この料理に合うワイン

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1st

エスプリ ガシエ コート ド プロヴァンス ロゼ

エスプリ ガシエ
コート ド プロヴァンス ロゼ

フランス
ぶどう品種 グルナッシュ、サンソー、シラー、ロール

今回の料理はタコと新じゃがいものジェノベーゼです。タコは軟体動物で頭足類に属しています。頭足類はざっくり言うと、体が頭と足で構成されているグループで、現在の分類学では頭足綱と呼ばれています。8本足のタコ、10本足のイカ、オウム貝と、絶滅してしまったアンモナイトが属しています。アンモナイトはワイン産地と深い繋がりがあります。ブルゴーニュ地方のシャブリ地区は牡蠣の化石が有名ですが、大きなアンモナイトも、時折出てくるそうです。コート ド ニュイ地区やコート ド ボーヌ地区、マコネーでも、場所によってはかたまって出てくる所があります。私もペルナン・ヴェルジュレスでアンモナイトが、5,6個くっついた塊を見た事があります。花崗岩質主体と言われるボジョレー地区でもサンタムールの村やボジョレー地区最南部のエリアではアンモナイトの化石が出土します。ロワール地方もあちこちにアンモナイトはあります。サンセールやシノン、ヴーヴレィあたりではポピュラーです。シャンパーニュ地方ではアヴィーズやクラマンの生産者を訪れるとカーヴに飾ってあったりします。コート デュ ローヌ地方やプロヴァンス地方にもアンモナイトはあり、ニースの北、アルプスの麓のディーニュレバンにはびっしりとアンモナイトばかりが集まった「アンモナイトの壁」が縦横20m四方に広がっている所があります。この壁を石膏で型取りしたレプリカが釜石市の鉄の歴史館に飾られていて、大きいものでは直径50cmもある立派なものもあるんですよ。オーストリアのヴァッハやイタリアのヴェネトにも沢山アンモナイトがあります。ソアーヴェに程近いヴェローナの街を歩くと、街のあちらこちらの大理石にアンモナイトを見つける事ができます。イタリアの大理石は日本にも多数輸入され壁材として使われており、日本橋三越本店の巨大なアンモナイトは、特に有名です。日本では北海道の音威子府周辺や福島県のいわきでなどで、多数出土します。もしかすると、このあたりは、土壌的には、ワインづくりに向いているのかもしれません。

アンモナイトの話が長くなりましたが、今日の主素材はタコです。タコは非常に知能が発達しており、運動能力も優れています。よく、「タコはデビルフィッシュと呼ばれて、日本人以外の国では、あまり食べない」と仰る方がいますが、多少誇張です。確かに宗教的に食べない方々も多くいらっしゃいます。例えば旧約聖書のレビ記11章に、「海でも川でも、すべて水に群生するもの、またすべて水の中にいる生き物のうち、ひれやうろこのないものはすべて、あなたがたには忌むべきものである」とされています。これを厳密に守るとイカ、タコはもちろん、海老、カニ、ウニ、アワビ、ホタテ、ハマグリ、アサリなどは食べる事ができません。大変厳しい戒律ですね。ヨーロッパではギリシヤやスペイン、ポルトガル、イタリアやフランスでタコを食べます。特に地中海沿岸は、よく食べる感じです。今日はこのタコと新じゃがいもをジェノベーゼにします。ジェノベーゼソースは日本では、バジルを使った北イタリア、リグーリア州ジェノヴァ生まれのソースを指します。しかし、イタリアでは違うのですよ。試しにwikipediaでGenovese sauceを検索してみましょう。見慣れぬ茶色いソースが出てきます。解説のRegion or stateを見ると、なんとリグーリア州ではなく南イタリアのカンパーニア州で、主材料は玉ねぎとなっています。こちらのほうがイタリアでは、本家ジェノベーゼソースで、バジルを使ったソースはペストジェノベーゼと呼ばれるのです。今回のレシピのほうのジェノベーゼソース=ペストジェノベーゼは通常、バジル、松の実、ニンニク、チーズをすり潰して作りますが、今回は松の実の代わりにくるみを使いました。ソースをつくっておけば、主素材は火を通して和えるだけです。鶏肉やパスタ、サラダにも使えますし、ある程度日持ちもする便利なソースです。

このタコと新じゃがいものジェノベーゼにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインは、エスプリ ガシエ コート ド プロヴァンス ロゼでした。ロゼワインは日本以外の国では良く売れるワインです。フランス国内消費量を色別にみると、ロゼ比率は、なんと3割以上で、もちろん白ワインよりも多いのです。なかでもプロヴァンスは、フランスAOCロゼで最大(※1)の産地で、なんと38%も占める産地なのです。

ボトルをご覧ください。美しいミレニアルピンクです。ラベルには矢車草、クレマチス、釣鐘草など、プロヴァンスに咲く花々が描かれています。このラベルですが、Forbesが選んだ「2016年クールなワインラベル10」に選ばれているそうです。つくり手であるメゾン ガシエは、セザンヌが何枚も描いたことで有名なサン・ヴィクトワール山の麓にあります。ぶどう品種はグルナッシュ 55%、サンソー 25%、シラー 15%、ロール 5%です。酸化を防ぐ低温発酵、熟成を経てつくられるロゼは世界50カ国に輸出され、ホテルやレストランで愛されているそうです。

グラスに注ぐと、美しいロゼカラー、少し淡いサーモンピンクくらいの色合いでしょうか・・・・・

ラズベリーを思わせる可愛らしい香りや、ピンクのバラのイメージがあります。口に含むと辛口で、フレッシュなベリーをほおばったような、クリスプな味わいです。タコと新じゃがいものジェノベーゼと合わせると、非常にしっくりとくる印象があります。

「うん、素直に美味しい組み合わせですね」

「そうですね、爆発的に美味しい、と言う感じでは無いのですが、すんなりと馴染んで、しみじみ美味しい・・・・田舎に帰ってきて、お母さんの料理を食べている時みたいな雰囲気です」

「タコも、じゃがいもも、素直に味わいを表現しています。ロゼは邪魔をせずにバランスを上手くとっている感じです」

ワインと食材をいろいろ合わせていくと、鴨とピノ・ノワールやシェーブルチーズとソーヴィニヨン・ブランのように、物凄くびたっと合う組み合わせに出会います。往々にしてそういったワインは、合わない食材とは激しく反発する事があります。「凄く合う」と「激しく反発」は両刃の剣なのかもしれません。このロゼは、その逆のような気がしました。全体を包むように柔らかくバランスをとる。ロゼの万能性を見る気がしたティスティングでした。

※1:(出典)プロヴァンスワイン委員会

2位に選ばれたのは、ヤルンバ ワイ シリーズ ソーヴィニヨン・ブランです。ヤルンバはオーストラリア最古級の家族経営ワイナリー、5世代に渡ってワインをつくり続けてきました。1849年にイギリスの移民サミュエル・スミスが12歳の息子シドニーと共に月明かりの下でぶどうを植え、‘ヤルンバ(先住民の言葉で「すべての土地」)’と名付けたのが始まりです。今年で、なんと170年目を迎えます。ワイナリーは南オーストラリア州のバロッサにあります。ワイ シリーズは、ヤルンバのYであるとともに「Your Wine」(あなただけのワイン)を見つけてほしいというメッセージが込められているそうです。ソーヴィニヨン・ブランはキウイフルーツや青草を連想させるフレッシュな果実味と、しっかりとした酸味が特長の、爽やかな味わいの辛口白ワインです。タコと新じゃがいものジェノベーゼと合わせるとバジルのいきいきした香りが引き立ちました。しかも、緑の要素だけが強調される訳ではなく、柑橘や桃などの果物を思わせる香りも同時に強調されて華やかでゴージャスな香り立ちになりました。

2nd

ヤルンバ ワイ シリーズ ソーヴィニヨン・ブラン

ヤルンバ ワイ シリーズ
ソーヴィニヨン・ブラン

オーストラリア
ぶどう品種 ソーヴィニヨン・ブラン

3位には、ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブランが選ばれました。2位に選ばれたヤルンバと同じソーヴィニヨン・ブランです。バジルの香りが強調されるところは同じなのですが、ロス ヴァスコスのほうがずっと強く強調されました。まるでバジル畑の真ん中でバジルの葉っぱを何枚も口に入れて噛んだような感じです。その香りの強調がありながらも、タコの味わいは非常にくっきりと感じられます。タコのクセが無く繊細な味わい、素材そのものが持つ優しい甘味がはっきりと感じられました。ソーヴィニヨン・ブランのグレープフルーツの皮の白い部分を舐めた時のような苦味も、少し強調される大人のマリアージュでした。

3rd

ロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブラン

ロス ヴァスコス
ソーヴィニヨン・ブラン

チリ
ぶどう品種 ソーヴィニヨン・ブラン

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