ドイツのスパークリングワイン最大手Henkell & Co Sektkellerei(ヘンケル社)が、フレシネを買収し、2019年1月1日より、新しい社名はHenkell Freixenet(ヘンケル・フレシネ社)に変更しました。ヘンケルはOetker Groupのワイン・スピリッツ部門ですが、フレシネの50.7パーセントの株式を取得して、世界のスパークリングワイン市場の8パーセントを握るスパークリングワイン生産者となりました。「ヘンケル・フレシネ」は世界No.1※カヴァの生産者で、そのフラッグシップがコルドン ネグロです。なんと、150カ国以上で愛されているのです。ぶどう品種はパレリャーダ、マカベオ、チャレロです。コルドン ネグロは1974年に発売されました。漆黒のボトルに包まれたコルドン ネグロ(=スペイン語で「黒い帯」)は、輸出市場で人気を博しスパークリングワイン界で不動の地位を確立しました。フレシネ社は高品質と手頃な価格と相反する2つの理想を実現するために努力を惜しみません。徹底した品質へのこだわりはあらゆる事に及びますが、大きく分けると3つのポイントがあります。搾汁と酵母、熟成期間です。まず搾汁ですが、一番搾り果汁のみを贅沢に使用し、二番搾りの果汁はカヴァの同業他社に売り渡します。酵母はベストな味わいを求めてフレシネのラボで開発した酵母を使います。熟成期間はD.O.カヴァの法定熟成期間9ヶ月を上回る熟成により、複雑味とバランスの良さを実現します。品質に関わる所には一切手を抜かないのです。一方、手頃な価格の実現では、最新技術を駆使してコストパフォーマンスを追求しています。例えば熟成庫での瓶の積上げ・搬入は徹底的に人手を省きます。瓶内二次発酵に拘るフレシネ社には自動動瓶システムも必要なのですが、最新鋭の物を使っています。高速澱抜きシステムなどにも積極的に投資し効率化を徹底的に図っています。人手を省く事でコストカットが出来るのです。
コルドン ネグロをグラスに注ぐとグリーンがかった淡いレモンイエローです。瓶内二次発酵の後、長い期間熟成していますので、きめ細かい泡が立ちのぼっています。爽やかな柑橘系や熟したリンゴを思わせる香りがあります。長熟で生まれる酵母の分解香の香ばしい、食パンを焼いたような香りもしてきます。ドライな口当たり、複雑味もあってキリッとした酸味のカヴァです。
枝豆とフェタチーズのサラダを食べてコルドン ネグロを飲むと、第一印象は「割と大人しいマリアージュだなぁ・・・」でした。改めて枝豆とフェタチーズのサラダだけを食べると、グレープフルーツのキレのある酸を強く感じました。
「コルドン ネグロを合わせると、柑橘が、グレープフルーツよりも、もっと熟した、甘みのあるような柑橘のニュアンスに変化しますね。穏やかになってとても美味しいです」
「フェタチーズが口中で解れて溶け去る感じで、とても美味しいです」
「枝豆の豆の香りがコルドン ネグロと良く合っています」
「だだちゃ豆とかだと、香りが強い分、フレシネがもっと美味しくなると思います。茶豆系は晩生が多いですからマリアージュ実験の時には手に入りませんでした。でも記事が掲載される頃には出盛りになっていると思います」
「スペアミントの香りとコルドン ネグロも居心地の良い感じで、良かったです」
「フェタチーズが手に入らない時にはカッテージチーズでも美味しく出来ますよ」
「フェタチーズは、昔はチーズ専門店でしか手に入りませんでしたが、最近うちの近所に出来たスーパーには常備していますし、駅ビルなどに多く出店しているコーヒー専門店がやっている食材店にもあります」
枝豆とフェタチーズのサラダは暑い季節に美味しいサラダです。皆様もフェタチーズと美味しい枝豆を調達して、作ってみてください。そしてフレシネ コルドン ネグロとの素晴らしいマリアージュをお楽しみください。
※IWSR2023 スペインスパークリングワイン販売数量

