この料理に合うワイン

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1st

ウィリアム フェーブル シャブリ 

ウィリアム フェーブル シャブリ

フランス
ぶどう品種 シャルドネ

今回の料理は、金目鯛とあさりのレモンバター煮です。日本には鯛の名前がつけられた魚が沢山います。ネットで幅広く魚の記事を掲載されている「市場魚貝類図鑑」には、タイの名称が付いて写真掲載されている数だけで、171種類も収録されていました。魚の研究家によると、「地方名も含むと、総ては、とても把握しきれない。が、多分350位はあるのではないか?」という事です。マダイは、スズキ目タイ科なので、このタイ科に属する鯛が本家筋にあたるのですが、そのタイ科には3つの亜科があります。マダイ亜科、キダイ亜科とヘダイ亜科の3つです。黒鯛やチヌと呼ばれるクロダイはヘダイ亜科、レンコダイとも呼ばれマダイそっくりの形で、少し黄色みが強いキダイはキダイ亜科です。この本家筋のタイは意外に少なく、20くらいしか居ません。鯛と呼ばれる魚でスズキ目には属していてもタイ科では無い魚が、言ってみれば親戚筋の鯛です。イシダイやイトヨリ、アマダイやブダイが代表的な親戚筋で、ここに属する「鯛」が一番多く200くらいは居るそうです。スズキ目ですらないのは、「なんちゃって鯛」なのでしょうか・・・・金目鯛はキンメダイ目、アコウダイはカサゴ目です。キンメダイ科には、イットウダイやヒウチダイなども含まれています。

さて、今回主役の金目鯛ですが、本当に、色の美しい魚です。赤に朱色と金色が混ざった、高貴な感じの色合いです。深海艇で金目鯛を撮影したものを見ると、ぱっちりした大きな目が、漆黒の海の中でギラリと金色に光ります。夜、山道を走っていて、野生動物の眼にヘッドライトが反射する感じです。旬は真冬の12~2月です。肉厚でしっとりとした口当たりで、脂が皮の下だけではなく、筋肉中に細かく入っていますので、身がふっくらとしていて柔らかみがあります。今回は、その金目鯛とあさりをレモンでバター煮にします。レモンの旬は、冬です。国産では、広島県がダントツで全国の半分以上を生産しています。次いで愛媛、和歌山、熊本、佐賀の順です。広島県では、しまなみ海道にある生口島(いくちじま)、高根島と大崎下島が特に有名です。生口島だけで、なんと全国の3割を占めているそうです。生口島には、レモン谷という谷があって、そこにはレモンの石碑まであるそうです。もし、しまなみ海道を旅行される事があったら生口島南側インターを降りて、島の南西の端、一番愛媛県よりの所にあるレモン谷に寄ってみてください。さてレモンは漢字が難しい事でも有名です。檸檬ですよね。昨今レモンサワーが大ブームですので、この漢字が書ける方も増えたのかもしれません。でもレモンを表わすもう一つの難解な漢字の事をご存じの方は少ないのではないでしょうか?「枸櫞」、皆様、これ読めますか?読めなくてもこれに酸がついたものは良くご存じかと思います。そうです、クエン、クエン酸です!クエン酸はワイン用のぶどうに含まれる3つの主要な酸のひとつですよね。キレのある、刺激の強い酸、味わいは梅干しを舐めた時のような、舌下腺がきゅっと収縮するような味わいです。

さて、この金目鯛とあさりのレモンバター煮にテイスティングメンバーが選んだイチオシワインは、ウィリアム フェーブルのシャブリでした。ブルゴーニュ地方のシャブリ地区の地層が形成されたのは今から1億6000万年から1億5000万年くらい前の中生代ジュラ紀の後期、オックスフォーディアンとかキンメリジャンと言われる時代です。当時のブルゴーニュは、暖かく浅い海の底で、様々な生物が生息していました。オックスフォーディアンの時期はアンモナイトや巻貝、キンメリジャンの時期にはエグゾジラ・ヴィルギュラと呼ばれる小さな牡蠣がびっしり岩に張り付いて生息していました。その小さな牡蠣が、特に集中的に沢山いたのが、今のシャブリ グランクリュの畑になっている辺りだと思われます。もちろん、当時の状況は正確にはわかりません。深さが丁度良かったのか、栄養豊かな河口に位置していたのか、理由は正確にはわからないのですが、シャブリ グランクリュの畑になっている辺りの畑の石は、それこそ、重さのほとんどが牡蠣の化石というような部分もあるくらい集中的に集まっていたのです。

今回イチオシに選ばれたシャブリはメゾン ウィリアム フェーブルのシャブリです。フェーブル家がぶどう栽培をしていた、と言う記録が、初めて文書に出てくるのは1750年頃の事で、シャブリ近くのフォントネイ村での事だったそうです。前のオーナーだったウィリアム フェーブル氏が醸した最初のヴィンテージが1959年です。以来、ドメーヌ マラディエールとして、樽の効いた、力強いシャブリを産出し一世を風靡しました。ウィリアム フェーブル氏には後継ぎがいませんでした。ドメーヌを継いでくれる会社を募ったところ十余りもの会社やドメーヌから手が挙がりました。そのなかでウィリアム フェーブル氏が選んだのは、ブルゴーニュの名門ブシャール ペール エ フィスを見事復活させたジョセフ アンリオ氏でした。アンリオ氏は、当時、未だ30代前半だったディディエ セギエ氏をセラーマスターに抜擢しました。ディディエ セギエ氏は、本当に美味しいシャブリを目指して、すぐさま変革に取り組みました。まず、村名シャブリも含め、総てのぶどうを手収穫に変更しました。それもぶどうを傷つけない、小さなプラスチック製の収穫ケースでの収穫を契約農家の区画に至るまで、すべての畑で採用しました。当時ブルゴーニュでこのサイズの収穫箱を使っていたのはロマネ・コンティのみだったと言われています。現在でも、普通に流通している村名シャブリは、機械収獲がほとんどなんですよ。ウィリアム フェーブルが現在所有する畑(貸借契約を含む)は合計78haで、うちグランクリュを15.2haも所有しています。ワインに詳しい方はご存じだと思いますが、グランクリュは全部を足しても、たったの100haしかないのです。また、サステナビリティにも積極的に取り組んでおり、2014年12月には「HVE認証」(ハイレベルな環境配慮型の農法)の最も高いレベル3を獲得しました。

