この料理に合うワイン

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1st

サントリー 塩尻ワイナリー 塩尻マスカット・ベーリーA

サントリー 塩尻ワイナリー
塩尻マスカット・ベーリーA

日本
ぶどう品種 マスカット・ベーリーA

今回の料理はレンコンと里芋と手羽先の煮物です。レンコンは漢字で書くと蓮根、ハスの地下茎です。ハスはヤマモガシ目ハス科の水生植物で、ハスの名前は、花の種子がつく花托の部分がアシナガバチの巣の形のように見える事からハチス、そこからハスとなったようです。英語ではロータス=lotus、フランス語でも同じ綴りでロチュスと発音します。ちょっとややこしいのですが、ロータスはエジプト原産のスイレンの1種の名前から来ています。スイレンはスイレン目の植物ですので、ハスとは、葉や花びらの形状は似ていますが、親戚でもなんでもないのです。ヨーロッパでは、一般的にハスとスイレンを厳密には分けません。なので、目すら異なる違う種類の名前がそのままになっているのです。レンコンには沢山の穴があります。真ん中に1つ、そのまわりに円状に8-9個程度の穴が並んでいます。この穴は導管です。植物には導管がいくつもあり、小学校の理科で習った道管と師管も導管の1種です。根から吸い上げた水分や養分を運ぶ管が道管、葉で作った栄養を運ぶのが師管です。レンコンの穴は空気を運ぶ導管です。レンコンが育つのは、分厚い泥の中です。分厚い泥の中には植物が利用出来る状態の酸素がほとんどありません。この厳しい環境に適応する為に、ハスはレンコンや根っこに空気を送る事が出来るように穴を発達させたのです。あの穴は茎にもあってハスの葉の気孔にまで通じているそうです。蜂の巣のように見える、花の実がつく部分もこの導管が変化したものです。ハスは他の植物達が生きていけない分厚い泥の中に地下茎を太らせ、そこに繁茂する事に成功したのです。今回のレシピでは、このレンコンと里芋と手羽先を煮物にしました。

このレンコンと里芋と手羽先の煮物にテイスティングメンバーが選んだイチオシワインは新発売したばかりのサントリー 塩尻ワイナリー 塩尻マスカット・ベーリーAでした。マスカット・ベーリーAは、「日本のワイン用ぶどうの父」と呼ばれている川上善兵衛が1927年に交配した品種です。川上善兵衛は越後高田の豪農の跡取り息子として生まれました。越後高田は日本有数の豪雪地帯です。みなさんも社会科の教科書で、2階に出入り口が設置されている家や、雁木の様子をご覧になった事があると思います。雁木は通り沿いの町家が軒を延ばして、お互いに重なり合い、雪が積もったときにでも、その空間を通行できるようにしたものです。川上善兵衛は幼い頃から、小作人達が冬場の出稼ぎに出たまま戻ってこないのを、何回も何回も見て育ちました。大きくなるにつれて、その原因が、冬の越後高田に仕事が無いからであると考えるようになりました。善兵衛は悩みました。雪深い越後高田の地に、冬出来る仕事はあるのだろうか?・・・・ある時「ワインづくりなら、きっと冬の仕事もあるに違いない!」と思い立ったのです。彼はすぐに、自宅の美しい庭を壊して畑にしました。フランスからわざわざ欧州系のぶどうの苗を取り寄せて植えてみましたが、育ちません。アメリカからの苗は育つのですがワインにすると美味しくありません。苦闘を続けるうちに、メンデルの法則を知り、自分で新しい品種をつくり上げる決意をしました。師とも仰ぐ勝海舟からは「志は素晴らしいが、おこもさん(乞食)にだけはなるなよ」と諌められましたが、それでも挑戦を止めませんでした。生涯に12,000種類を交配し、そのなかで出来た傑作がマスカット・ベーリーAだったのです。そのマスカット・ベーリーAは、2013年にはO.I.V.(国際ぶどう・ぶどう酒機構)に品種登録され、EUに輸出するときに品種を記載する事が出来るようになりました。このように、善兵衛が日本のワイン用ぶどうづくりに与えた影響は大きく、「日本のワイン用ぶどうの父」と呼ばれているのです。農林水産省生産局園芸作物課「平成25年産 特産果樹生産動態等調査」によると、日本で栽培されているぶどうの面積の上位は、第1位巨峰が34%、2位デラウェアが18%、3位ピオーネが16%、4位、5位がキャンベルアーリーとシャインマスカットで4%、6位、7位がナイアガラとマスカット・ベーリーAで3%です。このうち、2位のデラウェアと5位のシャインマスカット以外はすべて、善兵衛がからむ品種なのです。合計するとなんと全体の6割にもなるのです。勝海舟の諫言にも関わらず、この研究には莫大な資金が必要で、屋敷から高田の駅まで、他人の土地は踏まなくても行けるといわれた財産も総て失いました。救いの手を差し伸べたのは寿屋(現在のサントリー)の鳥井信治郎でした。赤玉が爆発的に売れていた寿屋は、国内にぶどうの供給の基地が必要でした。信治郎は、どこかに良い生産者は居ないか?と、発酵、醸造に関する研究では世界的権威の一人で、「酒の博士」として知られた坂口謹一郎先生に相談しました。坂口謹一郎の紹介で会った二人はたちまち意気投合しました。信治郎は善兵衛の総ての借金を肩代わりし、ぶどう園を買い取り、善兵衛は1936年に寿屋が相次いで設立した山梨農場(現在の登美の丘ワイナリー)と塩尻ワイナリーでのぶどう栽培の技術指導をしました。3代目の山梨農場長である川上英夫氏は善兵衛の娘婿なのです。