2位に選ばれたのは、タヴェルネッロ オルガニコ スプマンテでした。タヴェルネッロは1983年に発売された、もう、40年以上愛され続けている販売量世界No.1※1のイタリアワインブランドです。その傘下の「オルガニコ」は、販売量国内No.1のオーガニックワイン※2で、タヴェルネッロ オルガニコ スプマンテは有機栽培のぶどうを醸したスパークリングワインです。
タヴェルネッロ オルガニコ スプマンテのぶどう品種はトレッビアーノ70%とペコリーノが30%です。色合いは、淡いレモンイエローに少しシャンパンゴールドがはいっています。やわらかく軽やかな泡立ちで、心地良い柑橘や黄桃を連想させる、程良い香りです。辛口で優しい味わいでまろやかな酸味とのバランスが良いフレッシュで親しみやすい味わい味わいです。枝豆とフェタチーズのサラダと合わせると、ミントの香りが伸びやかに広がっていきました。このサラダにはミントもグレープフルーツも使っているので、基本的に「大人の苦み」のある味わいです。でもタヴェルネッロ オルガニコ スプマンテと合わせると、苦味を上手にマスクしてくれて、爽やかさが際立ちました。また、驚いたのはフェタチーズの味わいの変化でした。フェタチーズは、基本的にはシンプルで素朴な味わいが持ち味ですが、タヴェルネッロ オルガニコ スプマンテと合わせると奥行が出て、旨味のしっかりとしたチーズに格上げされていました。
※1 Shanken’s IMPACT DATABANK Review and Forecast 2021
※2 SRI+ 標準7業態容量実績(23年1-12月)

2nd

タヴェルネッロ オルガニコ スプマンテ 

タヴェルネッロ オルガニコ スプマンテ

イタリア
ぶどう品種 トレッビアーノ、ペコリーノ

3位に選ばれたのは、ドメーヌ バロン ド ロートシルト サガ R ボルドー ブランでした。サガ R ボルドー ブランは、ドメーヌ バロン ド ロ―トシルト ラフィットが醸造するワインです。DBRラフィット社は伝説の、あのシャトー ラフィット・ロートシルトを擁する会社なのです。1868年からシャトー ラフィットを経営し、長年ラフィットを大切に守り続けながら、様々なワインづくりに挑戦しています。サガ Rのシリーズは名門DBR(ドメーヌ バロン ド ロートシルト)ラフィット社がより多くの人にボルドーワインを楽しんでいただくために発売しました。サガとはフランス語で「伝説」の意味です。ボトルに配された5本の矢のロゴは、DBRラフィット社の高品質なワインづくりの証なのです。サガ Rの産地はフランスのボルドー地方です。白のぶどう品種はソーヴィニヨン・ブラン85%とセミヨン15%です。醸造方法は伝統的な白ワイン製法によってつくられています。ぶどうを圧搾したあと、その果汁はソーヴィニヨン・ブランのアロマを引き立たせるために低温(16℃)で、ステンレスタンクで発酵させます。フレッシュさと酸味を保つため、敢えてマロラクティック発酵は行っていません。色は淡いレモンイエローです。穏やかな柑橘の印象があります。甘やかな香り、丁度べっこう飴を思わせるような香りと、僅かに植物的な印象があります。口に含むと滑らかな果実味とフレッシュな酸味と、ぶどうの完熟による厚みとのバランスの良さを感じさせます。洗練された味わいの、ふくらみのある柔らかな余韻の白ワインです。枝豆とフェタチーズのサラダと合わせた印象は「まとまりの良いマリアージュだなぁ」でした。ワイン単体だと、それほど香り豊かだとは思いませんでしたが、サラダと合わせると、ミントの香りや枝豆やインゲンマメの植物的な印象やグレープフルーツなどの香りがサガ Rとそれぞれ共鳴して強まって感じられました。フェタチーズと枝豆とが白和えタッチになって厚みを感じました。「このまとまりの良さの原動力は何かなぁ・・・・」と悩んでいたら薫先生から「ドレッシングに入れた白ワインの大さじ2杯は、このサガ Rです」との助け舟がありました。「常に」ではありませんが、料理にいれたワインと出来上がった料理とは基本的に良い相性になります。

3rd

ドメーヌ バロン ド ロートシルト サガ R ボルドー ブラン 

ドメーヌ バロン ド ロートシルト サガ R ボルドー ブラン

フランス
ぶどう品種 ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン

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