この料理に合うワイン

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1st

フレシネ カン サラ  

フレシネ カン サラ

スペイン
ぶどう品種 パレリャーダ、サレーロ(チャレロ)

今回のレシピは、白子ディルフライ 自家製スイートチリソースです。今回は真鱈の白子を使いました。タイ料理の大家、鈴木都先生が考案してくださいました。タイ周辺に真鱈は生息していませんので、日本の素材をつかった都先生のオリジナルタイ料理という訳です。日本では、白子を多く食べます。中でも、真鱈、スケトウダラ、鮭、鮟鱇、ふぐの白子などがよく食べられます。日本で流通量が一番多いのは真鱈の白子ですね。真鱈は、深海500m以上の所、それも、寒い海に生息していますので、先ほども申し上げましたがタイ近辺の海にはいません。

世界でタラ類を一番多く漁獲するのは、ロシアで250万トン、2位がアメリカで210万トン、3位がノルウエーで約180万トン(2018年FAO=Food and Agriculture Organization実績)で、日本は8位です。日本では北海道が圧倒的に多く16万1,000トンで、日本全体の約9割を漁獲しています。2位は岩手で6,100トン、3位は宮城で4,500トンです。(2018年海面漁業生産統計調査 農林水産省)太平洋では茨城辺りまで、日本海では島根辺りまで漁獲があります。卵が孵化するのに最適な温度が5℃だと言われていますので北の海が中心になるのですね。タラは、タラ目タラ科のうちタラ亜科に所属する魚の総称です。日本ではマダラ、スケトウダラ、コマイがタラ亜科に属しています。タラ亜科で最も大きくなるのはタイセイヨウタラで、最大全長2mにもなります。ポルトガルではタイセイヨウタラの塩蔵品をバカリャウと呼び、それぞれの家庭家庭でオリジナルのバカリャウ料理があると言われるほどポピュラーな食べ物なのです。しかし、タイセイヨウタラはポルトガルの近海には生息していません。生息していないタイセイヨウタラが、何故そんなに食べられるようになったのかというと、実は大航海時代の名残なのです。1415年に北西アフリカのセウタを侵略したポルトガルは徐々にアフリカに植民地を広げ、最南端の喜望峰をまわり、ついには1498年にバスコ ダ ガマがインドにまで到達しました。そして、大量のスパイスを持ち帰り、巨大な富を手にしました。その航海の時の食料なのですが、豚や鶏、牛は生きたまま連れて行けば腐りませんが、魚は塩蔵にしたものでないと使えなかったのです。そこで、バカリャウを調達し航海の食料としたのです。

日本の真鱈の旬は12月から3月と言われます。真鱈の白子が一番美味しい期間はもう少し短く1月から2月にかけてです。真鱈の白子の呼び名は各地で様々です。京都では雲子(くもこ)、北海道ではタチやタツです。スケトウダラの白子と呼び分ける時には、真鱈は真ダチ、スケトウダラは助ダチと呼びます。広辞苑によると「たち」とは獣の臓物の事を指す言葉だそうで、旬の真鱈の、お腹いっぱいの白子が臓物に見えたのでかもしれません。青森県ではタヅやタツ、岩手でもタツと呼んだり、菊系の名前で呼んだりします。菊系と言うのは、例えば、鱈菊や菊腸(きくわた)、菊子、菊などです。宮城でも菊系の呼び名が中心です。確かに白い菊の花で、大振りのものは白子の形に似ていますよね。秋田、山形、石川、福井ではダダミとよばれ、新潟ではダラミと呼びます。地元で深く愛されているからこそ、地方名が沢山あるのだと思います。

今回は、ハーブを混ぜたパン粉を纏わせて揚げます。白子は一口大に切り、にんにくをちょっとだけ効かせて、白こしょう、ナンプラーをまぶし20分ほど置いておきます。小麦粉を付けて、卵液にくぐらせて、工程の写真のようにディルを混ぜたパン粉を付けて揚げていきます。スイートチリソースは、日本の米酢を使って自分で作れば、市販のスイートチリソースのように甘すぎて困る事もありません。一度このレシピ通りに作ってみて、砂糖の量を調整されると更に自分好みのスイートチリソースが出来あがります。

この、白子ディルフライ 自家製スイートチリソースにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはフレシネ カン サラでした。フレシネ カン サラは“カヴァ デ パラヘ”に選ばれたフレシネ社の原点とも言えるカヴァです。カヴァ デ パラヘ (特選区画カヴァ)とは、2016年より制定されたカヴァの最高ランクカテゴリーで、グランレセルバの更に上のランクです。ha当たりの制限収量は8,000kg、手摘みが義務付けられ、搾汁率は最大60%、36か月以上の熟成と格付けテイスティングを経て選ばれると法律では定められています。2017年7月以降順次認定ブランドが発表され、現在10ブランドです。フレシネ カン サラのぶどう品種はパレリャーダ、サレーロ(チャレロ)で、瓶内熟成期間はなんと10年以上です。フレシネ社の原点となる自社畑「ラ・フレシネーダ」の樹齢75年の樹のぶどうを使っています。搾汁率も法律よりも2割も厳しい50%、伝統的な木製のプレス機で優しくプレスし、4,000ℓの小型タンクで発酵します。瓶内二次発酵時、通常のシャンパンやスパークリングワインは王冠をして熟成させますが、フレシネ カン サラは天然コルクを使用する拘りぶりです。デゴルジュマン(澱抜き)も手作業で行われます。