グラスに注ぐと、明るいルビー色が美しいです。香りはフランボワーズのような赤系の果実、イチゴキャンディを連想させる香りもあります。ほんのりと樽由来のロースト香と、ちょっと「アーシー」というか土っぽいニュアンスを感じさせる複雑な香りが感じられます。アタックで程良い酸を感じ、その後自然な甘味が口中に広がり、心地良いタンニンが余韻に残るワインです。

レンコンと里芋と手羽先の煮物と合わせると、鶏肉の穏やかな旨みと良く調和しています。レンコンや里芋の独特な根菜の香りと、マスカット・ベーリーAが持っているアーシーなタッチがぴったりと合っています。

「しみじみと美味しい組み合わせですね」

「根菜の煮物は、日本人の言ってみればソウルフードです。マスカット・ベーリーAの素朴な味わいと良く合っています」

「お醤油とマスカット・ベーリーAも良い感じですね」

根菜とマスカット・ベーリーAの「大地の力」同士のマリアージュを実感したテイスティングでした。

2位に選ばれたのは、ブーケ ド フロリア シラーズ/ヴィオニエです。ブーケ ド フロリアは「楽しいときに花をそえて」をコンセプトにオーストラリアのヤルンバ社とサントリーが共同開発した新製品です。ヤルンバ社はNo.1オーストラリアワイナリー(※)に輝いた実力のある名門です。このブーケ ド フロリア シラーズ/ヴィオニエは、滑らかな果実感のあるシラーズと華やかな香りを与えるヴィオニエをブレンドしました。ヴィオニエはフランス ローヌ地方北部のコンドリュー村原産です。もともとアロマティックな品種として知られ、フランスのコート デュ ローヌ地方では、赤ワイン用ぶどうのシラー(オーストラリアではシラーズと呼ぶ)に少量の白ワイン用ぶどうのヴィオニエを混ぜて華やかな香りを引き出すという醸造方法を伝統的に行っています。シラーズの力強い凝縮感と根菜と鶏肉の旨みとが良くマッチしていました。ヴィオニエの完熟した黄色い果物を連想させる華やかな香りが柚子の香りと上手くハーモニーを生み出している優れたマリアージュでした。

(※)マシュー・ジュークス著「100のベスト・オーストラリア・ ワイン2015/16版」にて、その年の最優秀ワイナリーに授けられる「ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」を受賞

2nd

ブーケ ド フロリア シラーズ/ヴィオニエ

ブーケ ド フロリア
シラーズ/ヴィオニエ

オーストラリア
ぶどう品種 シラーズ、ヴィオニエ

3位もブーケ ド フロリア、その白バージョンであるシャルドネ/ヴィオニエでした。すっきりとふくよかなシャルドネに華やかな香りを与えるヴィオニエをブレンドしました。シラーズ/ヴィオニエと同じく女性チーフワインメーカーであるルイーザ・ローズが監修しました。彼女は豪州ワイン研究所の議長も兼任し、2014年8月号の「Good Food Magazine」で、オーストラリアワインメーカーTOP10の中の、栄えある第1位を獲得した、ヴィオニエの生産者として世界的に名の知れた存在です。辛口でありながら、華やかな香りで、まろやかな味わいのワインに仕上げました。レンコンと里芋と手羽先の煮物と合わせると、ヴィオニエの華やかな香りが柚子とマッチし、すっきりとふくよかなシャルドネの味わいが鶏を包み込むように調和していました。

3rd

ブーケ ド フロリア シャルドネ/ヴィオニエ

ブーケ ド フロリア
シャルドネ/ヴィオニエ

オーストラリア
ぶどう品種 シャルドネ、ヴィオニエ

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