シャブリをグラスに注ぐと、淡いレモンイエローです。グラスからは、清々しい柑橘類を思わせる香りと、土壌を感じさせるスモーキーなニュアンスがあります。辛口で、くっきりとした酸が印象的です。ミネラル感豊かで、うまみを感じる味わい、余韻が長く、つい、もう1杯飲みたくなる深い味わいです。

金目鯛とあさりのレモンバター煮と合わせると、まるで海辺に立っているかのようなヨード香を感じました。

「旨いですねぇ・・・・」

「予想はしていましたが、金目と抜群に合いますね」

「海のコクというか、ミネラルが際立って、素晴らしい相性です」

「村名シャブリとは思えないミネラル感がありますね」

「フェーブルの村名シャブリの所有畑や契約農家の畑は、平地部分は少ないのですよ。プルミエクリュの丘の、北向きの斜面などが多いのです。日当たりの面で、プルミエクリュにはなれない畑なのですが、土壌のポテンシャルは、プルミエクリュ並みの実力があるのです」

「なんで、こんなに金目に合うんでしょうね?」

「土壌がキンメリジャンだから、でしょうかね」

「金目もですが、アサリと抜群に合います」

「ソースにシャブリを合わせると、あとからあとからよだれが湧いてくる感じで、本当に美味しいです」

寒いこの時期、金目鯛は更に美味しくなります。是非旬の、金目鯛とあさりのレモンバター煮を作ってみてください。そしてウィリアム フェーブルのシャブリとの抜群のマリアージュをお楽しみください。

2位に選ばれたのは、ビオンタ アルバリーニョでした。スペイン北西部、大西洋に面したリアス バイシャスでアルバリーニョ種から醸されたワインです。リアス バイシャスは一般の方が、スペインのワイン産地に抱いているイメージとちょっと違います。そんなに暑くはならず、雨が多いのです。リアス バイシャスの中心都市ビーゴの年間降水量はなんと1520mm、東京都の1490mmよりも多いのです。それも大事な収穫期に、しとしと雨が降るのです。以前最優秀日本ソムリエコンクールの優勝者である佐藤陽一夫妻とビオンタのワイナリーを訪れた年では、収獲期間中に雨が降らなかったのは、たったの1日しかなかったそうです。リアス バイシャスは大西洋に面した入り組んだ海岸で、皆様も小学校の頃、社会科で習ったリアス式海岸の語源になったのが、ここなのです。ビオンタのワイナリーからも、入り組んだ海岸線と大小様々な島々がよく見えます。なので、当然の事ながら、ワインは潮風の影響を受けて、海のニュアンスがあるのです。グラスに注ぐと、色は辛口の白ワインとしては、少し濃いめで、黄色に緑が少し含まれる感じです。これは、アルバリーニョ種が、雨の多いこのエリアでも病気にならないように、果皮が分厚く丈夫に出来ているからなのです。香りはリンゴ系、青リンゴから黄色いリンゴを思わせる香りです。時間が経ち、温度が上がると、ピーチや梨、白い花を連想させる香りも出てきます。味わいは、かなりキレのある酸を持った辛口です。ミネラル感があり、塩味と後口にほのかな苦味があるワインです。金目鯛とあさりのレモンバター煮と合わせると、やはり潮の風味が、ぐっと前面に出てきました。ソースとの一体感も素晴らしい、素敵な相性でした。

2nd

ビオンタ アルバリーニョ 

ビオンタ アルバリーニョ

スペイン
ぶどう品種 アルバリーニョ

3位はミオネット プロセッコ DOC トレヴィーゾ ブリュットです。プロセッコは堅調に伸びているスパークリングワイン市場の中でも、絶好調に伸びています。なんと現在、年間で5億本も販売しているのです。かつて首位だったシャンパンが3億本余りですから、数量の大きさがわかりますよね。
ミオネット社は130年以上の歴史を持っている伝統ある会社で、販売数量も世界No.1のプロセッコメーカー※1なんですよ。
ミオネット プロセッコ DOC トレヴィーゾ ブリュットをグラスに注ぐと、元気の良い泡が立ち昇ります。香りは豊かで、軽やかな白い花や、フレッシュなリンゴや白桃を連想させます。口に入れると、やさしい果実味がたっぷりあります。ブリュットながら、柔らかな味わいが広がり、その後にホロ苦さが程良く口の中を引き締める、いかにもプロセッコらしい味わいのワインです。金目鯛とあさりのレモンバター煮と合わせると、柑橘の香りが強調され、その後からバターの風味が漂う、素敵な香りの調和をみせました。
※1 IWSR 2018 International brand

3rd

ミオネット プロセッコ DOC トレヴィーゾ ブリュット 

ミオネット プロセッコ DOC トレヴィーゾ ブリュット

イタリア
ぶどう品種 グレーラ

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