この料理に合うワイン

レシピに戻る

1st

ジョルジュ デュブッフ ムーラン・ナ・ヴァン

ジョルジュ デュブッフ
ムーラン・ナ・ヴァン

フランス
ぶどう品種 ガメ

今回のレシピは、カツオと揚げなすのタルタルステーキ 生姜風味のサワークリーム添えです。カツオはスズキ目サバ科の魚です。サバ科の下にはサバ族、サワラ族、マグロ族などがあり、カツオはマグロ族に、分類されます。英語のツナ(Tuna)はこのマグロ族全般を指していますので、いわゆる「ツナ缶」の材料にはビンナガマグロやキハダマグロ、カツオ、ソウダガツオなどが使われるのです。カツオは日本では重要な魚資源で、古くから日本人に親しまれてきました。古い文献ではカツオを干物にしたカツオ節の原形であろうと推測される「堅魚(かたうお)」、「煮堅魚」、濃縮つゆの素とも言えそうな「堅魚煎汁(かつおのいろり)」などが8世紀の古文書に登場します。江戸時代には初カツオを尊ぶ俳句や、歌舞伎役者が一尾三両というとんでもない高値で購入した記録があります。日本人は昔からカツオが大好きだったのです。

カツオは日本の南の熱帯エリアで産卵し、稚魚は黒潮に乗って徐々に北上します。初カツオは春から初夏の北上の途中に漁獲されたもので、脂はあまり乗っておらず、あっさりとした味わいです。獲られなかった小さいカツオは北上を続け、黒潮と親潮がぶつかり、プランクトンの豊富な三陸地方沖で夏を過ごし成長します。親潮の勢力が強まる秋口に南下を開始、これが戻りカツオと呼ばれる脂の乗ったカツオになるのです。今回はそのカツオを揚げなすやミニトマト、きゅうりなどと一緒にセルクル型にいれて、まるでケーキのようなタルタルステーキ仕立てにします。タルタルステーキはヨーロッパの人たちがモンゴルの遊牧民を呼んでいた「タタール」から転じたと言われています。騎馬民族ですから、タルタルステーキの材料は、もともとは馬肉だと言われていますが、現在では牛やそのほかのいろいろな素材でつくられます。このタルタルステーキにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはジョルジュ デュブッフ ムーラン・ナ・ヴァンでした。デュブッフ社のジョルジュ デュブッフ社長は1933年ブルゴーニュ地方マコネー地区のプーイィ・フュイッセ村で生まれました。今年で83歳になります。幼い頃に父を亡くし、11歳年上の兄、ロジェにぶどう栽培を教わりました。初めて自分でぶどうを育てたのは10歳の時だそうです。デュブッフ少年の鼻は素晴らしく鋭敏で、周りの大人たちが驚くほどだったそうです。青年になったデュブッフは自分の村であるプーイィ・フュイッセ周辺の優秀な農家の白ワインを自転車に積んで、リヨンなどのレストランに売り込むようになりました。デュブッフのワイン選びの確かさを知ったシェフ達はマコネーの白ワインだけでなく、赤ワインの美味しいものもデュブッフに持って来て欲しいとリクエストしました。デュブッフが選んだ赤ワインはボジョレーでした。これがきっかけでデュブッフ氏はボジョレーに本拠地を移しデュブッフ社を興したのです。1950年代のボジョレーは瓶にも詰めて貰えないワインでした。樽のまま大消費地であるリヨンに運ばれ、カラフェで、がぶがぶ飲まれるワインだったのです。デュブッフ氏はその玉石混交のボジョレーから良い造り手を選び抜き組織化し、軽やかで心弾む美味しいボジョレーを世界中に知らしめました。また、村単位の収穫祭だったプリムール(新酒)を解禁イベントにプロデュースしました。11月15日を解禁日とし、その午前0時までボジョレー地区から運び出す事を禁止、午前0時とともに何十台ものトラックがパリに向けて爆音を轟かせて出発する・・・・1967年の事でした。パリに到着したボジョレー ヌーヴォーはポスターとともに酒屋に運び込まれ、そのポスターには「Le beaujolais nouveau est arrivé!ボジョレー ヌーヴォー エ タリヴェ!」(ボジョレー ヌーヴォーただいま到着!)の文字が・・・・・

