この料理に合うワイン

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1st

サンタ カロリーナ ソーヴィニヨン・ブラン レセルヴァ 

サンタ カロリーナ ソーヴィニヨン・ブラン レセルヴァ

チリ
ぶどう品種 ソーヴィニヨン・ブラン

今回の料理は、ホタルイカとそら豆のアヒージョです。イカは、頭足綱の十腕形上目に属します。頭足綱の生き物は頭部と胴部に別れます。頭部からは、腕と呼ばれる足が直接生えています。なので、イカの図鑑、例えば「新編世界イカ類図鑑」などの一覧図表を見ると、様々な種類のイカが、足を上に胴部を下に整然と収録されています。日本で食用にされるイカにはスルメイカ、ヤリイカ、ケンサキイカ、スミイカ、アオリイカ、ホタルイカなどがあります。十腕形上目の下には、「イカの骨」とか「船」と呼ばれるカルシウムで出来た浮力体を持つコウイカ目と、開眼目と閉眼目などが属しています。開眼目と閉眼目の違いは目に瞼が有るか無いかです。水晶体の前に透明の瞼のあるのが閉眼目で、水晶体が剥き出しなのが開眼目です。日本で食用になるイカのうち、スミイカはコウイカ目、ヤリイカ、ケンサキイカは閉眼目、スルメイカは開眼目で、本日の食材であるホタルイカは開眼目に属しています。茹でてあるホタルイカを良く見ると、火が通って白くなった水晶体が剥き出しに見えていて、正に開眼目の特徴をあらわしています。ホタルイカは英語ではfirefly squidとかtoyama squidと呼ばれます。fireflyは蛍なので、firefly squidは蛍のイカ、toyama squidは富山のイカです。ホタルイカは日本海から太平洋の一部に分布している、胴長6-7cmくらいの小さなイカです。ホタルの名前は発光する事から命名されました。ホタルイカの発光器は3か所です。左右の第4腕先端に3個づつある発光器が一番強く光ります。胴体の腹側(海底に向いた方)全体には、薄く光る点が広く分布しています。もう1箇所は目の周りで左右に5個づつあります。ホタルイカは通常、昼間は200m-600mくらいの深いところに住んでいます。一般的に海の中で光が届く範囲(有光層と言います)は500m程度と言われます。当然、海の水の透明度によって大きく変化しますので、幅はあると思われますが、ホタルイカの住んでいるエリアは、下から上を見上げると、ぼおっと、薄明るいと考えられます。胴体の海底側の発光器は、敵が海底サイドから見上げた時に、上方に見えている明るさと同じ程度に光る事によって、自らの姿を消している、まるで忍術のような発光なのです。一方、第4腕先端の発光器は、敵に襲われた時に、一瞬だけ光り、そして直ぐに光を消します。その瞬間にジェット噴射のように漏斗から水を吐き出して位置を変えて逃亡するという、こちらも忍術さながらの技なのです。

そら豆はマメ科ソラマメ属の植物です。地中海周辺からカスピ海にかけての、どこかが原産であろうと推測されていますが諸説有り、まだ確定していません。中国には今から3000年くらい前に伝わり、日本には奈良時代に伝わったと言われています。漢字では空豆、天豆や蚕豆と表記します。空豆の「空」は空に向かって実が付くからだと言われています。1月くらいから少しづつ流通し始めて3月くらいからぐっと量が増えて価格も手ごろになり、出盛りは5月くらいです。今回はこのホタルイカとそら豆をアヒージョにしていただきます。アヒージョは日本ではかつて馴染みの無い料理でしたが、スペインバルブームの頃に一般的になったスペイン料理です。直訳すると小さなニンニクです。刻んだニンニクとオリーブオイルで具材を煮込んだ料理ですが、耐熱の分厚い陶製の皿ごとオーブンに入れて、そのまま提供されることが多いです。

