この料理に合うワイン

レシピに戻る

1st

タヴェルネッロ オルガニコ スプマンテ ロゼ 

タヴェルネッロ オルガニコ スプマンテ ロゼ

イタリア
ぶどう品種 メルロ、その他

今回のレシピは、菜の花と茹で豚のタイ風ピーナッツソースです。菜の花は、広義には一つの植物の名前ではなくて、アブラナ科アブラナ属の花もしくは蕾の総称です。狭義にはアブラナ、もしくはセイヨウアブラナ単体を指す場合もありますが、総称の事の方が多いようです。「菜」の文字自体は食べることが出来る物の意味です。「主菜」「副菜」のように使われる場合などが、その意味で使われています。菜の部首は艸部(くさかんむり)で、それに「采」を組み合わせています。「采」は木(植物)の上に爪(指)が合わせて作られていますので、木の実や野菜などの植物を手で摘み取る様子を表しています。正に「採」集する様なのですね。と、言う事で、「菜」は食物全般の中でも、植物を強めに意識させる文字だと言えます。アブラナ属は、日本の在来種であるアブラナやミズナ、カブ、ノザワナ、コマツナ、ハクサイ、チンゲンサイを含むB. rapa種や、キャベツ、メキャベツ、コールラビ、ブロッコリー、カリフラワー、ケールなどを含むB. oleracea種や、カラシナ、タカナ、ザーサイを含むB. juncea種が主な種で、幅広い野菜が含まれています。「キャベツや白菜が菜の花の仲間なの?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、収穫しそびれて、とうがたってしまったキャベツや白菜は、中心が茎となってグンと伸び、その先に花を付けます。当然、菜の花として食べる事も可能です。ちなみに「とうがたつ」とは、漢字では「薹が立つ」と表記し「薹」とは「茎」の事です。茎が伸びて堅くなった状態を「薹が立つ」と言うのです。アブラナ属にはいろんな品種があります。それはアブラナ属の植物が基本的に、自家受粉出来ない植物なので、簡単に他種間交配や他属間交雑すら起こってしまうからなのです。その性質の為に、アブラナ属の伝統野菜を純粋な形で守るためには、密閉したハウスの中で隔離したり、花粉が飛んでくる可能性のある所からアブラナ属を完全に排除する必要がある場合すらあるのです。冒頭に「菜の花はアブラナ属の花の総称です」と申し上げました。スーパーの店頭で「菜の花」と表記されていても、異なる種のものもありますので色々な風味の菜の花があります。在来アブラナの菜の花は、「安房 菜の花」が有名です。「三重なばな」はセイヨウアブラナです。「のらぼう菜」は東京西部や埼玉県で古くから育てられてきた品種ですがセイヨウアブラナです。「博多な花おいしい菜」は福岡県で育種されましたが、これもセイヨウアブラナ系です。「佐野そだち菜」は在来種であるかき菜です。種から辛子を作るカラシナも菜の花として食べられます。ぴりっとした辛さと、やや強めの苦みがありますので、油で炒めると美味しいです。「オータムポエム」は中国野菜の「紅菜苔」と「菜心」を交配してできた新品種です。アスパラガスに似た食感と風味なので「アスパラ菜」の名前で出荷されることもあります。「オータムポエム」は名前の通り、春だけでなく秋にも出回ります。大田市場に菜の花が一番多く入荷するのは2月で次いで3月や1月です。価格は「はしり」の10月が一番高く、入荷量が増えてくるにつれて値段は落ち着いてくる傾向があります。 この菜の花ですが、雛祭の時期になると、花屋さんの店先に桃の花とセットで販売されている事が良くあります。私が育った関西では菜の花でお雛様を作る「菜の花雛」の風習がありました。もともと雛祭が「桃の節句」と呼ばれる前には、「上巳(じょうし、じょうみ)の節句」と呼ばれていました。「節句」、古くは「節供」の起源は古代中国の「陰陽五行説」に基づいています。陰陽五行説では1.3.5.7.9の奇数を陽の数字(陽数)、2.4.6.8.の偶数を陰の数字(陰数)と考えます。3月3日のように同じ陽数が重なる日は、陽が極にまで上り詰め、陰に転換する日と考え、禊をしました。老若男女関わらず、水辺で、身を清めたのです。それが奈良時代に日本に伝わり、平安時代には、人型に自分の厄災を移し、それを流す事で穢れを祓いました。それが流し雛の原型です。菜の花雛はそれが長く伝わった風習かもしれません。また、禊から典雅な遊びに変化し貴族が水辺に集まる曲水の宴になりました。そして最初は簡単で素朴だった人型は、貴族階級の子女の間で始まった「ひいな遊び」にも使われるようになり、徐々に美しく豪華に進化していき、江戸時代には、段飾りのある雛人形にまで、たどり着きました。江戸時代には、上巳の節句は五節句のひとつとして祝祭日に制定され、桃の節句、ひな祭りと呼ばれて親しまれるようになりました。たべもの語源辞典の清水桂一は「雛祭には菜の花を神にお供えする。菱餅の形は『なたねの花の形』である」と断言していますが、菱餅の形の由来は、はっきりとは判っていません。
 さて、今回の菜の花と茹で豚のタイ風ピーナッツソースですが、ピーナッツソースには、ピーナッツと無糖のピーナッツバターを使いました。味付けはナンプラー、砂糖、ライム搾り汁と、タイのXO醤とも呼ばれるナンプリックパオです。ナンプリックパオは干しエビを沢山使った甘辛い調味料なので、タイ料理以外にもいろんな使い道がありますので、常備されても良い調味料だと思います。