マリアージュ実験の時のカン サラは2008年ヴィンテージですので、収穫してから、もう12年以上経過しているカヴァですが、きめ細かい泡が真珠のネックレスのように連なって上がります。黄金色がかっていて、高い熟度を感じさせる外観です。アップルパイや、焼きたてのブリオッシュなどを連想させるリッチでコクのある甘い香りがあります。まろやかで複雑な果実味と、力のある酸で、バランスの取れた、深い旨味のある味わいの素晴らしいカヴァです。

白子をかじると、外はカリカリです。中はとろっとろで、まるでクリームコロッケの様です。

「旨い!クリーム感、半端ないですね」

「カン サラの超長熟で出てくるブリオッシュを焼いたような、香ばしい香りと衣が絶妙に合います」

「衣のパン粉も酵母、カン サラの香りの由来も瓶の中でゆっくりと酵母が自己分解する時の香りですから、そりゃぁ合いますよ!って感じですよね」

「とろとろの白子が美味しいんですよ。生の白子のぷりっとしたのも美味しいのですが、熱が加わる事で味わい深さが増しています」

「その、ねっとりとした、濃い味わいを、カン サラの泡が、シュワシュワさらりと洗い流してリセットしてくれます」

真冬の楽しみの真鱈の白子を使って、白子ディルフライ 自家製スイートチリソースにトライしてみませんか?揚げる時に、クリームコロッケよりも爆発しにくいので、クリームコロッケよりも作り易いと思います。そして、フレシネのカヴァの奥深い味わいとの絶妙の相性をお楽しみください。

2位に選ばれたのはヤルンバ ワイ シリーズ シャルドネでした。ボトルのラベルをご覧ください。ヤルンバ「ワイ」シリーズのラベルには、そのワインに秘められた物語があります。それはヤルンバならではのワイン文化と伝統を紐解く物語なのです。ワインの味わいとともに、その物語もお楽しみいただきたいという思いが込められているのです。物語と一緒に味わうと、そのワインは、もっと花開きます。「あなただけのY(Your Wine)を見つけてください」というメッセージなのです。ヤルンバ「ワイ」シリーズ シャルドネのラベルにはロウバシガンがあしらわれています。ロウバシガンは、オーストラリア南部に生息する絶滅危惧種です。ヤルンバの敷地には森があり、ロウバシガンなどの野生生物が休息をしにやって来るのです。このひっそりと生きているロウバシガンは、ぶどうやぶどう畑にある‘野生’の酵母を象徴しているのです。桃やりんごを連想させる若々しい果実味と、引き締まった酸味、ほんのりとした香ばしさが特長の、旨味のある辛口白ワインです。敢えて樽を使用していないのは、果実本来の素性の良い味わいを、そのままお楽しみいただきたい、と言う思いからなのです。白子ディルフライ 自家製スイートチリソースに合わせると、白子の素直な味わいが、より一層強調されるのが判ります。素朴ながら力のあるヤルンバのシャルドネが、白子の、素材としての旨みを更に豊かなものにしてくれる素晴らしいマリアージュでした。

2nd

ヤルンバ ワイ シリーズ シャルドネ  

ヤルンバ ワイ シリーズ シャルドネ

オーストラリア
ぶどう品種 シャルドネ

3位に選ばれたのは、登美の丘ワイナリー シャルドネでした。今回、マリアージュ実験に使ったのは2019年ヴィンテージ、ヤルンバと違い、タンク熟成67%、フレンチオーク樽熟成33%で、樽のニュアンスも感じられるワインです。熟したリンゴのニュアンスがあり、白い花のタッチも感じられ、次いで穏やかな樽香が現れます。味わいのアタックはふくよかで丸みがあり、凝縮した果実感が口中に広がり、穏やかな酸味が感じられるミディアムボディのワインです。白子と合わせると、バランスの良さが光りました。特に中盤以降の余韻の伸びが素晴らしく、白子の旨みにじんわりと浸れる感じがしました。今回のマリアージュ実験で、シャルドネは登美の丘、ヤルンバの他にウィリアム フェーブルのシャブリとアメリカの樽リッチなシャルドネがあったのですが、登美の丘だけが、ディルとの調和感が強くでていました。同じシャルドネなのですが、それぞれのワインで白子との合い方が全く異なり、やっぱりマリアージュ実験は面白いなぁと思いました。

3rd

登美の丘ワイナリー 登美の丘 シャルドネ 

登美の丘ワイナリー 登美の丘 シャルドネ

日本
ぶどう品種 シャルドネ

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