さて、このホタルイカとそら豆のアヒージョにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインは、サンタ カロリーナ ソーヴィニヨン・ブラン レセルヴァでした。サンタ カロリーナ社は、チリの首都サンティアゴで1875年に設立された会社です。創業者はルイス・ペレイラ・コタポス氏で、ワイナリーの名前は、最愛の妻カロリーナ夫人の名に由来しています。今も使われているセラーは1880年にフランス人建築家 エミリオ・ドワイエール氏が設計し建設されました。なんと1973年には、国定記念建築に指定された、伝統と格式のある建物なのです。2005年以降サンタ カロリーナ社は、更なる品質向上を目的に、ぶどう栽培から醸造技術に至るワインづくりのプロセス全体に多大な投資を実施しました。サンタ カロリーナ社のワインづくりに対する真摯な姿勢と、現在のチーフワインメーカー アンドレス・カバレロ氏率いる醸造チームのワインづくりに対する情熱が結晶したのが、このワインです。ぶどうはサンティアゴから70kmほど西に行ったレイダ・ヴァレーDO産で「コスタ」と呼ばれる太平洋の影響を直接受けた冷涼な気候のエリアで栽培されています。ワインを注ぐと、グレープフルーツやライム、パッションフルーツなどを思わせる、瑞々しい果実の香りに、カシスの芽のニュアンスがあります。熟した果実味と、爽やかな酸を併せ持った、滑らかでフレッシュ感のある辛口白ワインです。ホタルイカとそら豆のアヒージョと合わせると爽やかさを強く感じます。フレッシュなグレープフルーツの皮を剥いた時に広がる、あの爽やかな印象です。

「清々しい緑のニュアンスが、グッと強まります。そら豆の独特な個性的な香りやエキストラバージンの香りが強調され、前面に出てくる感じですね」

「酸も強調されて、生き生きとしたニュアンスが強まります」

「アヒージョって、バゲットにオリーブオイルも沢山乗っけて食べるから、油っぽくなりがちなんですが、この組み合わせは心地良いですね」

「イカの素朴な甘みもくっきりと判りますし、良いマリアージュだと思います」

皆様も、旬のホタルイカやそら豆をアヒージョで試してみませんか?そしてサンタ カロリーナ ソーヴィニヨン・ブラン レセルヴァとの抜群の相性をお楽しみください。

 

2位に選ばれたのは、ウィリアム フェーブル シャブリです。「牡蠣とシャブリ」の組み合わせの素晴らしさは、ワインファンのみならず、多くの人が知るところです。シャブリは貝類だけではなく、白身の魚や甲殻類、そしてタコやイカとも相性抜群です。ホタルイカとそら豆のアヒージョと合わせると、ホタルイカの濃厚な肝のコクが強調されるのを感じました。リッチな旨みがシャブリのミネラル感と共に広がり、その後にイカの身の繊細な甘みが余韻として漂う感じです。そら豆の、少しぽくぽくした口あたりがシャブリと出会うと甘くほどけて、口の中にそら豆の味わいが広がります。なかなか素敵なマリアージュでした。

2nd

ウィリアム フェーブル シャブリ 

ウィリアム フェーブル シャブリ

フランス
ぶどう品種 シャルドネ

3位に選ばれたのは、ヴューパープ白です。2月1日に日本とEU(欧州連合)とのEPA(経済連携協定)が発効しました。それにより、欧州から輸入されていたワインの関税が即時撤廃となり、その分だけ以前よりもお買得価格で購入できるようになる可能性があるのです。このヴューパープは、なんと80年以上もフランスの家庭で愛される、No.1フランスワイン(*1)なんですよ。しかも、この春にモデルチェンジして中身がグレードアップされたばかりです。果実味が感じられるフルーティーな風味です。口に含むと辛口で、程よい酸味がある、爽やかな味わいのワインです。ホタルイカの風味に寄り添う感じで、爽やかさを添えるマリアージュでした。クセが無いワインで、前回掲載の「ホイ オッブ タクライ 蛤のタイハーブ蒸し」ではイチオシに選ばれていました。幅広い料理、特に素材の繊細な味わいを引き出したい時に、使い勝手の良いワインだと思いました。
(*1)IRI FRANCE 2017データ フランス国内地理的表示のないワイン年間販売数量 ヴューパープブランド計

3rd

ヴュー パープ フランス 白 

ヴュー パープ フランス 白

フランス
ぶどう品種 コロンバール、
ユニ・ブラン

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