 さて、この菜の花と茹で豚のタイ風ピーナッツソースにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはタヴェルネッロ オルガニコ スプマンテ ロゼでした。「タヴェルネッロ」はブランド自体が販売量世界No.1のイタリアワインブランド※1だけでなく、ブランドオーナーであるカヴィロ社もイタリアNo.1ワイナリー※2です。No.1になる為には、ワイン自体の美味しさと、コストパフォーマンスの高さが必要になります。イタリアのスーパーマーケットの店頭を見ると、タヴェルネッロの紙パック製品であるテトラパックが手頃な価格で陳列されています。カヴィロ社は、何故高品質のワインを手頃な価格で提供できるのでしょうか?カヴィロ社には、「良いワインは、良いぶどうから」の信念があります。そこでカヴィロ社は、高品質のぶどうを大量に確保するために、提携農家に、ある約束をしています。それは「高品質なぶどうであれば、そのエリアの、その品種の平均的な価格に10%上乗せした価格で購入します」というものです。この約束により、ぶどう栽培農家は高品質なぶどうをカヴィロ社に優先的に供給しますし、やる気のある農家は、こぞってカヴィロ社の提携農家になろうとします。では、何故、高いぶどうを使って、コストパフォーマンスの良いワインを販売する事が出来るのでしょうか?それは、サステナブルなワインづくりを究極まで追い求め、それが実を結んだからです。カヴィロ社は創業当時から「持続可能なワインづくり」こそが重要だ、と考え「ワイン界のサステナのトップランナー」になる為の設備投資をずっと続けてきました。イタリアでは、一般的に10kgのぶどうから7リットルのワインを醸造する事が出来て、3kgの残渣(果皮や種などの搾りかす)が出ます。普通のワイナリーは、その3kgの残渣を捨ててしまいます。残渣から堆肥を作ったり、グラッパ業者に売り渡すような、サステナブルに意識の高いワイナリーもありますが、そういったワイナリーでも、再活用はそこまでなのです。カヴィロ社は違います。3kgの残渣から、まずアルコールを分離します。次にアントシアニンなどの色素と酒石酸を分離します。非常に精度の高い設備を導入していますので、これらの副産物は食品・医薬品・化粧品に使用可能な高品質な原料になるのです。更に残った残渣はバイオマス発電に回され、エネルギーやバイオメタンを得ます。そこで発生するCO2も回収して利用します。さらにバイオマス発電の残渣にはリンやカリウムなどが豊富なので、天然肥料に生まれ変わるのです。そして、徹底して利用しつくした残りである廃棄量は、わずか23gです。何も利用せずに捨てた場合の、なんと130分の1の廃棄量なのです。カヴィロ社は、そうしたサステナブル活動で得られたアルコール、色素と酒石酸エネルギーやバイオメタン、天然肥料の売り上げが全体の35%も占めているのです。この売り上げのお陰で、本業のワインをコストパフォーマンス高い価格で販売できるのです。
 タヴェルネッロ オルガニコ スプマンテ ロゼのぶどうはイタリア各地で、有機栽培された黒ぶどうです。低温で丁寧に醸造され、シャルマ法で二次発酵し熟成されます。タヴェルネッロ オルガニコ スプマンテ ロゼの甘辛度はエクストラ ドライで、ブリュットよりは、ほんのりとした甘さをもったやや辛口の味わいです。グラスに注ぐと、美しく淡いサーモンピンクで、肌理の細かな泡が立ち昇ってきます。香りは控えめで、小さな赤いベリーの印象と、ピンクの薔薇を思わせる香りが静かに上がってきます。口に含むと、柔らかさを感じさせる絶妙な甘さを持ったやや辛口で穏やかな酸とのバランスが良いスパークリングワインです。
 菜の花と茹で豚のタイ風ピーナッツソースと合わせると、タイ料理の辛味を持った味わいとイタリアのロゼスパークリングワインとが絶妙にマリアージュしていました。
「美味しいですね」
「どのワインも美味しいのですが、タヴェルネッロ オルガニコ スプマンテ ロゼは、ダントツに美味しいです」
「菜の花のほろ苦さを、ロゼが隠し持った甘さが程良く包み込んでいます」
「菜の花の、春らしい鮮やかな香り立ちは邪魔せず、苦みだけを少しだけ和らげてくれる感じですね」
「豚の脂身が美味しいです」
「ロゼですが、黒ぶどうの特長を持っていますからね」
「ロゼの、味わいのふくらみやコクが豚の旨味を引き立てていますね」
この冬はキャベツやブロッコリーがとても高値でした。そんななか、菜の花の価格は比較的安定しているかと思います。皆様も菜の花を見かけられましたら、是非菜の花と茹で豚のタイ風ピーナッツソースを思い出してください。そしてタヴェルネッロ オルガニコ スプマンテ ロゼとの、お口の中が幸せになるような素晴らしいマリアージュをお楽しみくださいませ。
※1 Shanken's IMPACT DATABANK Review and Forecast 2021
※2 IMPACT DATABANK 2021,dataより

