この料理に合うワイン

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1st

ブシャール ペール エ フィス ブルゴーニュ シャルドネ ”ラ ヴィニェ” 

ブシャール ペール エ フィス ブルゴーニュ シャルドネ ”ラ ヴィニェ”

フランス
ぶどう品種 シャルドネ

今回のレシピは、タイ料理のクン サロン、海老の麺巻揚げです。クンはトム ヤン クンのクンと同じで、海老の事ですが、サロンは料理名称ではあまり耳慣れないかもしれません。サロンはマレー半島の民族衣装で、男性が腰に巻いて着用する腰布の事なのです。つまり、クン サロンは海老が麺の腰布を巻いた料理、という訳なのです。タイでも、マレー半島のプーケットあたりでは、とてもポピュラーな料理です。工程写真のように、生めんか、湯がいた乾麺を2本づつ、くるくると巻いていきます。今回は、割と太い麺を使いましたが、細い素麺などで巻いても、とても可愛く出来ます。コツは生めんでも乾麺でも、茹でる時間を、表示されている時間よりも1分短くする事です。両端を留める訳ではないので、外れてしまいそうですが、揚げれば、しっかり固定されますので心配ありません。フライパンに2cmほど油をいれて揚げます。麺がきつね色になったら出来上がりです。

このクン サロンにテイスティングメンバーが選んだのは、ブシャール ペール エ フィス ブルゴーニュ シャルドネ ”ラ ヴィニェ”でした。ブシャール ペール エ フィス社の創業は、なんと今から290年近く昔の1731年です。この年は和暦で言うと享保16年で、徳川吉宗の享保の改革の真っ最中の時代なんですよ。最初はワインの会社という訳では無かったようですが、1775年のヴォルネー カイユレ畑の取得以降ワインの仕事を始めたようです。ブシャール社が飛躍するきっかけになったのは、1789年から始まったフランス革命です。その頃に、貴族や修道院が所有していた広大な畑が革命政府に没収され、民間に払い下げられたのです。その中の、特にポテンシャルの高い畑を次々に購入し、所有面積を広げていったのでした。更に、1820年には、ルイ11世と12世が築いたシャトー ド ボーヌ城を購入、地下を熟成庫とし、現在も使用しています。以降、営々と自家所有畑からワインをつくるドメーヌ機能と、農家からぶどうやワインを買って自らのマークを付けたワインにするネゴシアン機能を果たしてきました。ブルゴーニュでは1970年代には、ネゴシアンものがほとんどで、ドメーヌが自らの名前で販売するドメーヌワインは全体の5%しか無かったと言われています。アンリ グージュ、マルキ ダンジェルヴィーニュ、グリヴォーなどが、1930年頃から、自分の手でもワインを販売するようになり、ゆっくりと、ゆっくりと、ドメーヌものが増えていきました。それが急速に進展したのが1980年台です。ドメーヌものが急増する中、ネゴシアンたちは力を失い、ほとんどのネゴシアンが銀行管理になってしまったと言われています。ブシャール社もその1社でした。1995年、そんな窮状を救ったのがシャンパン メゾン アンリオを所有するジョゼフ アンリオ氏でした。ジョゼフ アンリオ氏は、1640年からワインをつくっていた記録がある、名門のアンリオ家に生まれました。アンリオ家は1808年にシャンパン メゾンになり、今日に至る家族経営のシャンパン メーカーです。ジョゼフ アンリオ氏は、その座に飽き足らず、超大手のルイヴィトン モエ ヘネシーに身を投じました。彼の才覚は素晴らしく、めきめきと頭角を表し、モエ エ シャンドンの副社長を経て、最後はヴーヴ クリコの社長まで務めました、彼の有名な業績のひとつがルイヴィトン モエ ヘネシーを、ヨットレースのアメリカズカップのスポンサーにした事です。その後、アンリオの経営に戻り、1995年からブシャール社の復活に全力をあげました。まず、設備を一新、畑の手入れも徹底、更に1800年台から保管されていた古酒も全部、状態をチェックし、ジョゼフ アンリオ氏のお眼鏡にかなわなかったものは総て処分されたそうです。その甲斐あって、品質はみるみる向上し、世界に名が知れ渡るドメーヌに返り咲きました。2005年にはサヴィーニ・レ・ボーヌに最新鋭の醸造施設であるサン ヴァンサン醸造所を建設しました。地下2階、地上1階のグラヴィティシステムを導入した醸造所で、果実・果汁にストレスを与えない、理想的な環境でワイン造りを行っています。最新型の小型ステンレス発酵槽や「発酵槽のロールスロイス」、とも呼ばれる、特製の木製発酵槽を何台も設置しました。また、2015年には、環境に配慮した農法レベル3の認証を受けました。