翌年にはニューヨークまでコンコルドで運んだり、ヘリコブターからボジョレー ヌーヴォー エ タリヴェ!!の白幕とともにパラシュートで飛び降りたりする演出をしました。こうしてボジョレー ヌーヴォーの解禁イベントは世界中で大人気になりました。日本でも旬を尊ぶ気風と、時差の関係で、世界で最初に解禁を迎える事などがあいまってヌーヴォーブームが起きました。今日では世界第一位のボジョレー ヌーヴォーの輸入国になりました。あまりにヌーヴォーが売れすぎたために日本では不思議な誤解さえ起きました。その誤解とは「ボジョレー ヌーヴォーがもともとあって、その残ったものがボジョレーである」というものです。ワインに詳しい読者の皆さんはそんな誤解はされていないと思いますが、簡単にボジョレー地区の原産地呼称のおさらいをします。ボジョレー地区のACは3層構造になっています。地区全体に広がる原産地呼称がボジョレーACです。ボジョレー地区の北部38村のワインは品質が優れているのでボジョレー ヴィラージュACという別の名前を与えられています。ボジョレーACとボジョレー ヴィラージュACの一部分の新酒がボジョレー ヌーヴォー、またはボジョレー ヴィラージュ ヌーヴォーと呼ばれる訳です。さらに品質優秀な北部のボジョレー ヴィラージュACのなかの10の特別に美味しいクリュがクリュ ボジョレーの特別な名前を貰っているのです。今回イチオシに選ばれたムーラン・ナ・ヴァンは10の特別に美味しいクリュにクリュ ボジョレーのなかでも特に優れたワインとして有名です。ムーラン・ナ・ヴァンの畑の土壌はガメ種に最適とされる花崗岩が崩れた粗粒砂が主体です。昔は村にマンガンの鉱山もあったくらいなので、マンガンやその他の鉱物成分を多く含んでいるのです。ムーラン・ナ・ヴァンをグラスに注ぐと美しいルビー色です。グラスからは、黒いさくらんぼ、カシス、ラズベリー、いちごなどの果実を思わせる香りが漂ってきます。はっきりしたスミレやアイリスのイメージ 、こしょうやリコリスなどのスパイシーな印象があります。カツオのタルタルステーキと合わせると、カツオの鉄っぽい味わいと良く合います。

「カツオの血っぽい味わいが強調されます!私は大好きです!!」

「香りの段階で、既にマリアージュしているのが判ります」

戻りカツオの赤身の組織に組み入れられた上質な脂がムーラン・ナ・ヴァンのきめ細かなタンニンと出会って甘味に転換します。

「動物性脂肪とタンニンのお手本のようなマリアージュですね」

プチトマトの爽やかな酸味とムーラン・ナ・ヴァンの穏やかな味わいとも良くマッチしていました。今がちょうど旬の戻りカツオ、是非タルタルステーキに挑戦してみてください。そしてジョルジュ デュブッフ ムーラン・ナ・ヴァンを、合わせてみてください!!

 

2位に選ばれたのはチェザーリ アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコでした。アマローネはぶどうをアパッシメント(陰干し)してつくったヴァルポリチェッラです。アパッシメントはイタリアで時々見かけるつくり方で、収穫後のぶどうを木箱やスノコの上で陰干しすることで、濃縮させ、その果汁を仕込むことで力強いワインをつくる方法の事です。ロンバルディーア州ではスフォルツアートと呼ばれます。ヴェネト州ではヴァルポリチェッラをアパッシメントするとアマローネ、ソアーヴェだとレチョートと呼ばれます。トスカーナ州ではヴィン サント(聖なるワイン)と呼ばれます。今回2位に選ばれたチェザーリはイタリア最優秀生産者賞 受賞ワイナリー※1にも選ばれたアマローネの最優秀生産者です。ぶどうの品種はコルヴィナ 75%、ロンディネッラ 20%、モリナーラ 5%です。4ヶ月陰干しすることで、ぶどうの重量は40%も減ります。それだけ濃厚な果汁になるわけです。陰干しするときに、重要なのはぶどうが健全であることです。4ヶ月間も陰干ししますからカビが潜んでいたらあっという間に広がって腐ってしまいます。みかん箱のなかのみかんを思い出していただいたらお判りかと思います。チェザーリでは畑の管理を徹底し、収穫も手摘みにこだわるのです。 口に含むと、柔らかみがあり濃厚です。アマローネのコクとカツオの旨みとが、がっちり組み合う感じです。揚げなすの柔らかい食感と大地の香り、トマトの酸味、きゅうりの軽快な噛み心地などが渾然一体となり美味しいハーモニーを奏でる・・・・まるで、錦が織り重なるる美しさを感じさせるマリアージュでした。

※1 IWSC 2012 コンペティション イタリアベストプロデューサー賞、最高金賞 およびベスト アマローネ賞受賞

2nd

チェザーリ アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコ

チェザーリ
アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコ

イタリア
ぶどう品種 コルヴィナ、ロンディネッラ、モリナーラ

3位に選ばれたのはバルトン&ゲスティエ ボルドー ルージュでした。ボルドー産のメルロとカベルネ・ソーヴィニヨンを使った、穏やかでバランスの良いワインです。やはり、カツオの鉄っぽさを強調し、力強い調和を生み出していました。トッピングしたサワークリームの味わい、なかでも特に生姜の風味とカベルネ・ソーヴィニヨンのスパイシーなニュアンスが絶妙でした。まさに大手ネゴシアンならではの、安心のボルドーといえるワインだと思いました。

3rd

バルトン&ゲスティエ ボルドー ルージュ

バルトン&ゲスティエ
ボルドー ルージュ

フランス
ぶどう品種 メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン

レシピに戻る