2位に選ばれたのは、サントリーフロムファーム 登美の丘 赤 時のかさねでした。時のかさねは醸造家の吉野弘道が長い間「サントリーらしいアッサンブラージュ」を追い求め続けた結晶です。吉野は登美の丘ワイナリーで醸造家として、ワインの美味しさの本質とは何か?を考え続けてきました。暑い年もあれば、冷涼な年もあります。雨が多い年、乾燥した年、台風が直撃してぶどうの枝が折れる様な年もあります。スティルワインは、そのような天候の差が味わいの差になる事も受け入れて、「そのヴィンテージの表現としての味わいの差」が出る事が当たり前だと思われてきました。当然、どんなに恵まれない天候であっても栽培家も醸造家も最大限良いぶどうをつくり、良いワインをつくる努力はします。でも、人間の技を大きく乗り越えるのが天候の差なのです。
 吉野はウイスキーのブレンダー達と議論するなかでブレンデッドウイスキーは異なる酒齢や異なるモルトをブレンドして美味しいウイスキーをつくり上げている事に気が付きました。「そうだ、ワインも単一のヴィンテージに拘らなくても良いブランドが出来るはずだ」とアッサンブラージュを開始しました。最初は2つのヴィンテージをアッサンブラージュしましたが、思い描くような味わいにはなりませんでした。翌年は3種類で試し、かなり良くなりましたが、まだまだ及第点とは思いませんでした。翌年は栽培家たちと相談して、栽培の所から違う味わいの設計にもトライしました。そうして製品化されたのがサントリーフロムファーム 登美の丘 赤 時のかさねなのです。使った黒ぶどうはプティ・ヴェルド、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、ビジュノワール、カベルネ・フランに初めて醸造したタナも加えました。その他に白ぶどうも6種類入っています。ヴィンテージは4つの年を重ねました。数えてみると結果的に200を超えるキュベを使っていました。色は暗さの中に紫と、ほのかに褐色を含んだ、ちょっと不思議な色調をしています。ラズベリーなどの赤いベリーの印象と濃い色調の果皮を持ったプラムなどを連想させる果実の香りに、熟成が生むドライフルーツの様な風味もあります。ゼラニウムなどの花と僅かにインクのタッチに、オーク樽由来の甘いスパイス感が厚みを加えています。甘くまろやかな果実感と滑らかな酸味とタンニンが調和した優しいワインです。菜の花と茹で豚のタイ風ピーナッツソースと合わせると、菜の花の風味と時のかさねの植物的な要素が共鳴します。豚ロースのコクを時のかさねの穏やかなタンニンが見事にマリアージュして甘味に転換して、味わいの奥行をつくっていました。料理単体で楽しむよりも、ワイン単体で楽しむよりも、二つを合わせた方が「ずっと美味しいなぁ・・・・」と思える素敵なマリアージュでした。

2nd

サントリーフロムファーム 登美の丘 赤 時のかさね 

サントリーフロムファーム 登美の丘 赤 時のかさね

日本
ぶどう品種 プティ・ヴェルド、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、ビジュノワール、その他

3位に選ばれたのは、コルンピオ ソーヴィニヨン・ブランでした。コルンピオは昨年秋に全国発売になった新ブランドです。サントリーのブランド担当者の「ワインを選ぶ基準であるべき“香り”に、今までよりも、もっと焦点を当てる事で、直感的に『自分好みのワイン』を選ぶ事が出来るのではないか?」という提案に、チリ名門ワイナリーのサンタ カロリーナの醸造と栽培の責任者であるIván Martinovicが「そのアイデアは面白い!」と力を貸してくれて共同開発したワインです。コルンピオ ソーヴィニョン・ブランは、冷涼なエリアの品質の良いぶどうを選定し、気温の低い夜間に収穫する「ナイトハーベスト」によりぶどう由来のフレッシュなシトラスのような香りを実現しました。菜の花と茹で豚のタイ風ピーナッツソースと合わせると、ソーヴィニヨン・ブランの柑橘系を連想させる香りが生き生きと強調されました。今回のマリアージュ実験では、コルンピオ以外にもソーヴィニヨン・ブランはあったのですが、菜の花と出会って、青草系の香りが強調され過ぎたものもありましたが、コルンピオはグレープフルーツの印象が強く、爽やかで、とても心地良く感じました。

3rd

コルンピオ ソーヴィニヨン・ブラン 

コルンピオ ソーヴィニヨン・ブラン

チリ
ぶどう品種 ソーヴィニヨン・ブラン

レシピに戻る