ブルゴーニュ シャルドネ ”ラ ヴィニェ” はコート・ドール、コート・シャロネーズ産のシャルドネ種を100%使用。発酵はステンレス・タンクにて行い、一部のワインには樽熟成を施します。品種由来の華やかなブーケと樽由来のバニラ香、チャーミングな果実味と絹のような滑らかさが特長のワインです。

クン サロンと合わせると、海老の味わいが素直に引き立てられるのがわかります。

「海老が無茶苦茶美味しく感じます」

「麺のカリカリの部分の香ばしい感じと、シャルドネが合っていますね」

「今回は有頭海老なので、海老の味噌のコクがラ ヴィニェの味わい深さと良くマッチしているんですよね」

「ワインが更に、味わい深く感じられました」

ワインも料理も、どちらも単体で楽しむよりも美味しく感じられる、幸せなマリアージュだったと思います。皆様が「海老フライ食べたいなぁ・・・」思ったときに、このクン サロンを思い出してください。そして、ブシャール ペール エ フィス ブルゴーニュ シャルドネ ”ラ ヴィニェ”との素敵なマリアージュをお楽しみください。

※HAUTE VALEUR ENVIRONNEMENTALE(フランス農業・食糧省による環境価値重視認定)

2位に選ばれたのはウィリアム フェーブル シャブリでした。イチオシワインと、同じアンリオ家の所有するワイナリーです。このワイナリーの元々の創業者は、ワイナリーの名前にもなっているウィリアム フェーブル氏です。氏はシャブリ生産者組合理事長を長く務めた、エリアでは広く知られた名士でした。シャブリの需要増加に伴い、地区の特徴的な土壌である、キンメリジャン土壌以外のエリアにまでシャブリ呼称を拡大しようとする動きに異議を唱えたり、新世界で作られていた「カリフォルニア シャブリ」等の名称の濫用を提訴、使用を禁止させることで、シャブリの原産地呼称の保護に大きく貢献した人でした。フェーブル氏には、あとを継いでくれる子息は無く、ドメーヌの売却先を募ったところ、なんと16社もの会社が手を挙げました。そんな中でフェーブル氏が選んだ後継者はブシャール ペール エ フィス社の復活を見事成し得たジョゼフ アンリオ氏だったのです。
清々しい柑橘類の香りと、土壌を感じさせるスモーキーな香り。くっきりとした酸。ミネラル感豊かで、うまみを感じる味わい。余韻が長く、もう1杯飲みたくなる深い味わいです。
クン サロンと合わせると、海老の素材としての繊細な甘みがくっきりと浮かび上がってきました。海老のヨードの香りが強調され、食べていて潮風を感じるような素晴らしい相性でした。

2nd

ウィリアム フェーブル<br>シャブリ 

ウィリアム フェーブル
シャブリ

フランス
ぶどう品種 シャルドネ

3位に選ばれたのは、マテウス ロゼでした。イチオシのブシャール程ではありませんが、マテウスもなかなかの古顔です。日本に輸入されたのは、今から46年前の1973年、海外のワインが自由に輸入できるようになったのが大阪万博の頃なので最初の一群という訳です。甘酸っぱい味わいと、美しいロゼカラーで一世を風靡しました。写真をご覧いただくとおわかりのとおり、ボトルの形がユニークです。これは創業者フェルナンド氏が、第一次世界大戦の兵士の腰に下げていた水筒からヒントを得た形なのです。このボトルの形はEUで商標として登録されており、マテウスとフランケンなどのドイツの生産者にしか使用が認められていないのです。
1位のラ ヴィニェや2位のシャブリと違って、マテウス ロゼが光ったのは、クン サロンをスイートチリソースに付けて食べた時です。チリソースの辛さやスパイシーさを、マテウス ロゼの柔らかな甘みが、優しく鎮めてくれるような、包み込むような相性でした。今回のチリソースは市販の、それほど辛くないものでしたが、もっと辛さが強い料理の時には更に力を発揮してくれそうな予感も感じさせてくれました。
ご両親もワイン好きの方がいらっしゃったら、是非、ご一緒に召し上がってみてください。「わぁ、懐かしいわ!」の声が聴けると思います。

3rd

マテウス ロゼ 

マテウス ロゼ

ポルトガル
ぶどう品種 バーガ、その他

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